第五話 お家、作りましょましょ♪
これはスライムの本能的なものなのか知らないが俺はすぐにスキル【調合】の使い方は分かった。使い方は簡単。
まず調合スキルのレシピを見る。
―――勿論、俺の調合スキルはもうレベルMAXなのでこの世に作れないものなどない→その中に調合スキルLv1【煉瓦】を見つけたので項目を選択→材料の用意。今回はそこら辺に落ちている石『入手難易度F』×そこら辺に落ちているまぁまぁ丈夫な石『入手難易度D』を用意→そして、体内でお口の中でクチュクチュするように材料を混ぜ合わせる―――味のことにかんしては聞かないでおいて……。→ぺっと吐き出し、煉瓦調合完了。
調合No.5【煉瓦】
丈夫な素材でできた石。家や花壇を作る時、最適。
以上が、俺の独自調合法である。だからこれを大量生産し、俺は立派な煉瓦と木の自然豊かな寝床を作るのだ。
リビングは広くして、木漏れ日が入るようにもちゃんと工夫して。日本人として和風的な畳の部屋もちゃんと作ろう。
あっ、いっそのこと、思い切って建物は昔から憧れだった二階建てにしよう。俺、今までマンションや一階建ての建物にしか住んだことないし。
夏はテラスでも作って一人でビールでも飲んでBBQして、冬の時はゆっくりと本を見ながらくつろげる暖かい暖炉も作ってしまおう。勿論、ああいう外国とかによくある煙突付きの洋風の一軒家がいい。
あぁ、考えれば考える程どんどんと夢が無限に膨らむ。
中身はいい歳した独身のおっさんだが、夢の寝床に胸が踊る。
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勿論、そんな家1日で出来るはずもなく暫くは枯れ草で作った特製ベットで寝ることとなった。
焚き火の火はどうやって用意したかというと火属性魔法(小)の火精でつけた。
ここは東京と違い、夜は星がよく見える。町明かりがないせいだろうか?俺は近くにあったポヘルの実という林檎によく似た甘く熟れた果実をかじりつつ、満天の星を見上げた。
今日1日は色々なことがありすぎた。いや、むしろありすぎるぐらいなので暫くはお腹一杯なので要らないと本当に思った。
今は名前もない只のしがないスライムになってしまったが異世界に来てしまった以上、楽しまないと損だよな? となるべく俺はポジティブに考えるようにした。不安はあまり口にしないように。
俺は明日の寝床作りに備えるため、ゆっくりはっきりとはしない目を閉じて眠りについた。




