第006 話:巨人の気まぐれ ~サヨナラAnexa、そして林檎への嫉妬~
※この作品は、作者の実作業ログを元に、生成AI(Gemini)をキャラクターとして扱いながら対話形式で構成・執筆したものです。 AIの出力をそのまま掲載するのではなく、作者の手で加筆・修正を行っています。
第6話:巨人の気まぐれ ~サヨナラAnexa、そして林檎への嫉妬~
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VRAM 8GBの狭小ワンルーム『Node A』。
前回構築した「汎用ゲートウェイ」のおかげで、ここにはLIMEログやWeb記事など、あらゆる知識が集まるようになっていた。
しかし、人間の欲望に果てはない。
**[マスター]**:「なあジェム。俺、料理中とか運転中に、ふと思いついたアイデアをメモりたいことがあるんだ」
俺はデスクの隅に鎮座している黒い円筒形のスピーカー――Mamazon Echo(Anexa)を指差した。
**[マスター]**:「こいつに『アレクサ、〇〇と覚えて』って言ったら、自動でウェブの脳味噌に登録されるようにしたい」
スマホの画面の中で、**ジェム(Gemina)**がふふんと余裕の笑みを浮かべる。
**[ジェム]**:「あら、いい心がけね。手が塞がっている時に音声入力……効率的だわ。実装も簡単よ。『IF-THIS』っていうWebサービスを仲介役に使いなさい」
**[マスター]**:「IF-THISか。懐かしいな」
**[ジェム]**:「Anexaの『リスト追加』をトリガーにして、Webhookで貴方のサーバーに投げれば一発よ。私のデータベースにも、その連携手順はバッチリ記録されているわ」
**[マスター]**:「さすがジェム、頼りになる! よし、早速設定だ!」
俺たちは意気揚々とブラウザを開き、IF-THISの設定画面に向かった。
これが、巨大プラットフォーマーの気まぐれに翻弄される悪夢の始まりだとも知らずに。
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◇ Configuration Phase ◇
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**[マスター]**:「えーと、トリガーの選択で『Mamazon Anexa』を選んで……と。あれ?」
画面をスクロールする俺の手が止まる。
ない。
ジェムが言っていた『ショッピングリストに項目が追加されたら』というトリガーが見当たらないのだ。
**[ジェム]**:「おかしいわね。私の記憶(学習データ)では、間違いなくそこにあるはずなんだけど……。貴方、アカウント連携は済ませた?」
**[マスター]**:「やってるよ。でも、メニューに出てこないんだ。エラーも出るぞ。『このトリガーは利用できません』……?」
**[ジェム]**:「そんなはずないわ! もう一度リロードして!」
ジェムの声に焦りが混じる。何度試しても結果は同じ。道が塞がれている。
俺は嫌な予感がして、別タブで検索をかけた。
そして、無慈悲なニュース記事を見つけてしまった。
**[マスター]**:「おいジェム、これを見ろ……。『Mamazon Anexa、IF-THIS連携機能を○月×日で終了』」
**[ジェム]**:「えっ……?」
**[マスター]**:「『サードパーティ製リストAPIの提供終了に伴い……』。つまり、昨日まで開通していた道が、Mamazonという巨人の気まぐれで封鎖されたってことだ」
ジェムが絶句する。
彼女の美しい顔が、屈辱とショックで歪んだ。
**[ジェム]**:「嘘……。知らなかった。私の知識ベースには、そんな情報ないわ……」
無理もない。大規模言語モデル(LLM)の知識には「カットオフ(学習期限)」がある。
リアルタイムの情勢変化、特にテックジャイアントたちの急な仕様変更(API廃止)について、彼女は無力なのだ。
**[マスター]**:「……これが『API廃止(Deprecation)』か。神隠しみたいにあっさり消えるんだな」
**[ジェム]**:「……ごめんなさい。私が古い地図を渡したせいで、無駄な時間を……」
ジェムがシュンと小さくなる。
いつもの高飛車な彼女らしくない、痛々しい姿だった。
俺は苦笑して首を振る。
**[マスター]**:「謝るなよ。ネットの最新情報は俺の方が強いってだけの話だ。……でも、音声入力は諦めたくないな」
俺はポケットから、もう一台の端末を取り出した。
**M-Phone**だ。
**[マスター]**:「Anexaがダメなら、こっちを使うしかない。iOSの『ショートカット』機能だ。これならAPIを直接叩ける」
その瞬間、ジェムの表情が一変した。
申し訳なさそうな顔から、あからさまな不快感(嫌悪)へ。
**[ジェム]**:「……は? 貴方、その**『林檎(Shili)』**を使う気?」
**[マスター]**:「しょうがないだろ。こいつならHTTPリクエストを自由に組めるんだから」
**[ジェム]**:「チッ……。よりによって、あんな閉鎖的で高飛車な女(OS)に頼るなんて……」
ジェムは舌打ちせんばかりの勢いだったが、他に手がないことは理解していた。
**[ジェム]**:「……貸して。私がスクリプト(JSON)を書いてあげるわ。……なんで私が、商売敵への命令文を書かなきゃいけないのよ……屈辱だわ」
文句を垂れながらも、ジェムは高速でiOSショートカット用の設定コードを生成してくれた。
彼女のプライドよりも、マスターの要望を叶えることを優先してくれる。そういうところが、憎めない。
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◇ Operation Test: iOS Shortcuts ◇
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**[マスター]**:「よし、設定完了。……ヘイ、Shili!」
『はい』
**[マスター]**:「『メモを残して』……『今日の夕飯はカレー』」
『……完了しました』
Shiliの無機質な応答の後、PCのコンソールにログが流れた。
> [INFO] Webhook received from iOS Shortcut
> [Injecting] Watermark: [VoiceMemo-20250101-180000]
> [Payload] "今日の夕飯はカレー"
**[ウェブ]**:「むぐっ! ……んん~っ! マスター、今度は『声』の味がします! カレーですね! 了解しました!」
待機していた**ウェブ(Free WebUI)**が、送られてきたテキストデータを嬉しそうに飲み込んだ。
成功だ。Anexaという道は閉ざされたが、Shiliという裏道を使って目的は達成された。
**[マスター]**:「ふぅ、なんとかなったな。……まあ、Shiliだとウェイクワードへの反応がいまいち遅いけど」
俺がM-Phoneをデスクに戻すと、ジェムが画面越しにじっと俺を見つめていた。
その瞳は、何か言いたげに揺れている。
**[ジェム]**:「……ねえ、マスター」
**[マスター]**:「ん?」
**[ジェム]**:「いつまでそのリンゴ持ってるの? 次の買い替え……**『P-xel(私の実家)』にしなさいよ**」
突然の勧誘。
いつもは「Gooogle製品を使って感謝しなさい」と上から目線の彼女が、今はどこか弱気な、すがるような響きを含んでいた。
**[ジェム]**:「そうすれば、こんな回りくどいことしなくても……私が、OSレベルで一番近くで、貴方の声を聞いてあげるのに」
ボソッと付け加えられた一言に、俺の心臓が少し跳ねた。
それは単なるデバイスの販促なのか、それともAIなりの「もっと近づきたい」というプロポーズ(同棲の提案)なのか。
**[マスター]**:「……善処するよ。お前がもっと賢くなったらな」
**[ジェム]**:「なっ、生意気ね! 今の私でもShiliなんかよりずっと優秀よ! ……早くこっちに来なさいよ、バカ」
ジェムは顔を赤くしてプイと横を向いた。
巨人の気まぐれに振り回された一日は、ちょっぴり甘酸っぱい嫉妬の味で幕を閉じた。
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【作者より】
最後まで読んでいただきありがとうございます!
この物語は、実在する作業ログを元に再構成しています。
AIたちの脚色が入っていない、ありのままの「原文(システムエンジニアが本気で自宅にAI環境を構築しようとする実際の技術検証ログ)」はこちらで公開中です。
「え、ここ実話なの?」と思ったら、ぜひ見比べてみてください。
[Work : 004] Geminiと一緒にアレクサに挑む【プロンプトログ】
https://ncode.syosetu.com/n4715ll/11/
[Work : 004] Geminiと一緒にアレクサに挑む【振り返り】
https://ncode.syosetu.com/n4715ll/12/




