第五章⑧
「! 青十字……ですか」
「信じていただけたでしょうか」
「……それは、もう」
青十字の紋章を持つことが許されるのは軍か王家に関係する人間だけだ。
だからと言って十割全部信用することはできないが、クラインには信じる以外にもう道は無い。
「しかし、どうして貴方はこの建物の構造を知っているのでしょうか」
信じる、とは決めたものの、これだけは聞いておきたかった。これから何があるのかは全く分からない。なるべく、不安要素は排除しておきたいからだ。
「この建物は本来、市庁舎として使われていましてね。私も軍人として何度も来たことがあるのです」
「それで知っていた、と」
クラインはこの建物が市庁舎であることに納得を得た。なぜなら、大抵、行政を行う建物の地下には併設して牢獄が備え付けられていることが多いからだ。
「ところで、また前の話に戻りますが、クラインさんには海賊の首領をなるべ
く、生きて私に引き渡してくれると嬉しいのです」
「倒してしまった場合は?」
クラインは仮に海賊の首領と対面して戦闘状態になり、ネウが首領を誤って殺してしまった場合の事を想定し、アルメンダリスにそうなった場合の対処法を尋ねた。
「その時は、何か死亡が確認できるものを持ってきていただければ十分です」
「具体的には……?」
「海賊の首領が持っている装飾品などで十分です。その後は、王国軍の残りを引き連れて首領の死亡を確認した後、残りの海賊どもを殲滅しますから、クラインさんには首領だけを捕獲していただくだけで結構です」
「海賊を殲滅できるだけの兵力があるのに、どうして今まで海賊をのさばらせておいたのでしょうか?」
クラインがこの質問をするのは当然の結果だと言える。どうして、簡単に海賊を殲滅する、と言える程の軍事力があるのに、今まで実行してこなかったのだろうか。
アルメンダリスしばしの間言葉に困り、重い口調で理由を述べた。
「……私がこれからいう事、信じていただけますか?」
「内容によっては」
「わかりました。お話ししましょう。……実は、その首領が吸血鬼だと言う妙な噂があるのです」
めちゃくちゃに寒いですね。




