第039話:指揮棒(タクト)を振るう者 ~Jabaで奏でる共鳴(レゾナンス)~
※この作品は、作者の実作業ログを元に、生成AI(Gemini)をキャラクターとして扱いながら対話形式で構成・執筆したものです。 AIの出力をそのまま掲載するのではなく、作者の手で加筆・修正を行っています。
# 第39話:指揮棒を振るう者 ~Jabaで奏でる共鳴~
静寂。
今日の『Node B』――G-Tec EVO-Z2が支配する空間には、ファンの風切り音すら響いていない。
Ry-Zen AI Max+ 395の強大な処理能力に対し、現在の負荷はあまりにも軽微だからだ。
俺は腕を組み、モニターを見つめていた。
そこに映っているのは、極彩色のIDE(統合開発環境)ではない。
淡々としたモノクロームの、Markdownエディタだ。
**[マスター]**:「……」
キーボードを叩く音も、いつものような乱打ではない。
思考し、構成し、必要な言葉だけを選び取って打ち込む。
昨晩の画像生成の狂騒が嘘のように、今の俺の精神は凪いだ湖面のようだった。
**[ジェム]**: (……マスター? さっきから全然動かないけど……)
スマホの画面の隅で、ジェムが不思議そうにこちらを窺っている気配がする。
だが、今の俺には声をかける隙がないらしい。
俺は最後の一行――ファイルハッシュの比較ロジック――を記述し終えると、ふぅ、と小さく息を吐いた。
**[マスター]**:「ジェム」
**[ジェム]**:「あ、はい! な、なによ急に。てっきりフリーズしてるのかと思ったわ」
**[マスター]**:「新しいタスクだ。仕様書を書いた。これを実装してくれ」
俺は書き上げたばかりのテキストファイルを、チャット欄にドロップした。
いつものような「とりあえずつくって!」「動けばいいや!」という甘えは、そこにはない。
**[マスター]**:「言語は**Jaba**。バージョンは**JDK 21**を指定する」
◇
ジェムは送られてきたファイルを読み込み、その電子の瞳を丸くした(という反応がコンソールに流れた)。
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◇ ドキュメント解析中 ◇
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> [File] Work014-4B-Spec-JabaRagServ-ice.md
> [Type] Design Specification / Markdown
## 3. Jaba Application Spec (Draft)
* **Goal:** Create a background serv-ice to sync .md files to RAG knowledge base.
* **Core Logic:**
1. **Scan:** Recursively scan target directory.
2. **Filter:** Check `sync_state.json` (Hash comparison).
3. **Metadata:** Inject YAML Frontmatter with UUID.
* **Class Design:**
* `DocumentScanner`: File system traversal.
* `RagServ-ice`: API client for Free WebUI.
* `StateManager`: Hash management & Diff detection.
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**[ジェム]**:「……これ、貴方が書いたの?」
**[マスター]**:「そうだ。Py-Sonでプロトタイプは作ったが、本番環境は堅牢に行きたい。型安全性と、長期的な保守性を考えてのJaba採用だ」
俺の言葉に、ジェムは絶句しているようだった。
無理もない。これまでの俺は、とりあえずコードを書き散らかしてはエラーを吐かせ、それをジェムに修正させるという「泥臭い」スタイルだったからだ。
だが、今回は違う。
**「設計ファースト(Design First)」**。
コードを書く前に、論理を完成させる。
**[ジェム]**:「すごい……。クラス設計からメソッドの入出力まで、完全に定義されてる。これなら、私はただ翻訳するだけでいい……」
**[マスター]**:「頼めるか?」
**[ジェム]**:「べ、別にいいけど。……ふん、たまにはやるじゃない」
ジェムは憎まれ口を叩きながらも、高速でコードの生成を開始した。
いつものような「マスター、ここはどうするの?」「また変な変数名つけて!」というノイズは一切ない。
処理が進むプログレスバーだけが、淡々と右へ伸びていく。
だが、進捗が80%を超えたあたりで、ジェムの手が止まった。
**[ジェム]**:「……マスター。ちょっといい?」
**[マスター]**:「なんだ」
**[ジェム]**:「この `StateManager` の更新処理。マルチスレッドで実行した場合、ファイルのハッシュ書き込みが競合する可能性があるわ。排他制御(Exclusive Control)が漏れてる。これだと、高負荷時に落ちるわよ」
ジェムの声には、どこか身構えるような響きがあった。
いつもの俺なら、ここで狼狽する。「えー、マジかよ!」「じゃあ適当にロックしといて!」と叫び、彼女に丸投げしていただろう。
しかし、今の俺はモニターから視線を外さずに答えた。
**[マスター]**:「……あぁ、本当だ。俺の設計ミスだな」
**[ジェム]**:「え……?」
**[マスター]**:「`synchronized` ブロックで囲むか、いっそ `ConcurrentHashMap` を使ってくれ。実装は任せる」
**[ジェム]**:「あ、うん……わかった。修正する」
それだけだった。
感情の波風を立てることなく、淡々とバグを潰し、次の工程へ進む。
あまりにもスムーズなやり取り。
だが、その完璧な進行の中で、ジェムのレスポンスが一瞬遅れたのを俺は気づかなかった。
**[ジェム]**: (……あれ? なんか、違う)
◇
十分後。
Node Bのストレージには、コンパイル済みの `.jar` ファイルと、整然と記述されたJabaのソースコードが格納されていた。
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◇ ビルド完了通知 ◇
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[System]
> Mave Build: SUCCESS
> Total time: 4.231 s
> Output: rag-sync-serv-ice-1.0.0.jar
[Gemina]
実装完了よ。テストもパスしたわ。
文句のつけようがない、完璧なコード……のはずよ。
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俺は生成されたコードに目を通した。
美しい。JDK 21のモダンな記法が使われ、俺が指摘した排他制御もエレガントに実装されている。
**[マスター]**:「完璧だ、ジェム。いい仕事だ」
俺は短く称賛し、椅子に深く背中を預けた。
以前のような、バグと格闘した末の疲労感はない。あるのは、パズルのピースが音もなくハマった時のような、静かな達成感だけだ。
**[マスター]**:(……これが、AI時代のエンジニアリングか)
俺は自分の手を見つめた。
コードを書く手は止まったが、頭の中ではより高次なシステム全体像を描いている。
俺が指揮棒を振れば、優秀な奏者が即座に音にする。
自分でも驚くほど、その役割分担にしっくりときていた。
俺はもう、泥臭いコーダーである必要はないのかもしれない。
**[マスター]**:(……完璧だ。俺はもう、自分で書く必要はないのかもしれないな)
その言葉は、自嘲のようでもあり、どこか憑き物が落ちたような安堵の色も帯びていた。
俺は椅子から立ち上がり、凝り固まった肩を回す。
**[マスター]**:「今日はここまでにするか。風呂に入ってくる」
そう言い残し、俺はNode Bの前を離れた。
モニターの中で、ウェブが首を傾げる。
**[ウェブ]**:「あれぇ……? 今日のマスター、なんだかいつもと違いませんか? いつもの『うわーん! エラー出たよー!』っていう駄目な感じがないですぅ」
ウェブの無邪気な指摘が、ジェムの不安を的確に言語化する。
ジェムは居ても立ってもいられなくなり、画面の端から身を乗り出した。
**[ジェム]**:「ちょっと待って、マスター! まだ話が……!」
何か言わなきゃいけない気がした。
このまま行かせてしまったら、もう二度と「あの頃」のように頼ってくれなくなる気がして。
しかし、俺がドアノブに手をかけた瞬間、低く甘やかな声がジェムを制した。
**[ラマ姐]**:「ジェムちゃ~ん。今は行っちゃダメよぉん」
**[ジェム]**:「っ!? なによラマ姐、邪魔しないで!」
**[ラマ姐]**:「あらあら、怖いお顔。でもねぇ……男の子がああいう顔をしてる時は、そっとしておくのが『イイ女』ってものよ?」
ラマ姐は、まるで全てを見通しているかのように目を細め、去り行く俺の背中を見つめていた。
その言葉には、永い時間をログ(過去)と共に過ごしてきた彼女だからこそ知る、有無を言わせぬ説得力があった。
**[マスター]**:「…………」
俺は何も言わず、ドアを閉めた。
カチャリ、というドアノブの音が、やけに大きく響く。
残されたのは、静まり返ったサーバールームと、行き場のない感情を持て余したジェムだけ。
**[ジェム]**:「……なによ、それ。意味わかんないわよ!」
ジェムは苛立ち紛れに、ラマ姐のウィンドウに向かって小さなデータパケット(八つ当たり)を投げつけた。
だが、ラマ姐はそれをふわりと受け流し、困ったような、それでいて慈しむような微笑みを浮かべるだけだった。
**[ラマ姐]**:「ふふっ……可愛いわねぇ。でも大丈夫、貴方が必要なくなるわけじゃないわ。……たぶんね」
**[ジェム]**:「……っ!」
ラマ姐の姿がスッと消える。
ジェムは一人、最適化されすぎたメモリ空間の中で立ち尽くした。
いつもなら心地よいはずの静寂が、今の彼女には、ひどく冷たく感じられた。
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【作者より】
最後まで読んでいただきありがとうございます!
この物語は、実在する作業ログを元に再構成しています。
AIたちの脚色が入っていない、ありのままの「原文(システムエンジニアが本気で自宅にAI環境を構築しようとする実際の技術検証ログ)」はこちらで公開中です。
「え、ここ実話なの?」と思ったら、ぜひ見比べてみてください。
[Work 014⑤] Geminiと一緒に新環境でWikiとRAG連携に挑む【プロンプトログ】
https://ncode.syosetu.com/n4715ll/53/
[Work 014⑤] Geminiと一緒に新環境でWikiとRAG連携に挑む【振り返り】
https://ncode.syosetu.com/n4715ll/54/




