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19、ゴブリンランド殲滅!

 他のパーティーが討伐目標のゴブリンランドに攻めているので、僕たちはその反対側に来た。予想通り、ゴブリンはほとんど出払っていた。


 ゴブリンの背後に向かって魔法を撃とうとしているレベッカを説得しつつ、ゴブリンは1体ずつ草むらの影から減らしていくことにした。


「アイスアロー」


 前に突き出した右手の前で、矢の形をした氷が1本でき、できると同時にゴブリンに向かって飛んで行った。


 1本目は木の近くにいたゴブリンに命中した。敵のレベルが低かったようで、アイスアローが当たると同時に倒れた。2本目以降も次々と敵に吸い込まれていく。


 レベルは順調に上がるのだが、経験値はどんどん増えるが経験は全く増えてないように思える。


『影からチクチク攻撃を達成しました』


 分かってるよ。僕だって、やりたくてこうしているのでは無い。


 今ここで、魔法を撃ち込んだら、せっかく楽な状況になっているのにゴブリンが寄ってきてしまう。僕もわざわざ面倒事を引き起こすほど馬鹿では無い。


 アチーブメントにムカつくのはいつものことで慣れたが、文句を言われるのは心外だ。きっと便利なスキルかアイテムを貰えるのだろうが、やったー、という気分になれない。


 せめて、もっとカッコいい名前のアチーブメントにして欲しかった。


『ゴブリンキラーを達成しました』


 うわぁーーっ!


 ああ、もうヤダッ!


 どうして、僕がアチーブメントにムカついて、アチーブメントに慰められないといけないんだ。考えれば考えるほど、胸の中で黒いものが渦巻いてきた。


 精神がまいってしまう前に、考えるのを止めることにした。きっと精神耐性か何かを身に付けることができるのだろう。きっとそういうことなのだろう、いや、そうに決まってる。


「ルイ?」


「ああ、ゴメン」


 僕がアチーブメントに気を取られていると、気付いた時には周りにいたゴブリンはもう死んでいた。


 戦闘している時間を短く感じさせる、これがアチーブメントの力か。まあ、今はそう思っておくことにしよう。


 剣の金属音と魔法の爆発音はまだ聞こえている。おそらく、このゴブリンランドの反対側にまだゴブリンがいるのだろう。他のパーティーに気を取られている間に、僕は目的を達成することにした。


 そう、それはこのゴブリンランドの主、おそらくゴブリンナイトを倒すことだ。主を倒すのが依頼の達成条件だ。


 忍び足で目立たないように丸太の影を通っていると、ドシンドシンと振動が伝わってきた。振動は激しいのだが、聞いていた話と違う。体が跳ね上がるくらいの振動が伝わってくると聞いていたのだが、レベッカならともかく僕の体は跳ね上がりそうに無い。


 魔力が強い方に近付いていくと、敵が見えた。しかし、そこまでの巨体という程ではなく、せいぜい2mくらいだ。


「レベッカ、行くよ!」


「竜人の私に任せなさい」


 久しぶりにレベッカの口から、竜人という言葉を聞いた気がする。これを聞く度に思う。人は見かけで判断してはいけないと。彼女は人化という能力で、完全に人間の見た目になっている。


 前も、レベッカに絡んできた酔っ払いが、酔いでも弱体化でも覚める勢いで壁に投げられていた。見た目は人間、中身は竜人とは恐ろしいものだ。まあ、こんなのが身の回りに溢れているのは絶対にイヤだが。


 レベッカを見ると、ちょうど魔法を放ったところだった。フィリアさんの教育のおかげで、敵を見るなり物理で殴りに行く癖は直ったようだ。


 ドッカーン


 レベッカの魔法が敵に当たると同時にこっちに振り向いた。


 スキル『ステータス鑑定』で敵のHPを見てみると、微かに減っているだけだ。


 おかしい。防御結界は張っていないし、張れるような時間は無かったはずである。


「どうして......」


 レベッカはどうしても驚きを隠せないといった様子だ。


 そりゃあ、自分の得意な火属性魔法が理由も分からず無効化されたらそうなるよな。


 どうしようかと迷っていると、フィリアさんの言葉を思い出した。理解できないことが起きたら、全部がスキルのせいだと言っていた。


 今は(わら)にでもすがる思いで試すことにした。ガチャのパックを開ける時と同じで、ドクドクという心臓の音が聞こえてきた。


「スキル鑑定」


 息を吸うのを忘れるくらい集中しながら、目を見開いて相手のスキルを上から見ていった。


 うわっ、そういうことか。さすが、元冒険者のフィリアさんだ。


 火属性耐性、それが答えだ。


 レベッカの魔法は火属性、つまり他の属性で攻撃すれば倒せるということだ。彼女は火属性は一流、他属性も街にいる魔法師レベルだから、任せても問題無いだろう。


「火属性以外をお願い」


「どうして?」


「やってみれば分かるよ」


 僕がスキル『絶対防御』で防御結界を張っているが、敵は僕たちと一定の距離を取りながら魔法を撃ち続けている。


 普段なら、僕がはっきり答えるまで理由を聞いてくるレベッカも、目の前から魔法が際限なく飛んで来るので、僕に詰め寄るのは諦めたようだ。魔力も荒れているから、相当(いら)ついているのだろう。


 そりゃあ、結界で被弾しないとしても、この騒音と振動を我慢するのは無理だろう。工事現場のそばを通った時に嫌な顔をするのと同じだ。


 苛ついていて、どんな魔法を撃つか分からないレベッカからジリジリと下がり始めたとき、敵の頭上で何かがキラリと光った。それも1つでは無く、円状にびっしりと並んでいるように見える。


 あ、あれはマズい。


 やっぱり、機嫌が悪いレベッカに近付かない方が良かった。


「アイスストーム」


 敵に向かって落ちていく何かが1本見えたかと思うと、それを皮切りにさっきまで敵の頭上で光っていたのが全て落下を始めた。


 もちろん、気付いた時にはもう遅い。逃げ場を塞ぐかのように、始めの数本が敵の周りに円を描くように落ちた。


 やっと敵が命を危険を感じて防御結界を張ったが、そんなものは時間稼ぎにしかならない。


 敵に向かってこれでもかという程のアイスアロー(氷の矢)が降り注ぐ。


 始めはアイスアローを跳ね返していた結界も、無限に思える攻撃の前には意味をなさない。数本が結界を貫通して、敵の足元に落ちたかと思った瞬間、敵はハリネズミと化した。


 敵は声を上げることも許されず、地面に全身をつけた。

まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。


もし面白いなと思っていただけたなら、ブックマーク登録、ポイント、リアクションもお願いします。


ぜひ他の作品も読んでみてください。

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