番外編 箱詰め密室ロックオン♡編 3
古代遺跡の一角、朽ちた扉がゆっくりと開いた。 外の空気が流れ込み、ついに二人は密室から解放された。
けれど――
「だ、だいじょうぶ!? セラ、顔真っ赤だよ!?」
外で待っていたハイネが、走り寄ってきた。 リファと共に救出に来たらしく、心配そうにセラの頬に手を伸ばす。
セラは慌てて顔を背けた。
「な、なんでもないからっ!!」
リファがちらりとシラノスを見やり、冷たい目を向ける。
「⋯⋯で? 何が“なかった”んですかニャ」
その視線に、シラノスはわずかに視線を逸らしつつも、静かに答えた。
「何もしていない。ギリギリで止めた」
「ギリギリって言わないでぇぇええぇ!!!」
セラの絶叫が、ダンジョン内に響き渡る。
ハイネは、ふふっといたずらっぽく笑ってセラの肩をぽんっと叩いた。
「ふーん⋯⋯ねぇ、ほんとに“何も”なかったのぉ?」
「ないっ!!」
「ほ〜〜〜んとぉ〜〜〜???」
にやにやが止まらないハイネに、セラは耳まで真っ赤にして背中を向ける。 その様子を見ながら、リファは無言でため息をついた。
「ギルドに戻ったら、報告書出してもらいますからニャ」
帰り道、わいわいと騒ぎながらも、どこか照れくさそうな空気が流れていた。
その中で、セラはふと隣を歩くシラノスに視線をやる。
彼は相変わらず穏やかな顔をしていたけれど⋯⋯彼の手は、そっとセラの指を絡め取るように握っていた。
何も言わず、ただ静かに――けれど確かに繋がる手。
セラはそれだけで、また頬が熱くなるのを感じた。
(ほんと⋯⋯この人、ずるい⋯⋯)
そう思いながら、セラはそっと手を握り返した。
──その日。 ギルドの休憩室で、ハイネはちゃっかりとセラをつかまえ、耳打ちする。
「ねぇ⋯⋯箱の中、ほんとに何も起きなかったの?」
セラはスプーンを落としかけ、慌ててスープをすすった。
「っ⋯⋯もう!! ハイネ!!」
ハイネはけろっとした顔で、首をかしげた。
「いやぁ、私も一度くらい“箱詰め密着”されてみたいなぁ〜、なんて♪」
その一言が、彼女自身の未来を大きく変えるとも知らずに──




