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11.海と怪物

改稿しました(2021年8月1日)

 香織は、庭に種を撒き、成長促進薬を使う。これで明後日には、芽が出ることだろう。


 その次の日、香織達は、ガラス瓶の素材を求めて海に向かう事になっている。


「まだ、電気が来ているけど、いつ止まるかわからないわね」


 咲は、天井に点いている灯りを見ながらそう言った。


「そうだよね。発電所が、この前のスーパーみたいになっている可能性もあるしね。何かしらの対策を考えなきゃ」


 香織も、咲と同意見だった。まだ、対策については、何も思いついていないが、自分が取れる最大限の方法を模索するつもりだった。


「電気が止まったら、パニックが起きるだろうし、その前に色々とやれることをしておかないと」

「それが、砂集め?」

「うん。回復薬はいくらあってもいいから、それを入れる瓶を作らないとね。公園の砂場よりも、海の砂の方が作りやすいと思うから。一応、今出来る準備はしたから、海に行ってみよう!」


 香織達は、準備を整え、近くの海に向かう。海まで、香織の家から、約一時間ほどで着くことが出来る。その道中も、モンスターが襲ってくるので、それらを倒していき、また、そこら辺に生えている薬草等を採っていく。


「そう言えば、香織って薬草見つけるの得意よね」

「え、そう? うーん、多分、発見術の効果だと思う」


 香織は、咲に指摘されて、ようやく発見術の効果を実感する。一人で探している時は、本当に効果があるのかと疑ったものだったが、咲よりも多くの薬草を見つける事が出来ていた。この点から、発見術の効果が発揮している事が分かる。


 一時間後、香織達は海に着いた。海の状態は、香織の想像以上に穏やかだった。ある一点を除いて……


「な、何あれ……?」


 咲は、唖然としながらそう言った。香織も呆然としている。

 香織達の目線の先には、ある大きな影があった。その異形は、一言で言えば怪物だった。その姿は、蛇に似て細長いが、胴回りはビルと同じくらいある。全長はわからない。見えているのは一部だけだろう。そして、その顔は東洋の龍にそっくりだった。


「リヴァイアサン……」


 香織の鑑定眼で、怪物の正体を見えた。いや、見えてしまった。

 鑑定眼は、見たものがどういうものかが分かる。それは、相手のステータスも同様だ。今まで倒したモンスターは、全て自分のスキルでも倒せると判断出来る強さだった。


 しかし、今、見えているリヴァイアサンのステータスは異常だった。その全てが六桁もあったのだ。


「あれは、無理……」

「そんなに、強いの……?」

「ステータス、全部六桁……」

「嘘……!?」


 リヴァイアサンのステータスに、咲も驚く。香織や咲もステータスが高いといえば高いが、リヴァイアサンは、その十倍以上も強い存在だった。どう考えても、ボスクラスのモンスターだろう。


 リヴァイアサンは、一度香織達の方に顔を向け、香織と目があったが、すぐに泳いでどこかへ行ってしまった。香織と咲は、緊張から解放されて、一気に脱力する。


「あんなのがいるなんて……」


 香織は、スキルなどを得て、自分が強くなった気がしていた。しかし、それが思い違いだったと気づいてしまった。自分は、偶々弱い敵ばかりを相手にしていたのだ。


「香織、もう大丈夫よ。多分、どこかに行ったわ」


 咲が、香織の肩を叩き正気に戻す。

 ほんの一瞬目が合った。それだけで、恐怖に身体が支配されてしまった。解放された後も、香織は、ずっと呆けたままだったのだ。咲は、恐怖耐性を持っていたので、香織よりも早く恐怖から解放され、正気に戻る事が出来た。


「う、うん。ふぅ……、砂を採って帰ろうか」

「ええ」


 香織は、長めに息を吐いて、落ち着きを取り戻した。そして、アイテムボックスに砂を大量に保管していく。


「これで、よし!」

「じゃあ、帰ろう」


 香織達は、自宅へと戻った。


「「ただいま……」」


 二人は、帰って早々お風呂に入り、疲れをとる。身体的にというよりも精神的な疲れが酷かった。


「ふぅ、今日はあまり戦ってないのにすごく疲れたわ」

「わかる、あれはやばかった」


 二人の脳裏には、リヴァイアサンの姿が焼き付いて離れなかった。


「昔のような生活を取り戻すには、あれもどうにかしなきゃいけないのよね」


 咲が顔を伏せながら言う。


「そうかもね」


 香織も同様に顔を伏せながら言う。


 お風呂から出るまで二人は無言のまま過ごした。


 その後、二人で夕食を食べ、咲は先に就寝する。


 香織は一人、錬金釜の前に立つ。釜の中に砂を入れ火にかける。砂が溶けていき、不純物が表面に出てくる。それをすくって、別の錬金釜に移す。その錬金釜も火にかけておく。

 砂を入れた方の釜をそのまま火にかけ続ける。十分ほどすると、中身が光り輝き、釜の中に瓶が十個できた。


「この光っている間にどうなってるか、すごく気になるなぁ……」


 香織は、瓶を作る作業を続ける。全部で、百個できたところで、瓶を作る作業をやめる。

 続いて、不純物を入れた釜を見る。この釜には、瓶百個分の不純物が溜まっている。それを、加熱し続け、焦がしていく。そして、完全に焦げて炭になったものを取り出す。


「出来た。これが、錬成炭か」


 錬成炭は、錬金釜の中で物を焦がし続けることで出来上がる。今までは、焦がすものが無かったが、今回は瓶作りの際にでた不純物があったので、作ることができた。その特徴は、燃え尽きづらいこと、普通の炭に比べてかなりの高温を出せることだ。


「これが、これからの錬金術に必要なもの。ガスコンロでやる錬金術も卒業の時が近いかな」


 できた物を、アイテムボックスに仕舞い、香織も就寝する。


 ――――――――――――――――――――――――


 香織の成果

 瓶と錬成炭を作った。

 入れ物が増え、錬金術の次のステップに進むための材料が出来た。

 以上


 ――――――――――――――――――――――――

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