高校生ゾンビ。
僕は考える。
今の僕は本当にゾンビといえるのだろうか?
僕の名前は佐藤詠作、ゾンビになってからかれこれ15年になる。
今年の春から高校に通うことになっている。
ゾンビと人間は150年間戦争をしている……らしい。
初期の頃はゾンビが大量に増え人類を絶滅寸前まで追い詰めたけど、とあるゾンビが気がついてしまった。
「人間滅ぼしたら食べるもの無くなるよな?」
生きる屍のゾンビが食糧問題に直面するなんて誰が想像する?
今では公然の秘密ということでゾンビと人類の間に協定が結ばれている……らしい。
ゾンビが増えすぎないように人間を残さず食べることが徹底され、ごく一部の幸運な(不幸な?)人間がゾンビの仲間として受け入れられている。
僕はたぶんついていたんだと思う。
ゾンビになったばかりの頃は人間の赤ん坊と同じで、うめいたり叫んだりと本能に従ったことしかできなかったけど、何年も生きている(?)義理の親ゾンビの躾と教育のおかげで僕の理性が少しずつ育っていったんだと思う。
中学の頃の僕ははあまり行動的ではなかったので休日は一日中ネットでゲームをしたり人間とチャットをしたりするのが趣味だった。
その事を数少ない会話ができるゾンビに話しをしたらドン引きされたので二度と言わないようにしている。
なんとなく周りから浮いてしまった中学時代がおわり高校生という新しいスタートラインに立てたのだからこのチャンスをいかしてもっと青春を謳歌したい。
ぶっちゃけると恋愛と言うものをしてみたい。
人間とチャットしていたときによく出た話題だ、よくわからないけど高校までに一度ぐらいはするものらしい。
義理の父は言った。
「吾れ十五にして学に志す、三十にしてたつ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る」
僕は15歳だから一生懸命に学ばなくてはいけないらしい。
そういうことで僕はいま体育館での入学式を期待と不安の入り混じった複雑な心境で、校長先生の雄叫びに似た呻き声を聞いている。
入学式がつつがなく終了して割り当てられた教室へと向かう、一年四組が僕のクラスだ。
一年生の教室は四階にあるので階段を登らなきゃいけないけどなかには足が取れてしまって這っている生徒もいてその頭を、歩くことができる生徒に踏み潰されてしまっている。
僕も何人か踏んでしまった……ゴメンネ。
教室に入ると机が埋まらなくて空席が目立つ。
担任の教師も来ない、1時間ほど待っていたら校内放送で一部教師が踏み潰されたと知らされる、空気を読んだ生徒が自己紹介を始める一人一人が立ち上がって、名前と出身校それと趣味とか人間の部位でどこが美味しいかなんてことを話していく。
中学時代にいちど失敗をしていた僕は当たり障りの無い自己紹介でうまく切り抜けたはずだ、何人か気合を入れすぎて盛大に空回りしているクラスメイトの姿を横目で見ながら学ぶってこういうことも含まれるんだと一人納得していた。
自己紹介がとりあえずおわってしまうとやることがなくなり全員机に座ったままで時間だけが進んでいく……。
太陽が傾き始めるまで座っていたけど何もおきそうにない。
僕は席を立ち図書館を目指すことにする、義父の言葉に従って学ばなくてはいけない。
案内板にしたがって歩いていく、廊下には踏み潰された死体やそれを片付けようとしている清掃員が頭から階段に落ちて脳ミソを撒き散らしている。
滑らないように注意しながら歩いていると目的地が見えてきた。
図書館は利用する人がとても少ないらしく埃っぽいけど死体とかで汚されていないのがとても嬉しかった、義母に連れて行ってもらった市民図書館は血糊や腐敗物のせいで読めない本がたくさんあって残念だった。
そんなことを思い出しながら本棚の中を歩いていくと微かになにかが動く音が聞こえる。
音のしたほうへ歩いていく、本棚の壁が途切れた先には机と椅子が並んでいた。
美しい女生徒が、夕日の赤い光に包まれながら一人で本を読んでいた。
知性的で、でも子供っぽい好奇心に満ちた赤い瞳。
髪は黒く、美しい。
一瞬で僕は彼女に恋をしていた――――。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなr
連載モノとか真面目に考えてたら、なんか溜まってきてしまって書いてしまいました。
アホですんません……。