ぐだりぐだり 〜昼ご飯で
午前の授業も終わり、今は昼ご飯の時間。
カズマという関西弁を話す少年と、コウジという何の特徴もない少年の二人が、校舎の屋上で仲良く喋っていた。
「やっと飯やな」
「ほんと、もうお腹ぺこぺこだよ〜 今日のカズマのお弁当何〜?」
「弁当? コレや」
カズマは弁当のふたを開けてコウジに見せる。
「日の丸弁当か〜。 カズマのお母さんすごい手抜きなんだね」
「ぁ、これオトンの弁当やん」
「ぇえ!? お父さんのお弁当そんなに寂しいの!?」
「いやな、こないだオトンが浮気しよってな」
「ぁ〜、それでお母さんが怒っちゃったのか」
「いや、これ作ったん妹やな」
「ぇえ!? 妹さんがお父さんの浮気に怒ってるの!?」
「ちゃうちゃう。 浮気とかじゃなしに、いつもこんな感じやねん」
「かわいそうなお父さん…」
「そうか? てかコウジの弁当どんなんなん?」
「僕の? ふふふ、よくぞ聞いてくれました! なんと今日はレンちゃんが僕のためにお弁当を作ってくれたのです!」
「レンちゃんて、こないだコウジの家に住みついたあの無愛想な幼女か?」
「うん。 さてさていったい中身は何かな〜」
コウジは勢いよく弁当のふたを開ける。
「お前、これ…」
二人の視線の先、コウジの弁当箱の中には100円玉が一枚だけ入っていた。
「なにこれ!?」
「知らんわ! てか、これはひどいな…」
「なんか… ごめんね。 がっかりさせちゃって」
「いいって、気にすんなよ」
「………」
「………」
カズマは沈黙に耐え切れず、自分のご飯を食べだし、コウジはそれを見つめていた。
「…おいしそうだね。 白ご飯」
「ま、まぁな」
「優しいんだね、カズマのお母さんは」
「なんで?」
「お弁当にちゃんと食べられる物を入れてくれてるじゃないか…」
「…んなことないって! コウジなんか自分の好きな物選ばせてくれてるやん! めっちゃ優しいやん! 自由やねんで? その100円でなんか買いに行ってきいや!」
「…ないんだよ」
「へ?」
「足りないんだ… 消費税が、コレじゃ何も買えない…」
「そ、それくらい出したるやんか!」
「ほんとに!?」
「おう! 友情や友情!」
そーいってカズマはポケットから財布をとりだ一
「ない…」
「え?」
「財布落としてもうた…」
「いくら入ってたの?」
「1万… 今日、帰りにゲームでも買おうと思ってや…」
「そう… なんだ、ごめん、なぐさめの言葉がでてこない」
「いいていいて。 それよりごめんな、昼飯買えんなって」
「き、気にしないで! ちょうど、うまい棒をいっぱい食べたかったとこなんだ!」
「やさしいねんな…」
「うん…」
「………」
「………」
ながれる沈黙。
「…もどろか」
「うん…」
そして二人は教室に帰って行った。
オチがなくてすいません(-"-;)