第四章⑳
この、常に上からものを言う様な尊大な態度。可憐な顔に似つかわしくなく、あまり愛らしいとは言い難い、射るような目つき。口元をわずかに上にあげ、磨き上げた大理石の様に白い前歯をわずかに見せる、にやついた笑み。そんな、路地裏のいたずらっ子を思わせる、ネウのひん曲がっているようで子供の様に真っ直ぐな性格は、クラインの思惑をことごとく攪乱してきた。もしかすると裏があるのではないかと疑えばそうでは無く、空振りに終わったり、かといってまともに話せば思いもよらぬ裏があったり。
食費もかさむし、寝相は悪くないが、寝起きは最悪で、正体が教会に見つかれば火あぶり確定の、この娘が吸血鬼であるという事実。
これだけ扱いに困り、ただ見た目が可憐で美しく、可愛い事と莫大な知識だけが取り柄のネウに、自分でもよくあの状況から逃げ出さずにいられた、とつくづく感心する。
その気になれば、ライサを置いてクライン一人だけで逃げ出せる機会はいくらでもあった。船と船員をおいて逃げても、商業同盟の銀行の口座には小さい船がもう一隻買えるくらいの金はある。
それでもなお、ネウに脅しとはいえ、付き合っていられるのはごく単純にクラインがネウの事を好きなだけなのかもしれない。いや、そうだ。
これからも、恐らくネウの目的が果たされるまで、俺はネウに振り回され続けるのだろう。だが、俺はそんなに易々と諦めの利く男ではない。
「さあ、ライサ。お前の持てる知識を、十二分に活用させてほしい」
「足を引っ張ることの無いように尽力いたします」
ライサも、今回の交渉を快く引き受けてくれた。となるとやるべきことは一つ。
全力をもって、頑張るのみだ。
「最後まで気を抜くことのないようにね」
すみません。テスト前なので短めです。




