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違う違う、そうじゃない。

掲載日:2026/03/26

短編です。

 家に帰ってポストを開けると、周辺の不審者情報をまとめた紙が入ってた。

「やぁね、この辺も物騒になったわぁ」

 なんでも、真夜中に変な格好をした小太りのおっさんが歩き回ってて、女性の体に触れて去って行くらしい。ひどい話。

 あっといけない、バイトの時間に遅れちゃう。お気に入りの真っ赤なドレスを着て、真っ赤な口紅を引くと、どこからどう見ても綺麗。自分でも見惚れちゃうくらい。

「ん、完璧」

 バイト用のキラキラバッグを持って、靴箱から真っ赤なヒールを取り出した。今日は、金髪のウィッグだから、絶対、赤が良いと思ったのよねぇ。

 昼間は普通に働いてるから、時々友人の店を手伝いに行く程度のバイトだけど、結構楽しくなってるのよねぇ。まぁ、翌日が休みの日じゃないと、バイトに行けないのが寂しい所なんだけど。

 夜道は人が少ないから、ヒールの足音がコツコツ響いてなんか気分が上がるのよねぇ。

 あら?足音が、増えてる?なんか、誰かついてきてない?やだ、もしかしてさっきの紙に書いてあった不審者?

 ちょっと急ぎ気味に歩くと、もう一個の足音もついてくる。やだぁ、アタシについてきてない?困ったわ。

「そこのお姉さん・・・」

 後ろから声をかけられて、驚いて立ち止まっちゃった。どうしよう・・・。ゆっくり振り向くと、そこにはバレリーナの格好をした小太りのおっさんがいた。

「ひ・・・いやぁぁぁぁぁ!!!」

 アタシが驚いて声を上げたのを聞いて、目をまん丸にしたおっさんは、腰を抜かしたようで、その場にへたり込んでしまった。

 アタシの声が大きかったからか、すぐに周辺の住民たちが飛び出してきた。真夜中に奇声を発してごめんなさいね。

 誰かが通報したみたいで、すぐに警察もやってきた。警察官はアタシを見るなり、おっさんと同じような驚いた顔をしたけど、事情を聴いて、とりあえずバイトの時間も迫っているからと、一旦解放してくれた。まったく、アタシの顔が何だってのよ。失礼しちゃうわ。

 バイトを終えて、そのまま店長に捕まって、昼まで飲みに付き合わされた。もう~、だから翌日休みじゃないとバイトできないって言ってるのよぉ。店長ももうちょっと配慮してほしいわぁ。

 疲れた体に鞭を打って家に帰ると、またポストに不審者情報が入っていた。

 昨日のバレリーナのおっさんは、無事捕まったあと、余罪がたんまり出てきたらしい。被害者が複数人名乗りを上げたらしく、結構な大事になったみたい。まぁでも捕まって良かったわね。

 その下の新たな不審者情報に、アタシは目を疑った。

 以前から長い金髪で、真っ赤なドレス、真っ赤なヒール、真っ赤な口紅の大男が、近所をうろついている。大きな声の外国人の様で、被害報告などはまだ出ていないものの、住民に注意するよう促す内容が書かれていた。

 金髪で、真っ赤なドレス・・・真っ赤なヒールって、もしかしてそれアタシじゃない!?やだぁ!なんでアタシが不審者なのよぉ!

 この紙を書いたのは自治体ね!?もぉ~あたしはどちらかというと昨日のおっさんの被害者なんだけどぉ!?もう、昨日のおっさんと言い、警察と言い、失礼しちゃう!!

 メイク落として、お風呂入って、一旦仮眠とったら抗議しに行かないと!



——アタシ外国人じゃないんだけどぉ!?——

あと、不審者でもないからぁ!

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