鷹の目
掲載日:2025/10/04
人を豆粒としか認識できない高さで
彼は翼を拡げ風に乗って
穏やかに円を描く
細く長い雲が波のように拡がる
大地に拡散する影
日射しと陰の斑
呼ばれた
軽く羽ばたいて初速
法則に従い落下
背筋を伸ばし身を縮めて
最小限の空気抵抗の中
委ねた重力が彼を加速させる
高度に反比例して
濃度を増す大気が
脂に覆われた羽毛を叩く
乾く
沈む
摩擦
あらゆる音と体温が後方へ抜ける
翼を拡げた
白く柔らかい羽毛が横凪の風を捉える
落下のベクトルが
まるで当然ばかりにねじ曲げられ
減速された彼は
タンポポの綿毛の感情を知った
原っぱに立つ者がいる
相棒だ
伸ばした腕の籠手へ
彼は静かに乗った




