第七章⑲
「なら、やるべきことはただ一つだ」
「……そうね」
ネウは、全てが満足いったように表情からわずかな曇りを取ると、二人に笑顔を向けた。
「ライサ、ウルバーノの金時計は持ったか?」
「此処にあります」
ライサは、拾い上げた金時計をクラインに手渡した。金時計はずっしりと重く、持ち主であるウルバーノが死んだ今も、時を刻んでいる。人間は、死んでも時間を止められない。ただ、死んだ本人の時間は永久に止まる。そして二度と動くこともかなわない。皮肉なものだな、とクラインは心の中で笑った。
「これをアルメンダリスに持って行けば、この島とはもうおさらばだ」
「そうですね」
ライサは地面から拾い上げたナイフを回収すると、次に布を取出し、服に付いた血糊をぬぐった。
「流石に、このまま外には出ていけませんしね」
「同感よ」
ライサの言葉に、ネウはくすくすと笑った。
「まあ、服ならいくらでも買えるからな。最近は、高いが、既製品を置いてある店も増えたらしい」
「あら。それ、どういうこと?」
ネウは顔や腕などの肌に付着した血糊だけをぬぐうだけで、服に付いた血には目もくれないクラインが発した一言に、ネウは図々しく首を突っ込んだ。
クラインは、金時計を眺めながら、ネウの問いに答える。さりげなく、それでいて気づくことを促すような口調で。
「金ならある、ってことだ」
大分遅れましたが、ちゃんと書いていますよー




