第二十九話 ビールで乾杯!
今回は少し長めです!
宴が始まり、俺とケンジの前には木の実を使った料理の数々に悪食豚頭の丸焼きやの肉を使った料理がどんどんと運ばれてくる。男たちは酒を飲みをの肉に舌鼓を打ち異世界の楽器を弾いて子供や女たちは炎を囲み、まるでキャンプファイヤーみたいに曲のリズムにのり躍る。
この祭みたいな雰囲気は好きなんだが……。俺はチラッと並ばれた料理をみた。
『味が薄い……』
もちろん異世界の食材の味を生かした料理との悪食豚頭と暴食豚頭の肉も柔らかくまるで高級な肉を食べているかのような肉質で美味しいのだが、出てくる料理の味は塩や砂糖などを使ったシンプルなものが多く、どれも純度が悪い調味料で味付けをしているせいかいまいち味にパンチが足りない。
『このお酒も……』
俺の木樽のコップになみなみと注がれているお酒は、味も色もビールに似ているのだが味が薄く、不味くはないのだがぬるいせいかキレも悪い。
「うーん……」
どうしたものかと考えていると俺はある考えに辿り着いた。
――そうだ! ないなら今ここで自分で作ってしまえばいいんだ!
俺はこうと思いたったら早速行動に移し、動き始める。まず村長さんの傍に駆け寄る。
「村長さん~! 俺もここで料理作っていいっすか?」
「えっ? もしかして、料理がお口に合いませんでしたでしょうか……?」
「あっ、いやそういうわけじゃないんだけど作りたい料理があって……」
「ほー、ポチ殿は男の方ですのに料理もなされるのですか?」
俺の話を聞いていたのか、いつの間にかに後ろに立っていたじいさんが話に加わってきた。
「あったり前よ、毎日三食ケンの料理誰が用意してっと思ってんのよ? 掃除、洗濯も家事全般のことならお任せあれ!」
施設では皆で家事を分担してやってきたからな。もう家事などの仕事は慣れっこなので全然苦にならない。ていうか俺はどちらかというと好きな方。
「ほほほぉ! それはそれは村の女性たちと話しが合いそうですな! ですが、儂も個人的にポチ殿のお作りになられる料理に興味がありますな」
「あのね! ポチが作る料理は思わず頬っぺたが落ちちゃうぐらい美味しいんだよ!!」
ケンジは両手で頬を押さえる仕草をする。そんなケンジを暖かい目で見守るゴーオラ。
「ケンジ殿がそんなに仰るぐらいならポチ殿の料理の腕前はかなり素晴らしいものなんでしような。儂も是非食べてみたいですな」
優しくケンジの頭を撫でるゴーオラ。こうして傍目から見ると、まるでよく一般家庭で見かける、孫とおじいちゃんみたいだな。
「じゃあ、俺少し家に戻って道具取ってくるわ!」
「はい、ではその間にポチ様の調理場は確保しておきますので」
俺はダッシュで家に戻り、必要な道具と調味料をだけを持ってまた村へ戻った。
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さて、あらかたの道具も調味料も揃ったしやるとしますか!
じいさんに案内され、俺は村長のお宅にお邪魔して調理場を借りることとなった。流石は村長。中々とご立派なお家で調理場も広く火の魔石が取り付けられたコンロもついてあった。
『材料はここに用意しておきましたので何か足りないものがありましたら、いつでも仰って下さい』
そう言い残すとゴーオラはまた宴の場に戻っていった。材料が入った箱を覗いて見ると悪食豚頭と暴食豚頭の肉は勿論、見たことのないヘンテコな食材が一杯並んでいた。
――まぁ、分かんないものはちょっと味見してみてみればわかるからいいっか。
今のところ異世界の食材は見た目こそは変な形や色もしているのが味は大体元いた世界と同じ味のものもあるので、今まで通り代用して使えばいい。俺はもう既にそれに作る料理を決めていた……。それは――。
「ガーリックと醤油と黒胡椒が効いたポークソテーに生姜たっぷりのしょうが焼き……!」
どっちもビールに合いそうなチョイスの料理である。早速、俺は調理に取りかかった。今回のポークソテーには 暴食豚頭の骨付きのロース肉を使うことにした。まず、ロース肉には切れ目を入れて食べやすく食べれるよう隠し包丁を入れておく。それが出来たら、黒実の粒と俺の持ってきた塩で両面しっかりとつける。
そして、フライパンにオリーブオイルをかけ中火でしっかりと焼く。じゅわっ!と弾けるような音で肉汁を閉じ込め肉が焼けると共に暴食豚頭の肉の良質な油がフライパンで踊るように跳び跳ねる。
そろそろいいかな?と俺は酒を投入し、一気にフランベを済ませる。アルコールの薫りが飛び、両面いい茶色の焼き目が付いたら一回肉を取り出し、俺はその汁は捨てずにフライパンの中に残して醤油とすりおろしといたガーリーの根をさっと入れる。
ソースがグツグツと煮だったら、また焼いた暴食豚頭の肉を入れさっと絡める。最後にレンジュの汁を味のアクセントに少し入れたらガーリーの根と醤油のパンチが効いたポークソテーの出来上がりである。
ではでは、次は悪食豚頭のしょうが焼きだ。しょうが焼きは俺は好物の一つであるため、久しぶりに食べられるとあってかいつもより心が踊るぜぇ!
薄く切った悪食豚頭の肉に小麦粉をまぶして、軽くはたき余分な粉は一切つけない。ねぎたまという玉葱に似た野菜は蓮根のように連結してる形で生えており、俺は使う分の1個だけそこから切り取る。半分に切って薄くスライスできたら、ボールに使う調味料は合わせておく。
よし、これで後は焼くだけだ。俺はねぎたまが透明になるまでしっかり炒める。そしたら、肉を弱火でじっくり焼いた後にすりおろしたジェンガーがたっぷりの入った調味料を入れ、汁が飛ぶまで火にかけたらねぎたまの柔らかジェンガー焼きの完成だ~!!
出来た料理を皿に持っていると俺のズボンを掴んだ子がいた。俺が振り返ってみるといつの間に入ってきたのか三歳ぐらいの黒髪の女の子が指を口にくわえながら愛らしいくりっとした黒い瞳で俺のことを見つめてくる。
「んっ、どうしたんだい? お嬢ちゃん」
「お兄ちゃんあのね、ここからおいしいそうなにおいがねしたの!」
どうやらこのお嬢ちゃんは俺の料理の匂いを嗅ぎ付けてやってきたらしい。とんだ食いしん坊さんのお嬢ちゃん。
「そうだ、お嬢ちゃん。俺の料理の味見をしてくれないか?」
「いいの? お兄ちゃん」
「あぁ、是非お嬢ちゃんの感想が聞きたいな」
「じぁ! 食べる~!!」
元気に返事をしたお嬢ちゃんに俺は火傷しないようフーフーと冷ましてからジェンガー焼きを食べさせた。
「おいしぃ~! あまくてしょっぱくておいしいね!」
目を輝かせながら俺の料理を褒めてくれるお嬢ちゃん。俺はその様子を見てほっこりし、頭を撫でる。だが、ほっこりしてるのもつかの間、視線を感じ俺は後ろを見てると思わずぎょっしてしまった。
何故なら俺の後ろにはお嬢ちゃんみたいに俺の匂いを嗅ぎ付けてやってきた村人たちが涎を垂らしながら熱い視線でこっちを見つめていたからである。
わ、わかった! 皆の分もきっちり作れるだけ作るからッ! そんな切なそうな目で俺を見ないでくれッーー!!
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「や、柔らかーい! 何このお肉! ねぎたまも甘くてこのタレをたっぷり吸い込んでるから美味しい!!」
「この甘くてしょっぱい味にジェンガーがすごく合ってる!」
「このポークソテーとやらもガーリーの根と黒実の粒と味が効いてて、この茶色ソースみたいなのも肉に絡んでいてうまいぞ!!」
やっと料理から解放された俺は席に戻る。お嬢ちゃんはお母さんが探していたのでお母さんの元へと戻してやった。
あれ?俺って歓迎される方の立場じゃなかったっけ?
っと、俺は料理に作るのに夢中で気づかなかったが。けれど、皆旨そうに俺の料理を喰ってるのを見て俺は責める気力も失せ、なんかもうどうでもよくなってしまった。
「こりゃ、うまい!! ジェンガーの辛みがいい感じに効いててお酒がすすみますのぅ」
「はい、このポークソテーという料理もガーリーの味と黒実の粒の味が美味しいです!」
旨そうに俺の作った料理を食べるじいさんと村長さん。
「あっ、じいさんと村長さん。ちょっとコップ貸して」
俺は二人の木樽のコップを借りる。そこに俺がラギムの麦を使い、スキル【発酵】で作ったビールをビール樽から注ぐ。俺が魔法で冷やしといたからキンキンにも冷えるはずだからうまいはずだ。
「ん? こりゃエールですかな? けど、泡が凄い立ってますな……」
「でも、麦の薫りが強いですね」
「俺が作ったんだ、飲んでみてくれよ」
「どれどれ……。!! こ、これはッ……!うまい!!」
「んんっ!! うまい!」
飲んでからものの数秒で物凄い勢いで目を見開くじいさん。ぐびぐびと一気に木樽になみなみと注いでいたビールを飲み干す。やっぱ、あんた年の割りに凄いなじいさん。村長も負けじとビールを飲み干す。
「ポチ様!! 村のエールより何千倍もうまいですよ! これは!」
「俺の世界にあるビールっていう麦から作った酒なんだ」
「成る程、異世界のお酒でしたか……。それにしてもこの麦の苦さとこのしゅわっとする不思議な味が喉を通る時の感覚がたまりませんのぅ!! それにこんなにエールを冷やすと美味しいと、この年になってしるとは……。なんか人生を損した気分ですのぅ」
「あはは、そりゃ残念だったな。じいさん」
俺も静かにビールを飲む。久しぶりのビールが俺の体に染み渡る。
あぁー! やっぱりおじさんにはビールが一番だな。ポークソテーを掴みかぶりつきながら飲むと、より旨い!
「お二人さん、お代わりは?」
「「勿論、頂きますとも!」」
元気にじいさんと村長さんはビールのお代わりをした。すると、すっかり酔っぱらった村の男たちがわらわらと寄ってくる。
「ゴーオラ様ー! 何飲んでんですかぁ?」
「おぉ、実はなポチ様が作ったというビールというものを飲んでいたのじゃ」
「これがびっくりしてしまうほどうまいんだ!」
「えっー! ポチ様!俺たちも飲んでみてもいいですか?」
村の男たちも新たな酒に興味津々な模様。
「いいけど、お前らお代わりするなら自分たちで入れろよなぁ~」
俺はビール樽の蛇口をひねり、気前よくビールを注いでやる。すると村の男たちはぐひぐひとビールを飲み干す。
「う、うめぇ~~! なんだ、このエールは!」
「麦の味が濃くて、このシュワシュワするのもうまい」
「こんなの飲んじまったらもう他のエールなんて飲めたもんじゃねぇよ!」
突然現れた謎の酒、ビールの話題で盛り上がる男たち。ケンジはというとお腹が一杯になり騒いだで疲れたせいか俺の膝と腕の中で猫のように丸まってぐっすりと寝ている。
俺はケンジが起きないよう静かにビールを飲みながら、最後まで宴を楽しんだ。




