第四章⑨
夜のとばりが落ちはじめ、夕方でもわずかについていた街の灯りも一つ、また一つと消えていくなか、クラインとネウの二人は歩いていた。
ライサはといえば、翌日の朝食を購入するために一足先に暗がりの市場で買い物を済ませ、そのまま今日泊まる予約を入れている宿に帰っている。
「きれいな星空だな」
「ええ、そうね」
ライサと別れた後、二人の間に交わされた言葉は、これまでにそれっきりだった。特に話すべき事柄も無く、会話になるような話題も無い。話せることと言えば、雲一つない空に満天の星空が写っていたことぐらいだ。その後は察しの通り、無言の時間が長く続いた。ネウが何を想い、何を考えているのかも、全く想像できない。
「……なあ、一つ、聞いて良いか?」
「……どうぞ」
やっとの思いで会話を切り出したクラインに、ネウは相も変わらず愛想のないツンとした声で答える。だが、ネウもクラインと同じように無言の時間に退屈はしていたようだ。その愛想のない顔の裏に、クラインが何を話すのか楽しみにしている、そんな考えが見え隠れしていた。
「お前は、俺はどういう人間だと思う?」
「貴方を?」
突拍子もない質問に、ネウは思わず吹き出して破顔した。確かに、突拍子もない質問だ。ただ、クラインはそれをどうしても聞いておきたかった。俺自身はネウにどういった人間として見られているのか。どういう人間として映っているのか。
「一言でいうのなら……」
「躊躇わず行ってくれ」
「面白みのない、つまらない人ね」
よく言われる。
ブレヌフにも、旅先で会った知人にも、師匠にも、久しぶりの友人にも。
だが、食い入って聞いてしまうような会話も話せるし、気の利いたジョークも、クスッと笑えるような冗談も普通に考えられるし、特に相手が気に入らない内容を何の臆面もなく口に出してしまうような性格でもない。自分としては凹も凸も無い、平凡な性格だと確信している。
それがつまらないんだよ、と幾度となく言われた。そう言われてしまうと、クラインはこれ以上の反論は不可能になってしまう。
だったらなんだ、酒を飲み散らかし、大手を振って騒ぎ、民家に入り込んで他人に迷惑を掛けろとでもいうのか、といえば、そうじゃない、と呆れ顔で返されるからだ。
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