第15話「平等」
「ゴホッ……なぁレイン……助けてくれたのは心の底からありがとうなんだけどさ……もっとやり方なかったの」
「うるせぇ黙れ」
「はい」
レインはレインのままだった。横っ腹が冗談じゃないほど痛く、咳が止まらない。敵の2人はこちらの状況を伺っている。
「どうするレイン?」
「お前は何もすんな」
「え?」
「邪魔」
「りょ、了解」
レインは深いため息をつくと、2人の元へと歩みを進める。
「お、おい! レインそれはやばいって!」
「黙って見てろ」
レインはどんどん2人の元に近づいていく。敵からしたら、かっこうの的だ。敵はレインに銃口を向ける。
「なんだ? お前……自殺志願者か? ――なら要望どーり殺してやるよ!」
――バキューン
冷たい銃弾が放たれた。その銃弾はレインの頭に直撃したかと思えば、右の壁にそれた。レインは無傷である。その場のもの全員が唖然とする。
「――は?」
「はー……そんなおもちゃで俺を殺せるわけねぇだろ」
「う…うわぁぁぁああぁ――」
――バキューンバキューンバキューン
何発も銃弾が放たれるが、全てレインの体すれすれで横にそれる。
――カチャッカチャ
銃弾の残りがなくなる。そしてずっと近づいていっていたレインはついにその男の目の前に立っていた。レインは男から銃をもぎ取り、投げ捨てた。全く勝負になっていない。
「あ、あの……すいません二度としませんので、許してください!」
その男はそう許しをこった。もう1人の男はそれにつられて頭を下げる。だがこの謝罪はフェイクだ。許しをこった男はナイフを握りしめ勝機を伺っていた。レインは深いため息をつく。そこでここだと思ったのか、その男はレインにナイフを振りかざす。しかしそれはいとも簡単にレインに防がれる。
「浅はか」
――ボキゴキッ
人体が壊れる音がする。レインはその男の顔面を蹴り飛ばした。その勢いは凄まじく、もう1人の男も巻き添えにしながら壁に衝突した。壁には亀裂が走る。2人は気絶した。
「はー……つまんねー」
レインはこちらにテクテク歩いてくる。なんて心強い味方なんだろうとユキトは感謝した。
「助けてくれてありがとうレイン!」
「きもちわりぃからやめろ」
「きも……つか急にいなくなったけどなんかあったの?」
「いや……お前を観察してただけだ」
「え? 観察?」
「あぁ1人になったらなんか怪しい行動しねぇかなってな」
「――そ、そっか」
「まぁ怪しいとこだらけではあるが、どうやらお前はそんな悪いやつではないらしい」
「ってことはさー俺が戦ってた時も、もしかして最初から見てた?」
「あぁ……文句あるか?」
「い……いや……助けてくれてありがとう」
「きめぇって言ってんだろ……つかこれ」
レインはユキトにあるものを渡した。それは鍵だ。
「お前自分が何のために体張ったのか忘れたのか?」
「忘れるわけない」
ユキトは急いで奴隷達の元に近づく。そして手錠を外そうとする。だがうまく鍵が鍵穴に入らない。それは奴隷の人の手が震えているからだ。奴隷達は助けてくれたユキトにすら怯えてしまうほど精神が削られていた。奴隷とは騙されて騙されて行き着く末路だ。こいつらも私達を騙してるんじゃないかと嫌でも考えてしまう……。そんな時だった。
「もう大丈夫です……どんなことがあっても俺があなた達を守ってみせますから」
ユキトはその女性の手を握ってそう答えた。この言葉に現実性は1ミリもない。だってユキトは雑魚だ。今回もほぼ何もできていない。そんなことユキト自身が1番よくわかっている。でもユキトはそんなことより、まずみんなをとにかく安心させること……これが最優先事項だと思った。
「あ……ありがとうございます……」
ユキトに手を握られた女性は涙を流しながらそう答えた。ユキトはこれだけで体を張った甲斐があったと思った。そしてみんなの手錠と鎖を外すことに成功した。
「よし行くぞ」
「ちょ、ちょっと待ってよレイン……どこ行くんだよ」
「お前の買い物に付き合ってやるんだろ」
「そんなことはどうでもいいよ今」
「は?」
「この人達をどうにかしないと」
「もう助けてやっただろ」
「は? まだ助けてねーよ」
「あ?」
「こんなとこに置き去りにすんのか? そんなの助けたなんて言わねーだろ! 希望を持たせといて見捨てる……そんなのヤリ捨てみたいなもんだろうが!」
「はー……ピーピーうるせぇな……じゃあなんだ……お前がこいつら養ってくのか?」
「養うとかやめろ……レインは身分が上なのかもしれないけどさ……少なくとも俺とこの人達は平等な人間なんだよ」
ユキトは珍しく少しキレながらレインに食い下がる。
「はー……じゃあ結局お前は何をしたいんだよ」
「んー……まずは風呂だな」
「は?」
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