第二話「親バカ達による、姉帰省記念パーティー」
言葉遣いが未だ安定してません…。
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2017/01/26
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2017/02/10
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2017/07/30
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まず、姉のことを紹介しよう。
といっても、ヴィネットさんや母さんから教えてもらった情報だが。
正しくはシャルリア・レインハルト。
職業は王都騎士団副団長。結構良い立場の人だった…。
忙しかったようで、連絡ができなかったらしい。自由人じゃなかった…。
家に帰ってきたときは薄い服を着ていたから、引き締まった体つきをしているのは一目瞭然。
容姿は貴族の子女としては逞しい筋肉を除けば、十分可愛い。
しかし、騎士団団長としての実力者だからか、滲み出るオーラで、子供に近づいたら高確率で泣く。近くにいるだけで威圧がかかるような感じだった。
特に目元!
見られているだけで、大人でも心が弱い奴らは確実に逃げ出したくなる鋭さ。
美人だが、人を寄せ付けない雰囲気だ。
身長はヴィネットを軽く超える程度。
声は年頃(?)の女の子にしては若干低かった。
それが、玄関にいました。
彼女を見た感想が、『超逃げたい』。
こっちを見られたときは睨まれたと思った。
たとえ身長差とかいろいろ仕方ないところもあるんだろうけど。
でも、彼女は一体何歳なんだろう。見た目からしてすっごい年上のようだが…。
養子じゃなければ、まだまだ若い方だろう。
元の世界にも姉はいたが、もうちょっと優しげがあった気がする。
どうしてこんなに違いがあるのか。
「…ただいま」
シャルリアが帰ってきたとき、彼女は一言、そういった。
途端、パーティの準備……というか最終チェック? をしていたヒル達がすごい勢いで玄関へ走ってきた。
さすが親バカ。
恐ろしいその行動力。
ちなみに、俺は玄関で待機することにしていたから、どんな飾りつけかはわからない。
座ってたし、こっちは赤ちゃんだから見下ろされてビビったぞ。
「おかえり、シャル」
父さんがそう言う。
続けて母さんが。
「おかえりなさい、シャル!
今日はご馳走よ!」
おい、怒れるんじゃなかったのか。
笑顔で言う二人に対して、心のなかでそうつっこんだ。
「毎回毎回なんでパーティなんてするのよ……。
これだから帰りたくないんだ……はぁ」
…ぼそっとごちるシャルリアの小言を俺は聞き逃さなかった。
帰って来るたび毎回パーティーやってんのか?
なるほど。確かに俺も、毎回これを繰り返させられるのは嫌だな。
姉さんも、いろいろ苦労してんだなぁ。
パーティが始まった。
しかし、どうしよう。姉さんが全然楽しそうじゃない。
それどころかずっとこっちを見てくるのだ、真顔で。
こ、恐い。
父さんと母さんは、会話に花を咲かせているものの、いまだ俺の話をしていない。
だから、
(いい加減俺/私の紹介をしてほしい)
俺は、ため息をつきながらそんなことを考えていた。
姉さんも思っていたらしく、
「母さん達。いい加減このちんちくりんのことを紹介してよ。
王都にまだ仕事が残ってるんだから」
誰がちんちくりんだ!
しかし、この世界だと赤ん坊の姿だから、なにも言い返せない。
まだ喋るのもままならないしな。
しかし、さすが王都騎士団。
この家が国のどの位置にあるのかは知らないが、忙しいのだろう。
そんな中来るのは、結構疲れると思う。
自由人だと思ってました、すいません。
俺は心の中で謝っておいた。
「あ、そうね、紹介しなきゃ!
新しい弟の、リディルよ!
あんた顔恐いんだから、もうちょっと優しくしなさいな」
俺を抱えて、レイリアが爆弾を落とす。
シャルリアは、レイリアに指摘されてうぐふっと呻いた。
顔のことを気にしているのかもしれない。
「わ、私だってちゃんと恐くないように笑顔とか練習してるしっ、それに、王都のみんなは可愛いって言ってくれてるから!」
ダンッと机を叩き、若干涙目のシャルリアが言い返す。
一人称”私”なんだ。ていうか口調が意外だった。
もうちょっとでお茶がこぼれそうだったが、父さんが慌てて抑えていた。
「あうぁー?」
「! ど、どうしたの?」
シャルリアの服の袖を引っ張ると、ハッとして、俺にぎこちない笑顔で聞いてきた。
その笑顔でさえ怖い。
改善しようとしているのか。
どっち道怖いから真顔でもいいよ。
「うゃあぁ」
フルフルと顔を横に振り、手を顔に伸ばす。
笑顔をやめてもらいたいんだよ。
そうしないと何故か背筋に悪寒が走る。
ぎこちない笑顔がトラウマになったのか。さすがにないか。
だけど、取り敢えず笑顔やめてください。
途端、伸ばした両手からか細い黄緑の光がホヨホヨとでてきて、シャルリアの顔を優しくなでた。
しかし、少しすると光は空気に溶け込むように薄れ、やがて消え失せた。
「…」
シャルリアは呆然と俺の両手を見つめた。
心なしか、表情が柔らかくなった気がする。悪寒がなくなりホッとする。
一方、両親はというと。
「い、いまの…魔法、よね?」
「それにしては何か…魔力、とも言い難いしなぁ…。
しかもこの年で…無詠唱?
詠唱省略でもないし…どこでそんなもの覚えて…」
ブツブツと……俺には普通に聞こえてるけど、討論をし始めた。
俺はまだ理解できずに、首をかしげていた。
魔法が存在することは知っていたが、習ってなかったし、使ったこともない。
あれ、まさか素質ある? ありますか?
パーティはいつの間にか議論会となり、シャルリアは笑顔になった。
うわっ、背筋に悪寒がっ。