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よくいる少年が異世界転生した話。  作者: かねしろ
第一章:始まりの世界
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プロローグ・スタート

初投稿です。

拙い文章で、分からないこともありますが、指摘してくださると助かります。

投稿スピード遅いです。


 その日は雨が降っていた。

  誰かの死を哀しむかのように。



 気づくと、俺は落ちていた。

 屋上から。

 屋上の柵の、向こう側にいる少女は、笑っていた気がする。

 それは、これまで一度も笑わなかった、俺の唯一の幼馴染だった。


「…え?」


 それを理解した直後、体全体に凄まじい痛みが走り、息が詰まった。


「あぐ…っ!」


 凄まじい、なんて言葉じゃ、表現できないな、これ。

 周りには誰もいない。

 当たり前だ。

 ここは、廃校になってしまった、俺らが通っていた小学校だから。

 俺の幼馴染は、もうどこかに行ってしまっている。

 少し、寂しかったりもするな。


 少し視線を下げると、ぼんやりと霞む視界の隅に、痛みで動かない俺の体と雨で流れていく赤黒い液体が流れているのが映る。


 あぁ、俺は死ぬのか。


 他人事のように思った。

 昔から死にそうな目には何度もあったし、幼馴染(あいつ)以外、誰も助けてくれなかった。

 毎回、ぼっちだということを思い知らされるのなら、いっそ死んだ方がましだった。

 そもそも、女に助けられるなんて恥ずかしかったし、幼馴染(あいつ)に助けないで欲しいと思ったこともあった。


 でも、やっぱり。

 ずっと一緒にいた幼馴染(あいつ)に見放されるのは。


「さすがに、…悲しくな、るもん…だなぁ」


 悲しくなったところで、絶望したって、運命は変わらないのだが。

 目をゆっくりと閉じる。

 すると、少しずつ、意識と痛みが遠のいていくような気がした。


 我ながら、不幸な人生だったなぁ。


『可哀想な____くん』


 独りぼっちで、誰も助けてくれなくて。


『そんな世界となんか、さよならしようよ』


 …できたら苦労しないだろ。


『____くんなら、生まれ変われるよ』


 生まれ変われるなら、今度こそ、幸せになりたいな、なんて。


『もう、やっと言ってくれた。

今までボクを無視するなんて、本当にこれだから生世界(せいせかい)の人は』


 無視? 生世界?


『おっと、話題がそれちゃった。

そろそろ時間だから______、_______。____』


 途中で声が聞き取れなくなった。


 俺が脳内に響いていた少女の声に何の疑問を持たなかったのは、死ぬ寸前だったからだろうか。



 ___6月12日。

 自分の誕生日の日に、俺、有栖川 怜人(ありすがわ れいと)は死んだ。

 幼い少女に看取られながら。


『うふふっ!』


『やっと「生まれ変わりたい」って言ってくれたなぁ、もう。

 ボクはその言葉を待っていたんだから。ずっとね』


 男子生徒の傍らにしゃがむ少女、否。

 少女の姿をした、長い年月を経て膨大な知識を脳に詰め込んだ年をとらない”化け物”は、くすくすと笑う。

 まるで、再会を喜ぶ幼女のように。


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