表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

1話「なんで猫しかいないのよ?」

久しぶりに一次創作を書いてみました。今回は完結させたいと思います。面白く読んでもらえたら嬉しいです。


「にゃんこ~にゃんこ~ねこ~」

「ねこ~ねこ~にゃんこ~」


 そこは猫の支配する部屋だった。見渡すと猫ねこネコ。猫カフェを連想させる、ソファやらタワーやら水場やらがある大きい部屋。猫は二十匹くらいはいて、思い思いに過ごしている。

 私は少し困っていた。猫がいる…。しかもいっぱい…。

 嫌いじゃないのだけど、苦手ではある。じっとしていれば可愛いのだけど、私を警戒したり、触ろうとしたら嫌がるところが苦手なのだ。

 でも私には無関心なのか、どの子も近くに来ないので安心する。安心したら現状に疑問を覚えた。

 ……えっと、ここ、どこ?なんで猫しかいないのよ?

 私は自分の服装を見下ろす。制服のブレザーとスカート、鞄もある。記憶を振り返ると、今日の朝からが曖昧だ。あれ、学校に行ったよね?

 私は部屋の中心に立っていた。周りを見ると、やっぱり猫だらけ。寝ていたり、毛づくろいしていたり、優紀(ゆき)に撫でられていたり。猫も気持ちがいいのか、すっかり甘えている。

 ……って、優紀!?


「ゆき!」


 私の声に振り返るのは、私のよく知る彼女だった。

 水船優紀。私の親友で幼なじみだ。いつも一緒にいる。私は人と話すのは苦手だけど、優紀は特別だ。優紀はあまり話さないし自己主張もしないけど、そこが落ち着く。

 猫を撫でている彼女は珍しく口に笑みが浮かんでいる。普段から無口無表情なのでクラスでも浮いているけど、本当は優しいし世話好きなのも知っている。私が世話されているからね。


「優紀もここにいたんだ、よかった…。で、何しているの?」

「……ねこ」

「うん?」

「猫、撫でてる。気持ちいい」

「うん、そうだね。優紀は猫が好きだったよね。それはいいんだけど、ここ、どこか分かる?私、いつの間にかここにいてさ」

「私も」

「……あ、そうなの」

「そんな事より、萌絵(もえ)も猫を撫でたら?」


 優紀が猫を持ち上げて私の前に出した。猫は黒猫で大人しくしている。……暴れないよね?

 私も慎重に手を伸ばしてみる。……動かない。ゆっくり、ゆっくりと撫でてみる。

 暖かく、優しい撫で心地。猫も大人しくしていれば、可愛いのだけどな。


「気持ちいいでしょ?」

「そうだね。大人しいから、安心できるよ。……あれ?」


 優紀が猫を抱えていて、私が猫を撫でている。特に珍しくもない光景だ。だけど、目の前の優しい時間がなぜか胸を締め付ける。猫の暖かさに、優紀の暖かさ。春の日の光に照らされた様に、暖かい。

 優紀のたまにしか見れない柔らかい微笑み。普段の彼女はあまり笑わない。私の傍にいる時も、無表情なのが基本だ。無機質に整った顔立ちだからか、笑った顔はとても眩しく感じてしまう。

 私は知らないうちに涙を流していた。別に悲しい訳でも、痛い訳でもないのに。自分でも何でなのか分からない。猫から手を離して涙をぬぐう。すると私は暖かい存在に包まれていた。


「優紀?」

「……もえ、ごめんね」

「えっと、何を?」

「ごめんね。私のワガママに巻き込まれて。私が萌絵と居たいから、こんな所に連れてきて。……私が、ずっと傍にいれなくて、ごめんね」

「どういう事?つまり、優紀は私がここにいる理由を知っているの?優紀が連れてきたの?」

「私が連れてきた訳じゃないけど、萌絵がいる理由は知っている」

「それに、傍にいれないってどういう事?今、ここに優紀はいるでしょ?」

「……ごめんなさい」


 私より背の高い優紀の胸に抱かれているので、その表情は見えない。だけど優紀も泣いているのだと見なくてもわかる。長年一緒にいるし、体も震えているし。状況はさっぱりわからないけど、私は最優先にする事をした。


「よし、よし」

「……萌絵?」

「落ち着いて、優紀が悪い事なんて何もないよ。私がこうして抱き返してあげる。優紀はいつだって、私の事を考えてくれるよ。そんな優紀を信じているから。……だから、泣かないで」


 優紀の背中を幼いころの様にたたいて、あやしている。こうすると落ち着いたんだんよなぁ、と懐かしみながら。優紀が私を抱きしめる力が強くなり、ちょっと苦しいと思いながらも、私は大切な親友に泣き止んで欲しいと抱き続けていた。

 いつまで抱いていたのか分からないけど、にゃあ~、と鳴き声がする。周りを見ると、私の目の高さに合った猫の顔が。誰かに抱えられているのね、と納得するも、すぐに気が付く。


「だ、誰?優紀、変な人がいるよ!」

「え、もう少しこのままで……」

「そんな場合じゃないよ。私たち二人きりだったよね。なのに誰かいるんだよ!」

「……ああ、ビュレット。もう出てきたの?」

「……ミズフネユキ。あなたがさっさと説明しないからでしょ」


 優紀と会話しているビュレット?とかいう人を見る。私たちと同じくらいの少女だった。金髪に紫の瞳。猫耳のフードを被っていて、とても可愛かった。私は優紀みたいに綺麗な人はTVやネットでしか知らなかったけど、ビュレットは同じくらいに綺麗だった。優紀が少したれ目気味のダウナー系の美少女なら、目がつり上がり気味のビュレットは勝気そう。白人系だからそう見えるのかな。


「カバラモエ。私はビュレット。ユキとは既に自己紹介したけど、あなたとは初めましてね」

「……火原、萌絵、です」


 私はいわゆるリア充というか、陽キャが苦手だ。私や優紀みたいな陰キャと違い、ずかずか人のパーソナルスペースに踏み込んでくる。私も優紀も別に仲良くなりたい訳じゃないのに、勝手に仲良くなろうとしてくる馴れ馴れしさが嫌だった。転じて、私は人見知りするようになった。

 今も、ビュレットの挨拶にしり込みして、優紀の後ろから挨拶をしている。このビュレットという人は、外国人だからか、陽の者の気配がする。活発で、すぐ笑って、人と話す事が楽しいというあの忌まわしき陽の者だ。きっと「Hey!Nice to meet you!」みたいなこっちが戸惑うのも気にしない強引さで踏み込んでくるに決まっている。


「……あのね、モエ。そんなジト目で見られても困るんだけど」

「い、いえ、こちらは気にせずに……」

「あなたに話があるのよ。……そんな身構えないでちょうだい。大事な話なの。あなたも、今の現状に疑問があるのでしょ。教えてあげるから」

「……ゆき、こう言ってるけど、どうする?」

「もえ、ビュレットの話、聞いてあげて」


 優紀が真剣な表情で私に勧めるから、ビュレットと話してみる事にした。優紀がこう言うなら、信用してもいいのかもと思う。いきなり名前で呼ぶ所は警戒しちゃうけど…。


「簡単に説明するわね。異世界転移ってわかるかな?」


 異世界転移、あるいは転生。今の日本で一大人気を誇るジャンルだ。漫画やアニメ、ラノベでもありふれている。私も当然の様に知っていた。なろうとか読んでいたし。

 一応神さまみたいだし、初対面でタメ口をきくの抵抗あるから、自然と敬語になってしまう。


「う、うん、わかります。……ビュレット、さま?これって私たちが異世界へ行ってチートスキルや装備で無双するって話なんですか?でもここに来る直前の記憶が無い…。魔法陣とかに吸い込まれたか、優紀は覚えている?」


 私の記憶ははっきりしないけど、優紀は違うかもしれない。私たちは大体は一緒にいるし、こうして二人でいるのなら、同時に巻き込まれたのだろう。


「…………」

「ゆき?」

「モエ、その話は後でするわ。まずは説明からさせて。それと、ビュレット、でいいわよ」

「いえ、初対面の人を呼び捨てには…。ビュレット、さんでどうでしょう?」

「…それでもいいわよ」


 ビュレットの説明は、だいたいテンプレ通りだった。異世界に渡って、神から特別な能力と装備が与えられる。ただ細かい所は違っていた。


「まとめると、ステータスは表記式で、レベルは99まで。成長は基本的に自分が鍛えた能力が伸びるもの。神さまからもらうチートも、世界観を壊す程とんでもない物は不可。……思ったよりも普通なんですね」

「別に魔王を倒すために呼んだ訳じゃないの。ゲームの世界でもないから、数値で管理もしない。転移者に力を与えるのは、世界のバランスを整える為で、特に使命は無いからね」

「世界のバランスって、何です?」

「転移者に異世界、グランテッドに行ってもらう目的は、神力の運搬役ね。私たち神が世界に干渉するために、神力を定期的に送らないといけないの。向こうの世界の信徒が祈る事でも送れるけど、効率は悪いのね。でも直接に神が向こうに行くことは禁じられている。大量に神力を運ぶ担い手として、転移者が最適だから」

「どうしてですか?」

「運命力って言う、魂の容量の力があるの。現代の地球の、特に日本の人たちはそれが大きいの。神力を運ぶのにその力が影響するから、なるべく大きい人を選んで転移してもらうのね」

「私はその力が大きいのですね!」

「いえ、大きいのはユキの方。モエは、普通よりは大きいくらい?」

「あ、そうなんですね…」


 私はこれから異世界無双がはじまるぜヒャッホー! と思っていたから少し残念だった。それでも異世界転移というのは燃えるな。現代日本の若者でこれに興奮しないやつはいないだろう。しかも優紀もいるのが心強い。普段も人見知りしているから優紀に頼り気味だしな。……でも優紀の方が強いのか。まあいいけど。


「優紀は、もう話を聞いていたの?」


 優紀はビュレットを知っていた。私が目覚めるより先に話をしていたのかもしれない。さっきから会話に入ってこないし。元々無口だけどさすがに重要な時は話に加わる。


「……うん、萌絵より先に一通りは」

「そうなんだ。優紀はもうビュレットさんから力をもらったの?」

「ユキはあなたが目覚めてからと待っていたわ。ちょうどいいから与える力についての話をしましょうか。……モエとユキ、ここにいる猫の中から好きな子を選んでくれる?」


 私は優紀と顔を見合わせた。何言ってんのこの人?とアイコンタクトを交わす。普通は本から選ぶとかステータス画面で選ぶとかあるだろうに。何故に猫を?


「いいから、決めてちょうだい。力とかの説明はその後よ!」


 ビュレットはとにかく猫を選んでとしか言わない。その勢いに負けて、私たちは猫を選ぶ事にした。

 と言ってもどの猫にすればいいのだろう。猫たちは私たちにすり寄ってきたり鳴いて見上げたりする子もいれば、見抜きもしないで寝ていたり遊んでいたりする子もいる。どの猫か迷うのだけど、大人しく触らせてくれそうな子がいいな…。

 悩んだけど、私は最初に撫でた黒猫にする。だって他の猫だと触らせてくれるか分からないし…。それに可愛かったから、愛着ができていた。

 優紀はそれを見てお揃いで色が映えそうな白猫を選んだ。本当にそんな基準で選んでいいのか?

 もっとも白猫も優紀が気に入ったのか足に体を擦りつけている。……優紀がいいなら良いか。猫の扱いは私より上手いので、簡単に懐かせていた。もっともどの猫も人には慣れているようだけど。


「……ふ~ん、モエはその子なのね。ユキもそっちの子でいいのね。じゃあこれから与える特典の説明をするわ。

まずは――」

 

 ビュレットの言葉と共に、抱いていた猫たちが光っていく。光は強さを増していき、眩しくなるにつれて、猫たちが透明に、実体を無くしていく。


「な、なにこれ!」

「萌絵、猫を落とさないで!」

「分かってる!」


 どんなに眩しくても、ここで落とすのはかわいそうだろう。最後は弾ける様に猫が消えて、輝きとなり私たちの体に吸い込まれていった。


「おめでとう。これがあなたたちに与える力と特典よ。どんなものかは自然に分かるはずよ。頭の中に浮かんでくるから」


 ビュレットの言葉通りに頭の中で猫がにゃあ~、と鳴いて、説明が浮かんできた。なになに……『猫術』

なんですかそれ? さらに頭に入ってきた言葉に混乱する。


能力:猫術(星5)

装備:魔術師の木霊石(星4)

運命:百合


 ってなに?

百合と冒険を詰めたお話を上手く書いていきたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ