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10.二人で探索

改稿しました(2021年8月1日)

 香織と咲が家から出発して、スーパーへ向かう途中に、モンスターに遭遇した。


「香織! 私がやるわ」


 咲がそう言い、剣を抜き放ち、モンスターに突っ込む。相手は狼のモンスターだ。香織は、念のため鞭を手に取り、待機する。

 狼は、咲の突撃に合わせて跳躍して、飛びついてきた。咲は、ギリギリで横に抜け、剣を振う。

 後ろに抜けた咲は、すぐさま狼に向き直ったが、狼はその場で倒れた。


「よし!」


 咲は、その場で小さくガッツポーズをした。


「すごいね、咲! 狼の攻撃を避けながら攻撃なんて」

「そうでも無いわ」


 咲は、少し照れながらそう言った。


「この調子で行こう。スーパーは、すぐそこだよ」


 香織と咲は、そこから十分ほど歩いて、スーパーに辿り着いた。その間には、モンスターは現れなかった。


「まぁ、予想はしてたけど」

「うん、ひどいね」


 スーパーは、確かにそこにあった。しかし、その状態は、とても酷かった。入り口は壊され、壁もボロボロになっている。自然と壊れているような箇所もあるが、人為的に破壊されているような箇所も存在した。


「中は、どうなのかな?」


 香織が、咲に訊く。


「ボロボロなんじゃない? 外観が、こんなになっているんだもの」

「入る?」

「そうね。食べ物は必要だから、入りましょう」


 香織と咲は、恐る恐る中に踏み込んでいく。やはり、中の様子も外とほとんど変わらなかった。変化前から考えれば、異常な状態だろう。誰もいなくなったからなのか、大量の人が押し入ったからなのか、あるいは、モンスターの襲撃なのか。それらは、分からないが、食糧が残っている場所のようには見えない。


「食べ物は、無さそうね」


 咲は、ため息混じりにそう言った。


「そうだね。でも、奥の方に何かあるかもしれないよ」

「じゃあ、見に行ってみる?」


 香織達がそう話し合っていると、奥の方で、バリッ、ボリッという音がする。


「何かしら?」

「咲、武器の準備……」


 香織がそう言うと、咲はすぐに剣を抜いた。香織も、棒を持ち、警戒する。


「!! 咲、右!」


 ドォン!!


 跳んできた何かで、右側にあった商品棚が吹き飛ぶ。香織と咲は、寸前で後ろに下がった事で、事なきを得る。


「外に出よう!」

「分かったわ!」


 香織達は、走ってスーパーを出る。


「あれは何!?」

「何でも食べる化物!」


 奥にいた化物が、外に出てきた。


 グァァァァ!


 化物は、人のような形をした何かだった。異常なのは、その大きさだ。頭から足まで三メートルある。香織の鑑定眼に映った情報には、屍食鬼グールと書かれている。全ての生物を食べる事を目的に生きているゾンビのような存在だった。


「咲! 気をつけて!」

「ええ! 香織もね!」


 香織は、火魔法で槍をいくつも作る。五本、十本、そして、百本。この前の水の矢よりもそれらを、タイミングをずらしながら放つ。最初に、一遍に十本を放ち、続け様に、一本ずつ撃っていく。屍食鬼は、最初に撃たれた十本をまともに受け、悶え苦しんだ。

 それで、警戒したのか、続いて撃った炎の槍は、避けられてしまった。


「警戒してる! 炎が弱点かもしれない!」

「分かったわ!」


 咲は、魔剣術で剣に火を灯す。屍食鬼が、手を振り上げ、咲めがけて振り下ろす。咲は、屍食鬼の攻撃の避けざまに腕を斬り裂く。火魔法を宿した剣は、屍食鬼の腕をいとも簡単に斬り裂いた。


 グゥァァッ!


 屍食鬼の動きが鈍ったところで、立て続けに炎の槍を放つ。槍は、難なく屍食機の身体に刺さり、確かなダメージを与える。

 屍食鬼は、苦し紛れに腕を振り回す。


「まずいっ!!」


 咲は、デタラメに振られたその攻撃を、避けきれなかった。自分一人では……


「咲!」


 香織は、瞬時に鞭を振い、咲に巻きつけ自分の方へ引っ張る。


「うぐっ!」

「咲、大丈夫!?」

「だ、大丈夫よ……ものすごく苦しかったけど」

「ご、ごめん」


 間一髪で、咲は、屍食鬼の攻撃を避けられた。


「咲、一緒に攻撃しよう」

「ええ、分かったわ」


 香織は、鞭から棒に持ち替え、咲と一緒に突っ込む。その前に、待機させていた炎の槍を次々放っていく。


 グゥァァァァァ!


 炎の槍は、屍食鬼に当たらずに周りを抜けていく。香織によってコントロールされた炎の槍は、屍食鬼の左右と背後に突き刺さる。逃げ道を塞がれた屍食鬼は、その場で狼狽る。その間に、懐に踏み込んだ咲が、足の腱を斬りつける。人型であるのなら、体重の支え方なども人と同じになるはずだからだ。


 グァァァ!?


 屍食鬼は、体重を支えられなくなり、膝をつく。そして、位置の下がった頭を、香織が、棒で思いっきり殴る。屍食鬼は、身体の内側がめちゃくちゃになり、動きが止まる。最後に咲が心臓を刺す。


 グゥゥ……


 それを最後に、屍食鬼は死んだ。


「やった! 香織! やったわ!」

「うん! 勝てた!」


 二人は、互いに抱きしめ合い喜びを分かち合った。念のため、屍食鬼の死体を燃やして、灰に変えていく。


 その後、再びスーパーの中に入り、探索を始めた。


「あっ! 咲! これ使えないかな?」


 香織は、スーパーの中にあった、あるものを指した。


「うーん、どうかしら? でも、やってみてもいいと思うわ」

「よし、じゃあ、やってみよう。そうだ、ちょっと、もう少し見てくるね」


 香織達は、スーパーの中にあった、あるものを持って帰る。そして、帰っている間にもモンスターを倒し、薬草などを採取する。


 行きと同じ時間を掛けて、香織達は、無事に家に帰る事ができた。


「ふぅー、疲れたわね」

「お疲れ様、休んでて、いろいろ錬成しなきゃだから」

「ええ、わかったわ」


 咲は、リビングのソファに座り込む。

 香織は、スーパーで見つけた大きめの鍋を刻印魔法を使って錬金釜にする。


「うん、出来た。小鍋からは卒業だね」


 小鍋と比べると、かなり大きくなった。小鍋が回復薬一個しか作れないのに比べて、この鍋なら、十個は作れる。


「よし、あれを育てるには時間があるからね」


 香織は、スーパーで取ってきた物を見る。それは、作物の種だ。食糧を見つける事が出来ないなら、自分で作ってしまえば良いということだ。

 そして、香織が、今回錬成するのは、成長促進薬だ。材料は、今回の探索で、見つけたマンドラゴラと薬草、水、そして、動物の肝だ。マンドラゴラは、人参のような見た目だが、そこには顔がついている。言ってしまえば、人面にんじんだ。

 マンドラゴラは、引き抜く際に奇声を発するため、ナイフで地面の上から刺して、叫ばなくさせてから採取する。


 まず、動物の肝を乾燥させる。これは、別の鍋に乾燥の魔法式を刻印して、乾燥機にする。この鍋は、中に入れたものを乾燥させる効果を持つ。その中に肝を入れ乾燥させる。

 乾燥させた肝を取り出して、すり鉢で潰していく。そこに、すり潰した薬草を加え、さらにすり潰す。


「スーパーですり鉢を見つけてよかった」


 スーパーで、鍋やすり鉢など色々なものを取ってきた。そのおかげで、錬金術で作れるものも増えた。家の中にも同じ器具はあるが、通常の料理でも使うので、別個で欲しかったのだ。


 すり潰した肝と薬草を混ぜ合わせ、水を加えて、そのまま混ぜる。混ぜたものを錬金釜へ移し、錬金釜を火にかける。その間にマンドラゴラを刻んでおく。

 火にかけた錬金釜の中身は最初、緑色だったものが鮮やかな青色になった。

 色の変わった中身にマンドラゴラを加えて、一時間放置する。この間も火を止めてはいけない。


「よし、後はこのまま置いておいて、回復薬を作ろう」


 一時間の間に回復薬を作る。これを作るときも、スーパーで取った大きめの鍋を錬金釜にして使う。


「鍋も沢山あってよかった。問題は、コンロかな。魔導コンロってのを作りたいけど、材料と場所がないんだよね」


 そんな事を呟きつつ、回復薬を作り続ける。


 一時間後……


「出来た!」


 錬金釜の中には透明になった液体があった。

 これを、濾過して瓶に移す。


「瓶も無くなってきたな。作っとかなきゃ」


 今まで、回復薬を入れていた瓶も自分で作ったものだった。瓶の作り方は簡単で、砂を釜に入れるだけだ。ガラスに適した砂を手に入れるためには、砂浜まで行かなきゃいけない。

 しかし、もう一つ方法がある。ただのガラスを釜で錬金する方法だ。今まではこれでどうにかしていたが、今後はこうもいかない。


「咲、今度海に行かない?」

「海? 海水浴でもするの?」

「ううん、砂を取りに行くの。瓶の材料で必要なんだ」

「ふーん、いいわ。行きましょ。瓶は入れ物として必要だものね」

「うん! じゃあ、いろいろ準備しなきゃね」


 次の探索の準備をする。目標は海! 


 ――――――――――――――――――――――――

 香織の成果

 成長促進薬を錬成。

 作物の成長を促進する。

 使い過ぎ注意!

 以上

 ――――――――――――――――――――――――

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