第五十七話 準決勝戦
どんどんと俺たちは勝ち進め、Aブロック代表者となった。
「ということは次はBブロックの代表者かー」
もうここで負けても3位は取り合えず確定なので問題はないのだが、勝負をやるなら中途半端に投げ出さない。
これがおじさんのモットーである。
『それでは~、これからAブロック代表VSBブロック代表の試合を始めまーすぅので~……両者共、準備いい?♪』
『呼ばれたな』
「うん」
俺たちはまたコロシアムという名の舞台へ上がって行く。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『皆様お待たせしましたー!これより準決勝戦を始めまーすぅ♪』
――ワァァァアア!!
準決勝戦というだけ雰囲気がさっきより盛り上がるコロシアムの観客たち。
『まずAブロック代表。上位モンスターたちを次々と屈服させるという謎の力を持つスライムを使役し、今回のダークホースと言っても過言でない恐ろしい子、ヒムラ・ケンジー!!』
俺たちがコロシアムに立ち上がると更に歓声がはね上がり建物全体にと響きわたる。
俺は反対側に立つ対戦相手を見る。すると見覚えのある姿をした人物が出てきた。
ん?あの水色の髪に魔女帽子……まさか。
『そしてBブロック代表。強力な水魔法とアイテムで従獣魔をしっかりサポート!道端で謎のアイテムを売り捌く自称『謎の天才美少女』マーリン・アル・スミスー!』
「謎のアイテムじゃなくて魔法道具ッ!!それに自称じゃない本当のことだし!」
ピエロの言ったことが不服なのかぶっすりとした様子でマーリンはほっぺを脹らます。
『やっぱり……』
3年前、砂の町『カフェエラ』で買い物した時出会った少女であった。
「悪いッスけどそこの少年!」
「えっ、僕?」
「快進撃もそこまでにしてもらうよ。私は優勝して賞金と賞品を両方手にし、そして!ここで私の開発した魔法道具を使って世に広め、がっぽがっぽ稼いでやるんだから!」
そう言いながらびしっとケンジのことを指し、己のしたたかなもくろみを暴露するマーリン。
あの子、3年経ったというのに金にがめつそうな所は全然変わっていないなぁー。
「ということでいっちゃえ、ジジちゃん!」
「キキッ!」
マーリンの帽子の中から飛び出してきたのは蝙蝠のような翼を背に生やしたちっちゃな黒猫だった。しかもまだ子猫ぽっく目はくりくりとアンバーの瞳を開かせる。絶対これ俺の世界にいたらテレビで流されるほどの可愛さだった。
うおぉぉ……!正直言って超やりにくいぞ……。
『では、試合開始ーーッ!!』




