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その3
あわててしゃがみこみ、足元のすきまをのぞきこむと、そこには一枚の百円玉とほこりだけだった。
小人のショックでボーっとしているぼくに、相方は、6連勤はきついよなと、ねぎらいの言葉をかけてくれた。
金曜日の夜勤明け、土曜日の朝。夕方には彼女とデートの約束をしている。
ぼくが見た、目の前で起きた、小人の話をしたとき、彼女はどんな反応をするだろう。
話すことに困らなそうなデートにワクワクしているぼくがいた。
夜勤明けの、薄暗い早朝の空気を胸いっぱいに吸い込み、そして、ぼくはゆっくりと家路についた。
Fin