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8.勉強

改稿しました(2021年7月31日)

 二人で一緒に寝た日の翌日。香織と咲は、ほぼ同時に眼を覚した。


「おはよう、咲……」

「ええ、おはよう、香織」


 香織は、シャワーを浴びに行き、咲は、洗面所で顔を洗う。そして、朝ご飯の支度をして、一緒に食べ始めた。そんな食事中に、咲が話し始める。


「今日は学校に行くの?」

「行かないよ。先生だって来ないと思うし、今のこの状況で学校に行っても、意味ないもん」


 香織は、そう答えた。その言葉を受けて、咲は頷いた。


「そうね。ところで、今日は何をするの?」

「咲にスキルを覚えてもらおうかと思ってるの。ってやばい! ゴミ出ししなきゃ」


 香織は、今日やろうと思っていることを言うと、ゴミ出しを思い出し、急いで玄関を出ようとする。すると、玄関の三和土に、この前あったのと同じ、宝箱があった。


「え? また、宝箱がある。うちはダンジョンか何かなの……」


 取りあえず、宝箱を無視してゴミ出しに行く。ゴミ出し場には、多くのゴミが積まれていた。それ自体は、いつものことなので、香織も上にゴミ袋を載せる。ゴミ回収がされるかどうか分からないが、いつもの習慣なので、皆持ってきているのだろう。

 香織が、ゴミ出しを終え、玄関に入ると、やはり宝箱がある。


「咲~、こっちに来て」

「どうしたの? ってそれ何!?」


 香織に呼ばれた咲は、リビングから玄関に来て、宝箱を見て物凄く驚いた。


「宝箱だよ、これを開けたら、自分のスキルとかが分かったんだ。だから、咲が、開けてよ」

「えっ? いいの?」

「うん、私は、一回開けた事があるから。私が開けると別のものになるかもしれないし。咲が、これでスキルとかが分かるようになったら、生き残りやすくなるだろうし」


 咲は、少し遠慮していたが、香織がそう言うと、渋々宝箱を開けた。


「えっと、何が入っているのかしら?」


 咲が、そう言いながら開ける。香織も後ろから覗く。


 入っていたのは、一振りの剣と一枚の紙だけだった。


「私の時と違う」

「そうなの?」

「うん。私が開けたときは、たくさんの本と棒と鞭だった」

「何?その組み合わせ?」

「う~ん、多分私のスキルに合わせてあったんじゃないかな」

「じゃあ、これは私に合わせた物なのかしら?」


 咲はそう言いながら、紙を手に取る。


「痛っ!」


 鋭い痛みが頭を襲い、咲は頭を押さえる。これは、


「スキルが分かったと思うけど、どう?」

「頭の中に流れてきているこれよね?」


 ――――――――――――――――――――――――


 魔剣士 Lv1


 HP:10000/10000 MP:1000/1000


 STR:500 DEF:300 SPD:200 DEX:150 INT:350 MND:100 LCK:100


 スキル:『剣術Lv10』『魔剣術Lv1』『魔法言語理解Lv1』『火魔法Lv1』『水魔法Lv1』『風魔法Lv1』『魔法式理解Lv1』『恐怖耐性Lv5』


 ――――――――――――――――――――――――


 咲は、自分のスキル構成とステータスを香織に伝えた。


「へぇ〜、やっぱり私の能力がおかしいんだね」

「香織はスキルが全部Lv10だものね」


 香織は、事前に、自分のスキルなどを咲に伝えている。


「じゃあ、咲はこれと、これと、あとこれもかな。教本だから読んで」

「ええ、わかったわ。これで、スキルの使い方を覚えるってことね」


 咲は、香織にもらった教本を読むが、少し手こずっていた。


「なんで、香織はすんなり読めるのかしら?」

「うーん、スキルのレベルが高いからかな」

「私は、レベルが1だから読みづらいのね」


 咲は、根気よく教本と睨めっこしていた。咲は、元々勉強が嫌いではないので、全く苦痛に思っていないようだった。


 咲のスキルは、剣に関係する物が二つもある。咲は、一応、剣道の有段者なので、剣関係のスキルを持っているのも納得だ。


 魔法関係も、魔剣術を使用するのに必要になるので、三種の属性を得ることが出来ていた。ただ、香織のように、魔法中心で戦うようなことはないと思われる。基本的には、剣だけで戦う事になるだろう。


 もう一つ、昨日の事件のせいなのか、恐怖耐性が付いていた。それだけ、咲にとって、怖い体験だったという事が分かる。


 結局、今日は、教本やレシピ本を読み込むだけで終わってしまった。その甲斐もあってか、スキルの使い方の方は、ほぼ完全に理解出来たみたいだ。


 二人は、夜中まで勉強を続けた。そして、その日も二人同じベッドで寝る事にしたのだった。昨日のように、すぐに寝ることなく、少し話をしていた。


「そういえば、他の皆は大丈夫だったのかな?」

「クラスの?」

「うん」


 話題は、あの時、逃げていった学友達の事だった。


「時間を稼ぐどころか、全滅させたわけだけどさ。他のモンスターにやられたりしていないのかなって」

「どうかしら。私は、途中で、戻ったから、その後は分からないのよね」

「そうだよね。まぁ、大丈夫か。逃げた方向は、モンスターは行進していた方とは、別の方向だったし」

「それに、昨日のうちに、ほとんどのモンスターは、自衛隊が倒してくれたし、香織の家みたいに、宝箱から何か出てきているかもしれないもの」


 香織の家に、宝箱が現れる理由は、よく分からないが、他の家でも同様の事が起こっている可能性はある。もし、そうなら、香織達の他にも、戦う事が出来る人達がいるかもしれない。


「この世界の変化は、いつまで続くのかしらね」

「どういうこと?」

「そのままの意味よ。一時的な事なのか、恒久的なものなのかって事」


 もしかしたら、一時的にこんな事になっているのかもしれない。咲は、その可能性もあるのでは無いかと考えていた。


「恒久的だと思うよ。そもそもなんでこんな事になったのか分からないけど、一時的にっていう方がおかしいと思う」

「やっぱり、そっちの方が可能性としては高いわよね」

「元に戻るのを期待するのは、分かるよ。私も、戻るなら、その方が良いと思うもん。でも、実際に戻るのかどうかなんて怪しいし、この世界に適応する方が先決だと思うよ」

「そうね。このスキルっていうのにも、慣れていかないとね」

「そういうこと。ふぁぁ……もう寝ておこう」

「ええ、おやすみ」


 二人は、並んで眠りについた。

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