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国を滅ぼす悪役令嬢

悪役令嬢の序列社会

作者: ぺいた
掲載日:2026/03/18

国を滅ぼす悪役令嬢シリーズの1話目です。

https://ncode.syosetu.com/s1799k/


5話分をまとめた連載版も投稿しました。

「国を滅ぼす悪役令嬢」

https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/3109341/

「今日も! アラン様と一緒に図書室にいたのよ!」


また始まった…。ジェーンはうんざりした。


ここは王立学園のサロン。

今日のお昼休みも、クラウディアの愚痴を聞くだけで終わりそうだ。


クラウディアは公爵令嬢であり、その婚約者は、王太子であるアランである。

婚約してから3年、クラスは違うけれど、休み時間にはお互いのクラスに

行き来して、それなりに親しくしていたと思う。


しかし最近、マチルダという転入生が来てから、アランは彼女に

つきっきりになってしまい、クラウディアは、自分の婚約者に

話すきっかけさえつかめない毎日を送っているのだ。


「聖女とはいえ、もとは平民なのに…! アラン様がわざわざ直々に、

お世話をする必要があるのかしら?」


「マチルダ様は、貴重な聖魔法の使い手だから…。陛下もおっしゃって

いたじゃない。『この国を見限ってほかの国に行かれたら困るから、

不自由がないよう丁重に取り計らうように』って。殿下はその言葉に

忠実に従っているんだと思いますわ」

きのうも言ったことだが。


「それにしたって…、こう毎日というのは、図々しくはないですかしら?

少しは遠慮してもよくはございません?」


「でしたら、わたくしがマチルダ様に『少しは遠慮なさい』と

忠告してまいりましょうか」


「それはダメですわ! わたくしとジェーン様が仲良しであることは

みなさまがご存じですもの! わたくしが頼んだと思われてしまうわ!

そして『マチルダ様をいじめている』という噂になって、

卒業パーティーの時に断罪されて国外追放になってしまいます!」


「その、卒業パーティーのくだりが、何度聞いても理解できませんが、

わかりましたわ、よけいなことは致しません」


「でもでもやっぱり腹がたつんですのよー!」


このように、何の解決策も進展もないまま、ジェーンの昼休みは今日も

つぶされたのであった。


----------------------------


「ああああああもう、いいかげんにしてよーーーー! このやりとり

何度目!? 毎日毎日ぐずぐずぐずぐず! 自分からは何も行動を

起こす気がないのに、愚痴だけ垂れ流すのやめてよーー!」


お嬢様は今日もストレスMAXだ。

公爵家のクラウディア様が愚痴を垂れ流す相手なんて、侯爵家である

うちのジェーンお嬢様ぐらいしかいないのかもしれないけれど…


「お茶が熱い! 淹れ直して!」カップを壁に投げつけられた。


ガチャーンと音がしてカップが割れる。床はびしゃびしゃだ。


「申し訳ありません! ただちに…!」とぺこぺこと頭を下げ、

割れたカップを拾い床を拭く。


あああもう嫌だ嫌だ。毎日毎日、あのお嬢様の八つ当たり!

紅茶が熱いのはいいことじゃないの! ぬるかったら「ぬるい!」

って怒るくせに!どうしろっていうのよ! 


いらいらしたので、廊下の掃除をしていた下男に「これも

片付けといて!」と割れたカップを投げつけ、窓枠にすっと

指をすべらせ、ほこりで汚れた指を見せつけ、「なにこれ?

これで掃除したつもり? 能無し!」と、ののしってやった。


-------------------------------------------


「お前は嫁いびりの姑かーーーー!」


またか…。マリアはため息をついた。


ここは、マリアが働いている酒場。

学園にほど近いので、職員たちが気軽に立ち寄っていく。

彼は今日も、生徒のお付きの侍女にいびられたらしい。


「いつもいつも俺を見下しやがってー! おまえだって、人に仕える

立場のくせに! しかもたかだか男爵じゃねーか! そんなん、

金さえありゃ俺だってなれるわー!」


「金がないからなれないけどな」


近くにいた顔なじみの客がそう言うと、店がどっとわいた。


「わかってるけど! わかってるけどむかつくんだよー!

マリアちゃんなら、俺の気持ちわかってくれるよねー?!」


わんわん泣き出した。ああうっとおしい。


まだ閉店時間にはちょっと早かったが、面倒だったので

「わかったわかった、さあもう店はおしまい。帰って帰って」と

客を追い出し、片付けをすませ、家に帰る。


帰ると、まっすぐにベッドに向かい、


「うるせーーーーーーーーんだよ! この酔っ払いが!!!

毎日毎日同じ話! そんなに嫌なら転職しろよ! だいたい、

ただの居酒屋の従業員になぐさめてもらおうとすんなよ!

ここはキャバクラじゃねーんだよ!!」


と叫んで、枕元のうさぎのぬいぐるみにボスボスとパンチする。

毎日パンチされているので、外側はぼろぼろで、中の綿もはみ出ている。


----------------------------------------------------------


ぬいぐるみのうさぎは、神に祈った。


「神様、ぼくは何もしていないのに、どうして毎日殴られるのでしょう。

どうかぼくを助けてください。もう殴られないように、原因を元から

断ってください」


----------------------------------------------------------


その純粋な祈りは神に届いた。


神はマリアのもとに現れ、「そなたはどうしてぬいぐるみを殴るのか?」

と尋ねた。


マリアは

「うちのお客さんが毎日毎日酔っぱらって管を巻くので、

ストレスがたまるからです」

と答えた。


そこで酔っ払いのもとに現れ理由を聞くと、


「同じ職場にいる侍女が毎日自分をののしるからです」


侍女「お仕えしてるジェーン様が毎日私に八つ当たりをするからです」


ジェーン「仲良しのクラウディアが、毎日同じことを愚痴るからです」


クラウディア「アラン様とマチルダ聖女の仲が良くて嫉妬するからです」


そしてとうとう、アラン王子と聖女マチルダの前に神が現れて尋ねた。

「どうして君たちは仲良しなのか?」


アラン「聖女の力は貴重だから、大事にしていただけです」


マチルダ「私が…こんな力を持っているせいでしょうか…?」


・・・・・


ということは、神のせい?

神が、特別な力をこの少女に与えたことが、原因?


原因を突き止めた神は、聖女の力を返してもらい、「私が原因の元であった。

悪かった」とうさぎのぬいぐるみに謝った。


聖女はもとの平民に戻り、クラウディアとアランは婚約者同士として

それなりに幸せになり、ジェーンも穏やかに過ごせるようになり、

侍女も、下男も、マリアも、八つ当たりの少ない日常に戻った。


しかし、本来ならば、聖女が救うはずだった、数年後の魔物大発生で、

この国は滅びるのであった。

ほんとは、「悪役令嬢のバタフライ効果」ってタイトルで、

もっと突拍子もない方向に変わる話を書きたかったのに、

全然変わらなかったのでこうなってしまいました。


続編として、滅びたあとに巻き戻りみたいな形で、いつか挑戦したいです。

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― 新着の感想 ―
わかりました、 わらしべ長者的なとか 風が吹けば桶屋が儲かる的なとか そんなストーリーが書きたかったのですね、 バットエンドもなんのそのな展開がおもしろいです。 次回のお話も楽しみにしています。
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