第三章㊸
「ええ。お願いします」
アルメンダリスはクラインの返事を受け取ると、羊皮紙にさらさらと金額を記入し、クラインに手渡した。
至極当たり前のことだが、五十万枚を超える銀貨なんてこちらも持てるはずがないし、第一、この支店にもそんな量の銀貨は無い。銀の含有率がそこそこのリモーネ銀貨だったらもしかするとあったのかもしれないが、海賊たちに店の破壊をしない事と引き換えに持って行かれたに違いない。
クラインが金額を確認し、それを懐に入れると、アルメンダリスはほっと安堵のため息をついて去り際の決まり文句を言った。
「では、この後も我がディオーネ商会を、しいてはガーボヴェルディ支店を、よろしくお願い致します」
「ありがとうございました」
商談の最後に、アルメンダリスとクラインは握手を交わし、クラインは証書を懐に入れた。クラインが立ち上がると同時に、ネウも踏んづけていた足をようやく離してくれた。きっと、あとで宿に帰って靴を脱いでみれば、さぞかし足は交渉の間ずっと踏まれ続けたせいで赤くむくんでいるのだろう。
だが、足がどうなろうと商談は成立した。クラインが持っていたサルタナは今この時、銀貨の山に変わったのだ。ある意味、錬金術と言えるだろう。錬金術師が鉛や炭から金や銀を作り出そうとするのなら、あらゆる品物を船で運んで銀や金を得るのが商人だ。
すみません、短めです。
おばあちゃんが来てくれました! 嬉しい!




