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幻想見聞録  作者: 藤宮周水
89/163

第四章㉔


「さて、こちらも海賊金の用意はできました。さあ、その証書を」


 二人の飲み方なんかをしばし眺めていたクラインに、現金の用意ができたウルバーノはしわくちゃの土汚れている右手を伸ばした。だが、その目線はクラインの方ではなく、クラインの所持している革の入れ物に向いている。


「分かりました。こちらです」


 クラインは革の入れ物の留め金を外し、中の羊皮紙を取り出した。その羊皮紙には要約すれば、この紙には海賊銀五十五万六千五百枚の価値がある、という事が難しい言葉を使って、長々とつづられている。


 クラインは、少しだけ、この証書をウルバーノに渡すのを戸惑った。無論、もしかするとウルバーノに騙される危険性があったからだ。当然のことだが、今回の話のようにわずかな努力や仕事で莫大な利益を上げられる類の話は、大抵が嘘か、死と隣り合わせになるような危険な仕事だからだ。


 ウルバーノには騙す気が無いのか。笑顔で手を伸ばすその笑顔が、クラインをより一層追い込んだ。


 しかし、ここまで来て引き下がるわけにはいかない。この紙をウルバーノに渡し、海賊金さえ手に入れられれば。


 この取引さえ成立すれば、そこで仕舞なのだ。何を恐れることがある。


「どうぞ」


「確かに、お預かりいたしました」


 遂に、クラインは羊皮紙をウルバーノに渡した。今まで、こんなにこの羊皮紙が鉛の板の様に、重く感じたことは無かった。しかし、その重みは当然のことながらクラインだけが感じることのできるものであり、その羊皮紙を受け取ったウルバーノは、それをいともたやすくクラインの手から持ち去り、両手に持って内容を凝視した。


「成程。確かにディオーネ商会で儲けになられた銀のようですね。では、計算しましょう」


 まだ手に羊皮紙の間隔が残っているクラインをよそに、ウルバーノはさっさと換金する作業に移った。もう、両者が儲かることは確定しているのに、何を急ぐことがあるのか。


「現在、海賊銀と海賊金の交換比率は銀四枚につき、金一枚です。よろしいですよね?」


「はい」


すみません、またちょっと短めです。

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