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よくいる少年が異世界転生した話。  作者: かねしろ
第一章:始まりの世界
6/10

第四話「母の叫び(歓喜)ー1」

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2017/02/11

本文編集

2017/08/16

本文編集

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「…ふぁあ」


 欠伸が漏れる。


 リディル・レインハルト。

 現在、二歳。誕生日来ました、この前。

 今はもう家の中を自由に歩きまわることができ、階段の上り下りも苦もなくできるようになった。

 あと、この世界の言葉を話せるようになってきた。まだ綺麗には言えないけど。読み書きもばっちりだ。

 まあ、ステータスの恩恵もあるから、完全に自分の成果とは言いがたいけど。


 一歳からこの世界の読書の面白さに気づき、今なおその読書好きは継続中。今では、一日三冊、必ず読み終える。

 何故、貴族の家に、地下図書室なんてものがあるのか。それはここにある本を読み進めていくうちにわかった。微妙に。


 ここ、レインハルト家には、他貴族には、いやもはや他人の目に触れてはいけない秘蔵書が山ほど…とまでにはいかないけど、たくさんある。

 そのことはこの家系とごく一部と王族の一部のみが知るらしい。なにこの秘密設定。そして本に残すなよ。

 それは、もちろん俺にも教えてもらっていないことだ。まだ子どもだから当たり前である。


 何故ここに、とか、何故この家が、とか、王族が保管すればいいのに、とか、疑問に思ったこともあるけど、今だそのことはわからない。

 将来、教えてくれるかな、と期待して待っている。けど、俺の推測だと、この家が王家と何らかの繋がりがあるんだと思う。なにこの秘密設定(二回目)。

 王になるものは一人。それ以外の王位継承権を持った王の兄弟は貴族に落とされる。

 この家も感じ、つまり王様の兄弟の家系だと思っている。なんか矛盾あるけどそんなかんじなんじゃないか?

 だって前世じゃ政権争いなんて程遠い生活だったし。知らないよ。

 あれ、両親家出したんだっけか。

 それなら何でこんな広い屋敷を持っているんだろう。


 まあ取り敢えず、この家はなんか訳ありっていうことだな。



 ぺら、と読んでいる本のページをめくる。


 一歳のころ、疑問に思ったことは少しずつ解けている。

 まずは、《ステータス》から説明しよう。


『HP』はゲームでおなじみの通り、体力を表す。これがゼロになると、死ぬ。本当にゲームのよう。死亡の原理不明。


『MP』は魔力数値で、これがゼロになると魔力が枯渇で気絶する。気絶の原理不明。

 魔力は、魔法によって消費される。そして、魔力は『暴走』する。

 暴走すると、その魔力の持ち主が狂人になるとか、周りのものが壊れるとかいろいろ。なんだよ、狂人になるって。

 そのせいで今まで魔力を扱うものは忌避されていたらしいけど、その魔力の便利さが分かり、近頃は、誰でも気軽に使うものになったらしい。

 というか、学園とか作られて、魔力が多いほうが強いみたいなかんじにまでなっているとか。

 展開が早いから、実際の時間軸との誤差はあると思われる。

 たぶん、ほんとうに魔力持ちが忌避されていたのは、ほんとうに大昔の気がする。


 《魔法適性》は、そのまま、その系統の魔法が得意か苦手か、ということだ。

 適正があると、その系統の魔法の魔力消費が少なくなったり、コントロールしやすくなったりする。また、魔力と同じように、魔法も『暴走』する。

 それは、使い手の技能が不足していることが多い。

 その暴走をおさえるために、コントロールしなくちゃいけない。

 それを助けるのも、適性の役目。らしい。


 練度(れんど)? とは、その系統の魔法や技能をどれだけ使いこなせるか、ということ。

 練度があればあるほど、その系統の魔法や技能は使いやすい。

 逆に、練度が1のときは素人同然、というわけだ。

 これは努力次第で何とでもなるから、適性がない人はより努力して練度をあげようとする。


 スキルは、その個人の技能といっていい。ある条件を果たして、その特定のスキルが手に入ることもある。たまによくわからないものも混じるが、そこはこの世界の謎だから、まだ解明はされていない。

 この世界にも、前世と同じように謎はあるものだ。

 ……世界の謎とか、いきなり中二病ワードが本に出てびっくりしたけど、本気でその名が付けられ長い間研究されているというからさらにびっくりだ。


 称号は、持つだけでその恩恵をうけることができる。

 よくわからないけど、身体能力が上がったり、魔法が少し上手になったりするらしい。


 《聖剣》や《魔剣》、《勇者》については、まだよくわからない。資料がとても少ないからだ。異世界や転生のこともまだよくわからないし…。

 なにやら面倒事のような気がするから、関わりたくない。

 人生目立たないのが一番だ。


 しかし、俺のことについて、わからないことが多すぎる。思わずため息をつく。


 そして、今現在最も解決していない重要課題が、《ステータス鑑定》だ。

 二歳だ。もう時間がないのに、いい感じの解決策が浮かばない。

 はぁ、とため息をついてしまう。


 今のところ、考えたけど微妙な案が、

 ・鑑定石を魔力暴走と見せかけ壊す。

 ・病気やらなにやら流行らせ、鑑定どころじゃなくさせる。

 ・いっそ王城ぶっ壊す。

 ・もう、この家没落させる。

 などなど。


 この結果に、俺は人を不幸にさせることしかできないのか……と落ち込む。

 現実逃避したいけど、それじゃなにも変わらない。まさに四面楚歌。

 意味違うかもしれないけど、俺の頭は悪いからこの言葉しか思い浮かばない。


 他の本読むか、と、読み終わった本を片手に立ち上がる。

 その時。


「きゃああっ、本当に!!??」


 地下にまで響くその弾んだ声に、びくっと肩が跳ねる。

 この声はたしか…、


「母さん…?」


 俺は天井…母さんのいるであろう方向を見つめ、つぶやく。この声音は、多分喜んでるんだろうけど。急いで、一階へ上がっていった。気になるし。


 ……もちろんはいはい。くそっ、なんか屈辱だっ。



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