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幻想見聞録  作者: 藤宮周水
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第三章㉓


「ねえ、この銀貨はさっきの貴方の会話を聞く限り、どこでも使える、と言うわけではなさそうね?」


 一瞬、何の事だったか、と記憶の中を探って、さっきの海賊との会話をあぶりだしてみた。するとほどなくして答えは出た。ネウが言っているのは、きっと海賊銀の話だろう。


「まあ、八割方正解だ。もっと正確に言うならば、「有効範囲」が限られている、と言った方がいいな」


「へぇ、いろんな貨幣があるって訳ね」


「そうだ」


 千二百年間という永遠に近い時間を生きてきた吸血鬼は、流石に理解が早い。


 クラインは、財布の革紐を解き、新たに二枚の銀貨を取り出した。一つは第六十三代教皇の横顔が彫られたリモーネ銀貨、もう一つは此処よりもっと北方で使われている、双頭の鷲が彫られたディレマ銀貨という銀貨だ。


「ライサ、説明できるか?」


「やってみます」


 ここでクラインはこの説明をライサに変わることにした。別に、面倒くさくなって代わったというわけでは無い。ライサも、クラインとともに商売の道を進んでからそこそこ立つ。だから、これくらいの貨幣の関係くらい分かってもらわないと困る。そのために、ライサがしっかりと理解できているかのテストをこの場を借りて行ってみようかと判断したのだ。無論、テストなどしなくても、ライサが十分に商人としての知識をその聡明な頭脳に蓄えているのは分かっている。


「えーと、ですね。例えば、この銀貨。北方で使われているディレマ銀貨と言う貨幣なのですが、こちらのリモーネ銀貨と比べてみてどう思いますか?」


 そう言って、ライサは種類の異なる二枚の銀貨をネウに手渡した。ライサはネウが盗んだクラインの銀貨と交換するように言ったが、これで手持ちの銀貨が三枚に増えてしまったネウは、少しの間悩んだ後、そんなライサの要請も無視して、ライサに渡された方でない銀貨を懐にしまい、もらった二枚の銀貨を左右それぞれの手に持ち、何やら手を上下に動かし始めた。


「ン……重さが同じだから、使われている金属は同じみたいねぇ。……問題はその金属だけど……これも、銀七・鉛三で同じ。違うのは、彫られている絵くらいかしら」


「そんなことまで分かるのですか? 私は別に比率を答えろと言ったつもりはなかったのですが」


「あら、いいじゃないの。で、この二枚の銀貨が同じ重さと見た目を持つから、どうだというの?」


 ライサはネウに持たせた二枚の銀貨をネウから回収し、自分の手のひらに置いてそれぞれを指さした。話し始めるまでに少し時間がかかったのは、ネウに理解してもらえるように言葉を選んでいたからなのだろう。


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