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4、まさかあれは!

 オーク、コボルトを倒し、ポピュラーな魔物は残りゴブリンだけになった。さて、ゴブリンはどんな魔物かな。


 おっと、そんなことを言ってたら、目の前にいるじゃないですか。僕と同じくらいの身長で緑色。ゴブリンに間違いない。とりあえず倒すか。今までの魔物に比べたら、体が小さい。つまり、あいつらは動きが速いだけだ。


 そう思っている時期が僕にもあった。


「ファイアーボール」


 僕がファイアーボール撃ったちょうどその時、フィリアさんがはっと僕を振り返った。


「ルイ様、逃げましょう!」


「え、どうして?」


「いいから!」


 フィリアさんが血相を変えて、僕の手を引っ張って走り出した。走るのに精一杯で何が起きているのかは分からなかったが、まずい事が起きているのは分かった。


 まだ、ゴブリン残ってるんだけどなぁ。


 フィリアさんが止まったのは森を出てからだ。ずっと走ってきて、息はハァハァだ。彼女はというと、少し息を切らしているだけで、いつもと変わりない。さすが、元冒険者だ。


「どうしたの?」


「ゴブリンを攻撃する前に、周りを確認しないといけないんですよ。特に、大きな森の中では」


「どうして?」


「ゴブリンの近くにはゴブリンの集落があって、仲間が攻撃されると全員で襲ってくるんですよ」


 そういうことだったのか。それなら逃げたことにも納得だ。


 僕とフィリアさんだけだったから、ゴブリンの群れを相手にするのは危険だったのか。


 冒険者になるんだから、ちゃんと魔物についても覚えておかないとな。気付かない間に、魔物の大群に襲われるのもイヤだし。


「フィリアさん、ごめんね」


「いえ、気にしていませんよ。それより良い物をあげましょう」


「何?」


「はい、これです」


 彼女は本を1つ取り出した。結構分厚い本だ。題名は


「魔物大全?」


「そうです。この本には魔物について色々載っているので」


「分かった。勉強するよ」


 勉強は好きじゃないんだが、これから魔物を倒す時には必要なことだ。それに、安全に魔物を倒したいし。


 でも、僕の手の上に置いてある魔物大全は分厚い。僕のやる気以上に分厚いだろう。それに、ずっしりと重く存在感が強い。


 国語の勉強がしたいと言ったら、国語辞典が渡されたようなものだ。覚えるのは苦手なんだけどなぁ。


 まあ、幸いなことに魔物大全は図鑑のようなものだった。それでも分厚い。




* * * * *




 それから半年後。


 僕がこの世界に転生してから1年が経った。この間に勉強した甲斐があり、1人で魔物を倒してきてもよくなった。しかし、好き勝手に暴れられるというわけでもなく、魔石を家に持ち帰るので、その日倒した魔物がある程度ばれてしまうのだ。


 つまり、僕が小さいゴブリンの集落を倒した時は、ゴブリンサイズの同じ大きさの魔石を40個持ち帰ることになり、フィリアさんにすぐばれた。


 さて、今日は何の魔物がいるかな?


「あれ?」


 滅多に見ない大きい鳥の魔物が数匹空を旋回している。


 何を探している、いや獲物に攻撃しようとしているのか?


 面白そうだということは分かった。そうと来れば、することは1つ。全力であの大きい鳥の魔物の真下に向かうだけだ。


 景色が後ろに流れていく。『走り込み100本』というふざけたアチーブメントを達成した時に、『俊足』というスキルをもらった。もらった時はアチーブメントの名前にムカついたが、今では重宝している。


 ちなみに『走り込み1000本』で『音足(おんそく)』、『走り込み10000本』で『光足(こうそく)』というスキルがもらえる。


「何だ、これ」


 魔物に見つからないようにしていたが、思わず声を上げてしまった。


 僕の目には、辺り一面木が倒れているように見える。辺りには魔物がポツポツと死んでいる。人が来るような場所じゃないから、魔物同士が戦ったのか。


 空を見ると、もうあの大きい鳥の魔物はいない。


 やばい!


 そう僕の直感が言っている。あの鳥の魔物はAランクのプテラだった。あれを全部倒せるということは、少なくともAランクということだ。そして、僕が今まで倒してきたのはDとEランク。


「ん、洞窟......あの中か」


 大人しく帰るか?それとも洞窟に入るか?


 どっちが正しいかはすぐ分かる。でも、いや絶対に洞窟に入った方が面白い。引き寄せられるかのように、足が洞窟に向かっていく。


 フィリアさん、ごめんなさい。また好奇心に負けました。


「デカいな。幅は10メートルはあるな、いやもっとか」


 洞窟からは魔力が流れ出ている。つまり、少なくとも生物はいる。


 洞窟の地面に付いている赤い液体を見ないようにして、壁に沿って進むことにした。


カンッ


 何かが足にぶつかった。この音、金属だな。


 火魔法で様子を確認してもいいのだが、魔物に位置を教えたくないので、足にぶつかった何かはバッグに入れて、先に進むことにした。


 だんだんと魔力が強くなってきた。


夜這(よば)いを達成しました』


 え、夜這い?


 何か達成してはいけないアチーブメントを達成してしまった気がする。おかげで『夜目』というスキルが使えるようになったが。


 達成条件は、女性が住んでいる家を暗い時間に歩くことらしい。


 僕は『夜目』で進みやすくなった洞窟をぐんぐん進んでいった。障害物が見えて、歩きやすくなった。何か大切なものを失った気がしたけど、実用性があるから問題無い。


 魔力がぐんと強くなったと思うと、体の中まで響く声が聞こえてきた。


「そこの、人間。何ゆえ、この洞窟に入る」


 お、人がいたのか。何ゆえって聞かれても、好奇心ゆえとしか答えようがない。


「今すぐ立ち去るがよい」


 立ち去れって言われても、どうも好奇心が収まらないんだよな。


 お、洞窟の出口か。目の前から光が見えてきた。


「こんに......」


 僕の目の前にいるのは人間では無かった。オークなんかよりも大きい。それに大きな翼も生えている。何よりあの特徴的な顔と鱗。


 あれは、まさか......

まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。


もし面白いなと思っていただけたなら、ポイントやリアクションもお願いします。


ぜひ他の作品も読んでみてください。

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