1/114
プロローグ
ここは、海沿いの町の少し入り組んだ道の先にある少し小さなレストラン。
とりたてて新しくもなく、古くもない看板にはポップな文字でその名が描いてある。
入り口に立っているだけで思わず唾が出てくる匂いがする。もっと空腹であればその量は倍増するだろう。
木製のドアを開けると、カランカランと軽い鈴の音。
それと――
「いらっしゃいませ!」
可愛らしい店員の、歓迎の声が出迎える。
この物語は、若き店主の別れから始まる物語。
この物語は、温かい人々と――騒動を描く、物語。