第四章③
「料理はこうやって頼めば増えるのよ」
「やられた」
「降参です」
さも自慢げにからからと笑うネウをよそにクラインは頭を抱え、参りました、と体で表現した。ライサも、手で白旗を振るように宙に円をかいた。半分は演技だが、もう半分は演技ではない。
折角サルタナの取引で得た利益が、多かれ少なかれネウの食費で消えてしまうことを思うと報われない気持ちにもなろう。
だが、ネウが頬一杯に肉料理を頬張る姿を見て、クラインは一つ思うところがあった。
それは、船での食事は、不味かったからそんなに食べなかったのだろうか、というところだ。
もしそうなら、ライサの料理が出る日以外は小麦のパンばかり食べていたのもうなずける。これが料理長に知られたらさぞ嘆き悲しむだろう。
どうにかしてネウの腹がここら辺で満たされてほしい。叶うことなら、か細い見た目通りの食欲でいてほしい。そんな事を思っている矢先だった。
「ご一緒してもよろしいですかね?」
ふと、クラインの耳元で聞きなれない低い声が聞こえた。
顔を見上げると、薄汚い大きな皮袋を背負い、顎にひげをぼうぼうに蓄えた、見た目五十代後半の男が目を細めていた。
「ええ、どうぞ」
特に拒否する理由も無いので、クラインは笑顔で快く、丸テーブルの空いている椅子をすすめた。ネウはその男を一瞬だけちらっと横目に見たが、新しい料理が運ばれてくるとすぐに視線を皿の上の鶏肉に移し、もはやこれほどまでの肉の大きさになると意味を持たなくなってしまったフォークは傍らに置き、ナイフで肉にがっついた。
「おや、若い女性を二人も連れて。もてますねえ」
「いえいえ、二人供、私の連れです。こちらが、ライサ」
「ご紹介にあずかりました、ライサです」
「ほほう、実に礼儀正しいお方だ。それに、美人ときた。礼儀も正しい、実に瀟洒ですなあ」
男は、黄ばんだ歯を垣間見せながら、にやりと口を引いて笑った。ライサは口元は閉じたままにこりと微笑んだ。
「私にもし子供がいたなら、丁度孫がライサさんくらいのお年でしょうかねえ」
「ご結婚されておられないのですか」
クラインがそう質問すると、男は小さく静かにうなずいた。普通、こんな歳まで結婚していない男性は大抵が囚人だったか、同性愛者なので、クラインは今後に関係を持ったことを考え、問うてみた。
明日テストなのに小説書いてていいんでしょうか。




