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よくいる少年が異世界転生した話。  作者: かねしろ
第一章:始まりの世界
3/10

第一話「始まりの家と家族」

展開が急な部分があったり、ナメクジスピードがあったりしますが、そのうち見直して改善していきます。

言葉遣いが安定しないですが、ご了承ください。


説明回です。


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大幅に変更しました!内容はほぼ変わらないかと思われます!

すいません!

-----


 まぶしい。あと寒い。

 目を開けて、彼は(・・)真っ先にそう思った。


「…え」


 彼は(・・)――怜人は、あることに気づいて、慌てて飛び起きた。

 飛び起きようとした……体は動かせなかったが。

 違う、起こせなかったというより、体に力が入らない? と、自問自答する。


(ここ…何処だ(・・・)…?

 何故、俺は生きているんだ? 生きているのなら、何故俺は…)


 そのとき、思考を遮るように女の人の声が聞こえた。


「――?――?―――。―――」


 結論、聞き取れなかった。

 耳が悪くなったわけではないようで、雑音一つなく聞き取れている。

 たとえで言えば、外国語の分かんない日本人が英語を聞かされるような感じであった。

 どういうことなんだ? と疑問で頭が埋め尽くされる。

 声の調子からして、不安げ…だということはわかったのだが、それは怜人の観点からするとそこまで重要ではない。


「…あ、うぁあー」


 声を出そうとして、上手く出せないことに気づく。舌が上手く動かない。


 (何が起きた……?)


 冷や汗が伝った気がした。

 焦る怜人とは裏腹に、女の人は俺を優しく抱きかかえてホッとしたような声を出す。


「――!――――!!」


 また一つ疑問が増える。

 目覚めたばかりなのかどうしてか、焦点が合わない。ぼんやりしてはっきりと写らなかったが、明らかに、この女の人が細く(・・)大きいと感じた(・・・・・・・)のだ。

 大きいとは、つまり、怜人より、大きいということだ。

 男子高校生より、である。同じ日本人女性で、そうそう男より身長が高い人はいないはずだ。男の方がよほど低い身長の場合を除いて。


 この疑問が解決すると思えずほったらかしにすると決めて、首を支えられながら、怜人は目でできる限り周囲を見回す。

 目は相も変わらず見えにくいが、それでも見回しただけで知らない病院とわかった。

 しかも、まわりの奴ら全員が、いや、建物も心なしかでかく見える。


 嫌な予感がした。流石に、この一つの可能性を思い浮かべる。

 恐る恐る、怜人は自分の体を見る。

 思えば、校舎から落ちて生きていても、さすがに傷が残っているはずなのだが、全く痛みがなく、違和感もないのはさすがにおかしいのだ。


 ……見てから、ぎゅっと目を閉じる。

 二度見。

 しかし外見に変化はない。


 ――――見えたのは赤子のような、ぽちょんとした手足。


 (……いやいやいや、待って。

 信じられるかっつーの、おい……)


つまりは、あれだ。転生というやつなのだろう。



 *

 1ヶ月が経過した。

 はいはいができるようになったんだぜと心の中で自慢する。


 これが所謂、転生か、と、今でもしみじみと思い出せる。

 なにせ、滅多にない――というより実際にあるとは思わなかった体験をしたのだ、無理もないはずだ。


 ……いまでも何かのどっきりじゃないかと疑いもするが。


 とりあえず、新しい我が家を散策するためにはいはいをして移動する。

 この一ヶ月で――いや、一か月前に気づいたことは一つある。


 この世界が、異世界、ということだ。


 文庫本でよくあるパターンではあるが、なんとも信じがたい話である。

 なぜならこの異世界転生は、男なら一度は夢見たことのあるだろうシチュエーションなのだ。

 実際わが身に起こってしまうと、『チート』なんて無理な気しかしないし、そもそも普通に暮らしたいと切に願っているのが現状であるが。誰でも痛い思いはしたくないし、そもそも価値観の違う場所で過ごすことすら不安でしかないのだ。


 病院で生まれたときに最初に目に入った、あの女の人は母親らしかった。

 レイリアというらしい。

 彼女とヒルディアル―父親は、はいはいをする怜人を見て腰を抜かすほどに驚いた。

 さすがに一ヶ月ではいはいは早すぎたらしいが、怜人も狙ってやったわけではない。


 前世で一人っ子だったために赤ん坊のことは詳しく知らないが、一ヶ月ではいはい等、怜人の行動が予想できず彼らはよく慌てている。さすがにこれが少しばかり以上であると分かるので、どうかこれを基準にしないでくれと思う毎日だ。


 この世界の言葉を完全に理解していないからわからないことも多いが、この家や家族のことが……といってもまあまあだし、この家の人に聞かされたことしか知らないが、わかってきた。


 リディル・エイリス・レインハルトというのが、怜人の名前である。異世界ともあって、外国のような横文字の名前が格好いい。

 容姿は、良い方だろう。

 髪色は金髪、少し短め……というかほとんど生えてないくらいで、眼は青。

 金髪でも地毛なだけあって、染めたような色とは雰囲気が違う。違和感がない。

 目は青色…というか、空みたいな色だ。


 次に、母――レイリア・エイリス・レインハルト。

 母の実家、ミデュリック家は中級貴族、というものらしい。貴族については、また今度説明するとしよう。

 性格は、結構穏やか――しかし怒るとものすごく恐い――で結構おしゃべりで、ドジだ。

 貴族の淑女だし、静かでニコニコしているのかと勝手に思っていたのだが、全然違った。

 ミデュリック家は選民意識の高い家系だったらしいが、母自身はその方針が気に入らなかったようで、なんと家を出たらしい。

 母は家を出てから冒険者になったという。

 冒険者は、簡単に言うと何でも屋みたいなもので、商人とか貴族の護衛とか、魔物の討伐とか、本当に様々なことをするらしい。

 母さんは高ランク……つまりは凄腕冒険者で、有名だったそうだ。

 治癒魔法――これは別の機会に説明する――に特化していたために、現役時代に組んでいたパーティにはすごい頼りにされていたらしい。

 母さんの容姿は、年齢より若く見えるし、美人な方だ。

 母さんの年齢は二十一。この世界は十五が成人らしい。

 髪色は綺麗な金髪。髪色は母さんから受け継がれたものだ。目は藍色。

 身長は怜人より若干高い。

 怜人の身長が同世代より高い方であったため、この世界は平均して身長が高いのであろう。


 次は父――ヒルディアル・エイリス・レインハルト。

 エイリスという実家は、上級貴族というか、上級のなかでも、お偉い家柄だそう。

 父も高ランク冒険者だったそう。

 母と違い、なるまでの経緯は聞かせてくれなかったが、何かしらの御家騒動の末なんだろうと考えている。

 魔法より剣術――まあそのまま剣の術のことだ――の方が得意だったらしい。

 今は怪我で引退したようだが、そこまで生活に支障があるようには見えなかった。

 容姿は、まあいけているのではないだろうか。一児の父だが、かなりの好青年に見える。レイリア一筋で、女癖が悪い訳ではないらしい。

 髪色は、金髪といえば金髪だが、茶色と言った方が納得(?)する色合いだ。目は緋色。

 ちなみに二十四歳らしい。


 …とまあ、こんな感じだ。

 ほかに一ヶ月で分かったことと言えば、この二人は親バカだってことくらいだろう。

 俺の専用なのか、子供用の衣類が抱えきれないほどあるのを探検中に見た。

 まあ、愛されないよりはいいので、幸せに過ごさせてもらっている。


 ああ、言い忘れていたが、この家にはメイドが一人いるみたいだった。

 その侍女の名前が、ヴィネット・リリスフィア、さん。

 この人はまだそれほど親しくはないため、わかることは少ない。ほぼ会わないのだ。

 ヴィネットさんは、よほど暇人だったのだろうか、何でもできるような人だった。

 勉強も剣術も魔法も掃除の仕方も、驚くくらい手際が良かった。

 年齢はレイリアより一、ニ歳年上で、身長はレイリアより高い。

 髪は金色だけど、前髪の左寄りに銀色が一筋ほどあった。目は赤色で、角度的に橙色にも見えるだろう。


 とまぁ、家族紹介はこんなかんじだろう。




 それから、三日が経ったある日のこと。

 突然のことだった。

 リビングでボーッとしていた父が突如目を見開き、


「そろそろ、あいつが帰って来る頃だから、ちょっと(・・・・)パーティでもするか?」

「あら、もうそんな時期? 時間が経つのは早いのね!」

「そうと決まれば急いで買い物に出かけなきゃなあ」


 唐突に、それはもうニコニコとしただらしない顔になり、父がそう言った。

 母は花開くような笑顔で受け答えし、上機嫌で買い物に出かけて行った。

 唖然とする怜人を置いて。

 なんの騒ぎだ? と、とりあえずヴィネットさんのメイド服の裾を引っ張り、説明を要求する。


「ああ、リディル様はご存知ないのですね。

 リディル様のお姉様のこと」


 実は、姉が一人いるらしい。

 しかも今までほとんど家に連絡せず、消息がつかめていなかったほどなのだとか。

 そんな自由放漫な我が姉がそろそろ帰って来る、と。


 普通の人がいいなと怜人は静かに願った。



-----

▽補足説明▽

-----

・名前の構成として

親(貴族の場合)

 名前・苗字(家名)・王家から貰う銘

子供(貴族の場合)

  名前・苗字(家名)・王家から貰う銘


子供は親の銘を貰い、婿、嫁に行く人は銘を捨てて夫もしくは妻になる人の銘を貰います。



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