第四十話 冬に備えて
そろそろケンジと出会って暫く経つ。季節も夏から秋へと切り替わり肌寒くなり特に子供が風邪をひきやすい季節になってきた。
なので俺はケンジを連れ、あの頑固なおじさんが経営している服屋に訪れていた。
「うわぁ~、これ暖かい!」
そう言ってケンジがお気に召したのは青色のダウンジャケットだった。確かにフードと内側にはのの肌ざわりの良い毛皮を使っておりモコモコしていて、つい俺も欲しくなってしまう程であった。
そんなナイスな上着をチョイスをしてくれたのはやはりおばあさんであった。
流石、おばあさん。機能性とデザイン両方を遵守しつつケンジに最高に似合う服を瞬時に選び抜くとは。やっぱ他の人とはセンスが違うね!
そして、おじさんの服が作ったこの服たちも丈夫で機能性も高く俺はすっかりここの服を気に入ってしまった。
俺はおばあさんに頼んで自分の上着も選んでもらい、服以外にも靴や厚手の靴下など必要な防寒を買っておく。
「はい、金貨一枚ね」
「ほいよ」
俺は言われた金額の金貨一枚をおばあさんに渡す。
「ちょうどお預かりします。ポチ様、今日はわざわざうちの服屋に足を運んで下さってありがとうございました」
「いや、俺はあんま子供の服とか何買えばいいかなんて分からないから子供を育てたことのあるおばあさんがいるとすごく助かるよ」
「こんなおばさんで役に立てるなら嬉しいねぇ」
おばあさんは照れくさそうに笑う。
「じぁ、ケンジ君もまたね」
「うん!お洋服一緒に選んでくれてありがとう、ニーナおばさん!」
ちゃんと最後におばあさんにお礼の言葉を言うケンジ。
「じぁ、おじさんもまたな」
俺は店の隅でまた相変わらず眉を難しそうに寄せて座っているおじさんに声をかける。
「けっ……!……またサイズが合わなくなったらこいや」
最後の台詞だけ小さく呟くおじさん。
おいおいそんなんじゃ普通の人には聞こえないつーの!
『本当、素直じゃねぇよな。このじいさん……』
俺はそう思いながらもケンジと共に家と帰った。
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「よーし!ケン、今日からついに羽毛布団の解禁だー!」
ニルさんたちが運送してくれた荷物が届けたのは約1週間前のこと。荷物の中にあった羽毛布団を俺は取り出す。
季節も寒くなるならいつまでも薄手の布団で折角俺が作った、でかい木の箱に布と乾し草を敷き詰めて作った特製ベットで寝るわけにもいけなかった。
今までは薄手の布団が一枚しかなかったのでケンジも俺と一緒のベットで寝ていたのだが、これがあればケンジも自分の部屋にあるベットで寝ることができるしな。
「ケン、これはお前用の布団だ」
「僕、ようの……?」
「そうだ。だから今日からは自分のベットで寝て布団もちゃんと大切に使うんだぞ?」
「うん。分かったよ、ポチ!」
ケンジは俺から布団を受け取ると嬉しいそうに布団を抱き締める。
やっぱり子供の時ってなんか自分用のって言われると無性に嬉しくなるよな?
俺はそのまま夏物の服も奥へとしまってしまおうと手を俺が動かしているとコンコンと玄関の扉を誰かがノックする音が聞こえる。
「ん…?誰だろう?」
「僕が出てくるー!」
「あっ、ちょい!ケン!」
俺が動くより速くケンジは階段を駆け降り、玄関のドアノブへと手をかける。
「はーい!」
ケンジはがちゃりと玄関の扉を開ける。
「……えっ?」
その姿を見たケンジは驚きの表情を見せる。
「どうしたケン……」
俺は遅れて階段を降りたその時。玄関にいる人物の姿を見た瞬間、思わず隠れてしまう。
『な、なんでここにあのギルなんちゃら副隊長様がいるんだ!?』




