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ゲブラさんのふんわり思索シリーズ

「オーラが見える」と言い張る人々のそれは、果たしてすべて虚言なのか?

作者: エンゲブラ

その昔、『オーラの泉』という番組があった。

美輪明宏と江原某による、ゲストのオーラを鑑定するという番組で、見てはいなかったが、その存在は認知していた。


普通に考えれば、胡散臭い。

事前にゲストの情報を入手し、それっぽいことを言っているだけ。そんな印象で、当時の私は見ていなかったのだが、「そういった主張をする人間」が、いつの時代にも一定数以上存在するのは「いったいどういう仕組みなのか?」が気になり、調べてみた(ひまつぶし)。



オーラが見えるという人々の脳波検査。

人物を見る時、実際に色処理領域(V4野)が活性化しているという報告があった。ただし、これは幻視ハルシネーションや想像と似た神経パターンだともいう。


もちろん、実際に「色」として、人間の目が、他者のオーラを知覚しているわけではない。「共感覚」に似た感覚が、オーラが見えると主張している人々にはあるのかもしれない。


ここで気になってくるのが「一致率」だ。

同一人物を対象とし、「見える人々」が果たして「同じ色」を主張するのかどうか。


2012年前後にグラナダ大学(=スペイン)で行われた実験では、色の一致率は「偶然レベルと同様」=近似色で一致したケースは2割未満と報告されている(大規模実験ではないので、あくまでも参考値ではあるが)。


世間一般の人間でも、冷たそうなひとなら寒色、フレンドリーなひとなら暖色をイメージするだろう。もともと人間が持つ「色に対するイメージ」があるのだから、人物にそれを当てはめるのなら、それに準拠する。なので「見える人々」とさほど大した差が生まれないのも、当然といえば、当然である。



さて、これらのことから、筆者が何らかの仮説を立てるとすれば、どのような説が思い浮かぶだろうか?


「見える」と主張している人々は、実際に脳内の色処理領域(V4野)が活性化しているのだから、ここに難癖をつけるのは、ナンセンス。なので、なぜ「見えた気になるのか」となるわけだが、やはりそれは「脳の誤作動」と考えるのが、順当か。


活性化といえば、聞こえがいいが、実際には、さまざまな弊害がある。人間の脳は、ドーパミンが過剰に分泌されると興奮状態に陥り、遮断されると鬱になる。鬱は困るが、興奮状態では、まともな判断も出来ない。


統合失調症患者の多くも、このドーパミンの過剰分泌(側坐核・線条体の過剰活性)が指摘されている。ドーパミンは報酬系とも呼ばれ、羨ましくも感じるかもしれないが、問題は、それらの情動を制御する前頭前野では、逆にドーパミンが不均衡(主に不足)状態に陥っているともいう。


「制御を失った興奮」が、幻聴や幻視を生む。

「見える」という状態は、ある意味で「色覚失調症」という判断もできるのではないだろうか?(イメージの色覚侵食)



実のところ、統合失調症は、悪いことばかりではない。興奮は、情熱ともなりうるので、冷めた筆者からすれば、やはり羨ましい部分もあるといえる(実際に発症した場合、それどころではないのだろうが)。


事実、歴史上の様々な偉人も、診断が下されていないだけで、統合失調症を疑われていたり、親族にそういったひとを多く出し、因子保有者であったのではないか、というのは、よく聞く話。


特にアートのような「他者の感情を揺さぶってなんぼ」の分野においては、あのひとも、このひとも。むしろ「正気で何を揺さぶれるんだ?」てのが、実際のところなのかもしれない。



(本文追記)仮説でいえば、実は全員ちゃんと「同じ色」が見えている説もいける。ただし、個々人が持つ「レンズフィルター」が、その色を偏光させ、誤認し、バラバラになっているという仮説である。ファンタジーとしてなら、こちらが正解か。




みんなが正気の世界では、その水はむしろ濁る。

そういった社会を攪拌する役割として、一定数はそういったひとが生まれてくるように、人類はプログラムされているのかもしれない。



追記)某言語生成AIに読ませてみたら「パレイドリア」や「確証バイアス」についても触れた方がいいよ、と指摘された。ごもっともです。


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― 新着の感想 ―
オーラだと思って赤外線で体温検知してたら面白いよね、「靄のようなオーラ」「ぼんやりとした光」「色が変わるエネルギー」などの表現は、実際に赤外線や熱の視覚化と一致する部分があるし、割と浪漫がある気はする…
感想返しの返しですみません。 確かに体調のバランスを崩しやすい時期でした。旅先で経験したのですが、体調の乱れとその土地の磁場等の乱れで見えた可能性はあるかもしれません。 冷静なご回答ありがとうござい…
一度だけそれらしき物を見たけど、怖かったし見た後はもっと怖かった。恐怖のリリース作業として作品を書いたけどやはり怖い。結論としては見えないほうが幸せです。 どうせ見えるなら幸せになる人のオーラを見た…
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