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焦がれる刀のシャルーア  作者: ろーくん
生命の石と情熱の刃金

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第116話 お仕事.その9 ― アイアオネ鉱山4 ―




 ―― 調査2日目。調査隊を3人×2組に再編し、坑道を隅から隅まで調べる。

 稀にヨゥイに遭遇するも、単発で比較的弱い相手。しかし、調査の移動ルートや位置関係上、やはり出現位置がおかしい。だがそれ以外の事で新たにわかった事はなかった。

 


 ―― 調査3日目。遭遇し、倒したヨゥイの死骸を観察する。しばらくしてから、死骸がその場でチリとなって消滅したことを確認。

 試しに鉱山の外で倒したヨゥイの死骸を坑道内に放置してみるも変化はなかった。この事から坑道内に出没するヨゥイは、鉱山外のヨゥイとは何かが決定的に違うのは間違いないだろう。




「―――ふぅ、やれやれ」

 後の報告のため、白紙の日誌に走らせていた筆を止めると、リュッグは大きく深く深呼吸した。


「遅々として進まんな……」

 長期戦になるかもとは思っていたが、ここまで進展がないとなると疲労感が襲ってくる。

 3日目もすでに夕刻。パーティは全体として少しダレてきて、気持ちの緩みが見え始めていた。



 ゴウはあくせくしながらシャルーアに何かと話しかけようとし、それをムーとナーが面白がってニヤニヤしながら見ている。


 ミルスは大あくびをかきながら徒労感をにじませていた。その横で、フゥーラが難しい顔をしながら調査結果をまとめているが、リュッグ同様に大きな進展が見られないことに悶々としているようだ。

 ラージャは一見変わらずだが、退屈をもてあましている様子で足元の小石を何気なく蹴る。


 アッサージとスラーブは少量だけ持ってきた酒を嗜んで談笑しているが、少しばかり、周囲への警戒意識が薄らいでるように思える。


 そして学者のヘンラムは一番まいっているみたいで、慣れないキャンプ暮らしにかなり疲労がたまっている様だ。椅子に座って夕食の器を持ちながら、頭が上がったり下がったりしている。




「周辺は静かなものだ、とりあえず魔物の姿は見受けられなかったぞ」

 照明塔の上に登って辺りを見回していたナーダが飛び降りてくる。彼女も暇を持て余しはじめたようで、明らかに手持ち無沙汰だと言わんばかりだ。


「まいったな……ここまでモヤモヤした状況になるとは思わなかった」

「怪しいところ、不審な点などはいくつかあるが……遅々として究明も進まず、かといって我らへと明確に危険が迫るでもなし、か。確かにモヤモヤする状況だね」

 ナーダは剣を抜いて軽く空を切り払うように振ると、刀身をチェックしはじめた。


「せっかくの借り物も出番なしじゃあ勿体ない。もう少し歯ごたえある魔物でも襲ってきてほしいね、不謹慎だけど」

 ナーダのシミターは今、修理のためマルサマに預けている。これは直るまでの間の代替品だ。

 同じ曲刀だが、シャルーアに作っているという刀の失敗作だという中の1本。前回鉱山に来た時は勝手に拝借してきたが、今回はマルサマが選別したモノを渡された。


「武器の出番がないに越したことない……と言いたいが、もしかすると明日は出番が来るかもな」

「……―――最深部か」

 リュッグは頷き返す。ここまで調査に進展がない以上、次は後回しにしていた最深部の調査に手を付けるしかない。


 何があるか分からない、何もないかもしれない―――だが異常だというのは確実な場所だ。もし敵が出るとしたら、強力なモノが出現する可能性は低くはないだろう。


「ああ、わからないことだらけだが、いつまでも慎重姿勢でもいかんだろうからな」






――――――そして調査を開始してから4日目。



 一行は鉱山最深部に来た。ミルス、ナーダ、シャルーア、フゥーラ、ヘンラム、スラーブの6人編成だ。


「……皆の者、気を付けろ。前は見なかったモノがおるぞ」

 最深部の空間に入った途端、ミルスが臨戦態勢を取った。薄暗く広い空間に、以前にはなかった明らかに巨大な何かの影がある。

 ナーダも即座に剣を抜き、油断なく構えながらミルスの後に続いた。


「……スラーブさん、明かり(・・・)をお願いします」

「うむ、心得たぞ」

 フゥーラの要請に、スラーブがいくつかの石を取り出して空間内に投げた。

 それは短時間ながらそれなりの光量を放つ発光石。明かりのない洞窟探索などで重宝するものだ。

 カンカンと石が地面を打つ音が鳴り、直後に光を放ち出す。


 巨大な何かが、その光に照らし出された。


「! ……な、なんですか、これは??」

 ヘンラムが、知的好奇心はあれどそれに勝る呆気と共に、ソレを見上げる。


 巨大な黒い肉の塊―――いや、集合体とでも言うべきものだった。様々な形のモノを表面にくっつけていって肥大化させたようなワケのわからない物体が、地面から1mほどの中空に浮かんでいた。



「………」

 シャルーアが無言で、しかし僅かに目を見開くようにして物体を注視している。


「………これ、は……」

 そしてミルスも、拳をワナワナと震わせていた。


 二人だけが、いち早くそれが何なのかを、曖昧ながら何となく理解しかけている。



 そしてシャルーアの目だけがソレを捉えていた―――集合体に向けて様々なところから気流のようなものが集まっていく光景を。


「……どうやら、大当たりみたいだね」

 二人の様子を見てナーダはポツリと呟き、改めて謎の物体に向き直って剣を構え直した。






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