第二十二話 (閑話) 岩石怪鳥・ロックバード
タイトル名を少し変更させていただきました。
「ではでは……スキル【発酵】!」
スライムの姿に戻り、前回の買い物時買っておいたシルク豆を体内に入れる。すると、どんどんとシルク豆は発酵していきあっという間に醤油と味噌ができる。
「おぉー! マイスイート醤油&味噌!!」
樽に入った醤油と味噌に思わず頬擦りしてしまう俺。後はこれに合う材料を取ってくるだけだ。
よし、そうと決まれば一狩行こう。スキル【変身】を使い人間の姿になり家を出てると森の中でキーちゃんと遊んでいたケンジと目が合い「少し狩りに行ってくる~」と俺が一声かけると「わかった~!気をつけてね~」とケンジはおっきな声で手を振ってくる。俺も軽く手を振り、隣の森へ足を向けた。
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「ん~、でねぇ……」
森に入って探索して一時間経つというとのにスライム一匹も見つからない。
「あぁ~!畜生!!」
早く帰って醤油と味噌を試したいのに!
俺の物欲センサーが発動しているのか今日に限って、まったくモンスターがでない。
「もう!」
俺は目についたそこら辺りに落ちていた石にイライラをぶつけるよう思いっきり木々に向かって宙に蹴りあげる。すると、「ギャア!!」という短い悲鳴が聞こえると共に木々の中から巨大な鳥が落ちてくる。
「あー……。なんか、ごめんね?」
だが、既に俺の蹴っ飛ばした石で絶命してしまっている巨大な鳥。まぁ、俺がこれも倒した? みたいだし。こいつを今日の夕飯にしてやろう。俺はずるずるとこいつの足を引き摺って、帰宅した。
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よーし、今日はこの鳥で照り焼きと俺が仕掛けといた罠で捕ったアジキレ鮭で味噌汁を作ろう! 既にスキル【解体】で食べらそうな内蔵を残し、綺麗に下処理は済ましておいた。スキル【精製】で白米しておいた米も出掛ける前にしっかりと浸水させておいたのでもう後は炊くだけだ。
まず怪鳥のモモ肉もフライパンの上でじっくり弱火で焼く。両面しっかりと焼けたら、醤油とスキル【精製】で純度を高くした砂糖と塩と料理酒を加え焦げないよう焼く。
本当は味醂とかも入れるとコクが増すので入れたいところだが今は作るのに材料が足らないのでここはぐっと我慢。タレがとろっとなったら皿に上げれば完成だ。
せっかくなので怪鳥のハツとレバーは昨日ケンジが森で見つけたというニーラの葉という韮に近い香りがする葉でニラレバ炒めでも作ろう。
ニーラの葉を洗って一口位にザクザクとまな板の上で切っていく。フライパンにハツとレバーを入れてしっかりを炒める。そしたら、醤油と黒実の粒と砂糖と塩を入れレバーとハツに絡める。最後にさっとニーラの葉を入れ、火を通したらニラレバの完成。
怪鳥のキンカンと砂肝の部分は味噌と醤油と砂糖と酒で味付けし、買っておいたジェンガーという生姜が似たやつを千切りに刻み、一緒に鍋入れて煮ればキンカンと砂肝の甘辛煮ができた。
ヤゲンは簡単に俺が植物の種から絞って作った特製オリーブオイルをフライパンにひき、黒実の粒と岩塩をたっぷりとかけ両面かりっとしっかり焼く。ほんのり芳ばしい焼け目がつけば完成。
アジキレ鮭は下処理を済ましたら、鮭を三枚に卸す。味噌汁の出汁を取るため骨と頭でじっくりと出汁を取る。骨だけ取ったら、切っておいた野菜を放り入れ、味噌と塩でシンプルに味付け。
野菜に火が通ったのを確認したら一口サイズに切り分けたアジキレ鮭を後入れし弱火で煮込めばアジキレ鮭の味が染み込んだ味噌汁が完成。
丁度、料理が完成した時に見事に男の子らしく体を泥だらけにしたケンジが森から帰ってきた。
「ただいま~! ポチ!!」
「おう、おかえり。ケン、飯の前にまず風呂入ってこい。お湯ためといてやったから」
「ありがとう。て、あれ?……クンクン、なんか今日の料理はすごい良い匂いがするね、ポチ!」
「おうよ、だから料理が冷めちまうまえに早く綺麗に体洗ってこい」
「は~い!!」
風呂場に走っていくケンジ。さて、ケンジが風呂から上がってくる前に料理を皿に盛っておこうと俺は手を休めず動き回る。
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「わぁ~! 今日なんか料理いっぱいだね」
机には数多くの料理が並ぶ。椅子に座り、二人で「いただきます」というと早速ケンジはでっかいモモ肉の照り焼きに齧りつき、食べたことのない味に瞳を輝かせる。
「何これ!甘くてしょっぱい~! でも、美味しい~! お肉も柔らかくて、皮もパリッとしてうまい~!」
ケンジはニラレバも食べると「コリコリしててこれも美味しい~!」と口いっぱいに頬張り、米をかきこみ幸せそうな顔で食べるケンジ。
うむ、そんな美味しいに食べてくれるならおじさん一狩行って頑張ったかいあった。
そんなことを思いながら、俺はまずアジキレ鮭の味噌汁を啜る。汁にはしっかりと野菜と魚の出汁が染み込んでおり、味噌の味が最大限に引き立つ。
「かぁ~……! やっぱり、日本人は味噌汁だよぅ……」
やっと念願の味噌汁と炊きたての米を食べられ、俺は若干涙が出る。次はキンカンと砂肝の甘辛煮に頂く。ジェンガーの辛さと柔らかく煮たキンカンと砂肝によく染みた甘い味がよく合う。
ヤゲンもコリコリとした歯応えと黒実の粒のスパイシーさがたまりませんなぁー。あぁー、ビール欲しい……。
ひっそりとそう思う俺。だか、【発酵】のスキルが手に入ったのだ。麦さえ手に入れば作れる! 俺はウキウキした。
「そういえばこの鳥肉ってなんのお肉なのー?」
ケンジは照り焼きがお気に召したのか、いっぱい食べながら聞いてくる。
「えっーと……確かスキル【鑑定】で見た時には岩石怪鳥って書いてあったような……」
「ロ、岩石怪鳥ッ!?」
「おっ、その反応はアイツもしかしてレアモンスターだった?」
のわりには弱かったな。
「えっと、捕獲ランクはDぐらいで戦闘力も低いんだけど……その名の通り岩石怪鳥は石を食べて育つ鳥なんだ。だから、相手を見つけ警戒するとその身は石のように硬くなって、そうなった岩石怪鳥の肉はとてもじゃないけど食べられたもんじゃない味なんだって。だから、この鳥を捕まえられるとしたらスキル【隠密】が使えそうな職業……。一流のガンナーやスナイパーじゃないと無理だと思う……」
「…………」
石を食べて育つ鳥が俺が蹴った石に当たって死ぬとはなんという不運な鳥だったのだろう……。
「どうやって捕まえたの?」とケンジに聞かれて俺は正直に「……い、石、蹴ったら当たって死んじゃった!」てへペロ!と可愛らしく舌を出して言ってみたが案の定、ケンジには「……はぁ?」と言う顔をされた。
だって、仕方ないじゃん。当たっちゃったもんは当たっちゃっただし。そう岩石怪鳥の照り焼きをかじりながら心の中で呟く俺。
残りの岩石怪鳥の肉は俺が氷属性魔法(小)の霜精で作った氷をたっぷりと詰めた木箱に入れ保存し、沢山あった料理は森に棲むモンスターたちにもお裾分けした。やっぱり美味しい料理は皆で食べないとね。




