第四章⑭
「これを、ガーボヴェルディから持ち出し、どこかの都市に売る。できれば、金の価格が高い都市の方がいい」
「まあ、商売の基本上、そうなるでしょうね。でも、結局その金塊はリモーネ銀貨四枚以上の価値は持たないはずでしょ? 使っても同じじゃない」
「確かに、金貨として扱えば、リモーネ銀貨四枚以上にはならないな。だが、これは「貨幣として使わず」しかも、「海賊の占領地」以外で使うとどうなる?」
「あっ、もしかすると……」
流石、ネウは頭の回転が速い。クラインもこの説明をウルバーノから聞いたが、二回の説明でようやく理解できたのだ。
ライサが一回の説明で理解したことには閉口するが。
ネウがもし、吸血鬼などではなく、見た目通りの人間で、クラインと同じように商人をやっていたことを想像すると、恐ろしくてたまらない。ライサでさえ恐ろしいと思う事が多々あるのに、そうであればとても商人なんかやっていられなくなる。
「海賊金を貨幣として使わず、「金塊」として「売る」のね?」
「ああ、そうだ。さっき話したように、西方諸国では、金と銀の交換比率は一対十五だ。だから、海賊金を売ると、リモーネ銀貨十二枚になる。勿論、重さで測るからこれも多少の誤差はある。だが、確実にそれだけの利益、つまりは四倍の儲けを両替のみで儲けることができる」
勿論、これはリモーネ銀貨四枚を例として出したからであって、銀貨の枚数を増やして今の両替をすれば、その儲けはさらに跳ね上がる。まさに、美味すぎる話ともいえた。
しかしその見返りに、今手持ちがないウルバーノは、前金としてリモーネ銀貨を両替してできた金貨十枚、即ちリモーネ銀貨にして五千枚と、取引成功後、サントメで落ち合った後に報償金として金貨五枚を要求してきたのだ。
「ウルバーノが提案してきたのは、そんな内容だ」
クラインは銀貨と金貨をしまい、机をさっと手で払った。
勿論、通常の取引としては、リスクが高すぎる。そんな金額が前金では、金を払った途端ウルバーノに逃げだされてしまう可能性だって十分にある。
だが、ウルバーノと組むことでウルバーノに支払う金の何十倍、普通の交易で手に入れる金の何倍もの利益にありつけるのなら、悪い話ではない。
「良い話じゃないの。その取引を受ければ、貴方は大きな利益を得ることができるんでしょう?」
「ああ、確かにそうなんだが……」
「? 何か心配事でもあるのですか?」
「気になるわねえ」
夏休みが実質一週間ですよ。




