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幻想見聞録  作者: 藤宮周水
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第四章㉓


「おっと、そうです。客人には、是非何かお飲み物を……こちらの、セイロン産の紅茶でもいかがですか?」


 そう言って、ウルバーノは事務机の上に置かれていたティーポットに手を伸ばし、陶製のカップに紅茶を注いだ。まだ湯を入れて間もないのか、鮮紅色の液体は湯気が立っており、匂いもなかなか高級そうな、渋みのあるものだった。


 クラインも、何回かこう言った東方から輸入されてくる紅茶を飲んだことがある。どれも、西方では飲み物の代表例である葡萄酒や蒸留酒とは違って、いくら飲んでも酔う事のない、あっさりとした味の飲み物だった。


 確か、クラインの記憶によれば、もともと紅茶はこのような赤い色ではなく、緑色の飲み物で、シンドやもっと遠くの茶の原産地では、緑色の茶を飲んでいるのだと言う。茶を運んでくる途中、熱いシンドの海を渡るので、茶が発行して紅茶になる、らしい。


「すみませんね。では、一杯」


「私もお願いします」


「じゃあ、私も頼もうかしら」


 クラインが初めに注がれた一杯に手を伸ばすと、ライサ、続けてネウも紅茶を頼んだ。そしてウルバーノは表情を崩さず、髭の下からニッコリと微笑み、新たに事務机の引き出しから取り出した二つのカップに同じように紅茶を注ぎ、二人に手渡した。


 二人はカップを受け取り、それぞれ飲み干した。ライサは初めに小さく口をつけ、その後にゆっくりと時間をかけて飲んだ。猫舌であるライサにとって、熱い料理と紅茶は天敵だ。時間をかけて、ゆっくりと冷ましながら食べたり、飲んだりする必要がある。だが、そのゆっくり飲む姿が、上品さと清潔さを醸し出している。


 その一方でネウはカップの底が見えるくらいカップを傾け、紅茶を口の中に流し込んだ。なんとも上品さのかけらもない飲み方だ。だが、その幼児っぽい飲み方が、逆に可愛さを引き出す。


 そして自分もネウほど早くは無いが、紅茶を一気に飲み干す。渋みがあり、少し苦いような味がした。が、元々大した量ではなかったために一息で飲み干すことができた。紅茶には砂糖を入れた方が甘みが増し、より口当たりがよくなるのだが、贅沢は言っていられない。


化学ではなく、国語がヤバかったです。

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