番外編 箱詰め密室ロックオン♡編 6
箱の中から無事(?)救出されたハイネは、ギルドの医務室で毛布にくるまれていた。
「⋯⋯なんで、よりによってギルマスに⋯⋯」
目まで毛布で隠し、くるくる巻き寿司状態。羞恥で顔を出せる精神状態ではない。
扉の向こうでは、ヴェスパーがギルマスに何やら説明している声が聞こえる。
「⋯⋯いや、何もしてない。閉じ込められてただけだ。あいつが変な実を食ったのは事故だ」
「ふーん⋯⋯顔近づけてたくせに?」
「⋯⋯お前、どこまで見てた」
「全部」
「殺意湧いたわ」
バタン、と扉が開く。
「おい、毛布寿司。大丈夫か」
「うるさいッ!!出てけヴェスパー!!」
ハイネは床に突っ伏したまま、毛布ごとジタバタ暴れた。
「⋯⋯ふっ」
ヴェスパーは苦笑しながら、ハイネの隣に腰を下ろす。
「なあ、ハイネ」
「⋯⋯なによ」
「お前⋯⋯俺のこと、嫌いか?」
「は?」
思わず、毛布から顔を出すハイネ。目が合う。ヴェスパーの金色の瞳は、意外なほど真剣だった。
「さっき、あんな状況だったのに⋯⋯お前、俺を突き放さなかった。むしろ、甘えてきた」
「な⋯⋯!そ、それは⋯⋯!!」
「正直、理性ぶっ壊れそうだった。今もギリギリ」
ハイネの顔が爆発しそうなほど赤く染まる。
「⋯⋯だから、もうちゃんと聞く。
ハイネ。俺、お前のこと――本気で好きなんだ」
「⋯⋯⋯⋯っ」
ぽかん、としたあとで、ハイネは静かに顔を手で覆った。
「⋯⋯もう、ほんとに⋯⋯こういうの、ちゃんと先に言ってよね」
「じゃあ、言う」
「えっ、今!?」
「今」
ヴェスパーはハイネの手を取り、そっと唇を落とす。
「ハイネ。お前を俺の“つがい”にする気、あるか?」
「~~~~ッッ!!!」
毛布が再びばふっと巻き戻される。
その様子を、扉の隙間からそっと覗いていたギルマスとリファとセラとシラノス(なぜか全員いる)。
「わあ~、青春って感じですニャ~」
「ハイネ⋯⋯ついにか」
「つがいの儀式は⋯⋯やるのかな?」
「うるさい、解散だ」
ギルマスの一喝で、見物人は四方に逃げていった。
――その日の夕暮れ、ハイネは誰にも言えない秘密を一つ、胸にしまった。
そして心の中で、つぶやいた。
(でも⋯⋯つがいって、悪くないかも)
---完




