プロローグ
剣と魔法のファンタジーです。お馴染みのエルフやオーガ等も登場します。
作中の騎士団は、現実でいう警察組織に近いものと考えて下さい。
また、一部残酷な描写があります。苦手な方は、注意をして下さい。
パンゲアード大陸全土を巻き込んだ戦乱が終わり、ゼアード帝国が大陸を統一して100年が経った。
全ての国が対立し、あらゆる種族が憎み合い、血の流れない日はない。まさにこの世の地獄であった。そして、ゼアード帝国の支配者オレカノスは、その地獄に名を馳せようと、剣を取ったのである。
勇猛な戦士であり、知略に長けた戦術家でもあり、大局を見据える目を持つ戦略家でもあった彼を止められる者はいなかった。
しかし、大陸を制覇したゼアード帝国の統治は、軍事力による支配であった。
『武帝』オレカノスは、刃向かう者には容赦なく剣を突き付けた。悩む者には、軍をチラつかせた。
しかし、従う者には平等に領土や黄金を与えた。そうして、大陸全土の国家元首の首に、『鎖』を巻きつけたのである。
そんなオレカノスが病に倒れた。後継者は、齢二十歳の息子アルハノスである。戴冠後、彼は即座に政治の方針を変えた。
軍事力は、治安維持の為の力である。大陸に住む全ての国民、種族、部族を恐怖により支配したくない。愛すべき友人として、共存共栄を望む。
歴史に名を残す賢帝の最初の言葉である。
そして、パンゲアード大陸の新たな歴史が紡がれる。