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17、死んだら困るわ!

 依頼2日目の朝、よく分からないけど、それぞれのパーティーがバラバラに探索することになった。


 面倒臭いことになってしまった。


 今までなら他の2パーティーがどうにかしてくれていたが、これからはこの学生パーティーだけで探索、食事、見張りなど全てのことをしなくてはならない。


 仕方ないから、土産話ができたと思うことにした。


 エリナさんは右に行く正統派パーティーと、左に行く不良パーティーを交互に見ている。彼女の性格からして、混乱しているのだろう。


 あとに残ったのは、僕たち5人、荷物、少しの戸惑いだけである。


「エリナさん、街に戻りますか?」


「どうしようかしら......」


「約束しましたよね?」


 しっかりリーダーとしての役目を果たすという約束を忘れてもらっては困る。


 まあ、面倒臭いから一方的に押し付けた僕も僕だが。


「では、帰りましょう」


 僕とエリナさんが振り返ると、他の3人が明らかに不満有りげな顔で見ている。特に、カインが僕を睨む目は、魔物を狙うそれと同じ気がする。


 他の2人もこんな感じである。さすがに、このパーティーを半分に割るわけにもいかないから、どうにか説得するか、譲歩しなければ。


「エリナ、そいつの話なんか聞くなよ!」


「エリナは誰にも渡さない」


「みんな......」


 エリナさんは一回僕の方を振り返って、目を伏せてから言った。


「分かったわ、行きましょう」


 はあ、やっぱりこうなったか。


 エリナさんが納得しているなら、とやかく口出しする権利は無いが、今回のことで確信した。彼女が形だけのリーダーだと。


 まあ、全員の意見が正しく一致しているなら良いのだが、昨日の戦闘から見て、そうというわけでも無さそうだったから、より面倒だ。


 フィリアさんが言っていた。一見まとまっているパーティーでも、正しく意見を言えるリーダーがいなければ必ず全滅すると。


「お前とは別行動だ。ついてくるなよ!」


「分かったよ」


 ついに1人になってしまった。


 エリナさんは申し訳無さそうな顔をしているが、他の3人はむしろスッキリした顔だ。


 まあ、あのパーティーにいるより、ソロの方が気疲れはし無さそうだから、悪い話では無い。しかしまあ、全滅しそうなのを見て見ぬふりはできないな。


 依頼も達成しなければならないので、この学生パーティーの後ろを気付かれないように尾行することにした。


 僕は魔物と戦わずに済むし、向こうは全滅の危険性が減る。これが一石二鳥というものだろう。


 ちょっとヒヤヒヤする場面もあったが、大して強い魔物と遭遇せずに目的地のマートル森林に到着した。もう夕方だが、森林内に入るか心配だったが、さすがに森林の近くでテントを張った。


 僕はというと、テントを張ると存在がバレてしまうので、寝袋に入って岩に寄りかかって寝ることにした。それに、焚き火も使えないので、僕の夕食は冷たいサンドイッチになった。


 空に見える満天の星を見ていると、夢の世界に入っていた。




 翌朝、僕の頬に何やら生暖かい風が当たっているので目が覚めた。


 隣に魔物がいるのかと思って、剣を抜きながら体を起こすと、隣でレベッカさんが寝ていた。この真っ赤な髪の女の子は彼女しか見たことが無い。


 僕が彼女を見ていると、僕の視線に気付いたのか目をこすりながら体を起こした。


 僕に気付くと、ハッとした様子で頭を左右にブンブン振り始めた。頭を振り終えると、いつも通りの雰囲気に変わっていた。


「おはよう」


「ええ、おはよう。なぜ、こんな所で寝ているの?」


 まあ、至極当然な質問だろう。数十m先には冒険者のテントが見えるし、僕がここで寝ているのはおかしいだろう。


「依頼を受けたんだけど色々あってね」


 彼女も説明の途中で帰ってしまっただけで、僕とパーティー登録している。ということは、彼女も一応依頼は受けているので、今の状況を説明することにした。


 僕の説明が一通り終わると、彼女は分かりやすく溜め息を付いた。


「人間は馬鹿なのね」


「それは置いといて、どうしてレベッカさんはこっちに来たの?」


 僕の質問半ばくらいで彼女が睨んできた。睨むと言っても、以前のように殺気を放っているわけでは無い。普通の女の子のような感じである。


「私はレベッカよね?レベッカさんじゃ無いわ」


 このセリフ、前も言われたな。


 今回は顔を赤らめて、ちょっと上目遣いになっているのが気になるが。それにしても、どうして「さん」を付けるか付けないかにこだわるのだろうか。


「ダメかしら?」


「......レベッカはどうして来たの?」


「あなたが死んだら困るわ。お父様はあなたを気に入っているから。まあ、竜族のこの私が来たことに感謝しなさい」


 いつもブレないレベッカに感心しつつも、朝ご飯を食べることにした。


 あと、彼女のお父さんは火竜王のことである。気に入られるなんて面倒臭いことになったものだ。


 普通のお父さんならまだしも、火竜王に気に入られるのは困る。会いたくなった、とか言って街に来たら、王都から軍が来かねない。


 ふと学生パーティーの方を見ると、すでにテントは片付けられていた。そして、もう森の入口に4人とも立っている。


「レベッカ、行こうか?」


「ええ、そうね」


 レベッカに魔力放出を抑えるよう言ってから、まとめた荷物をアイテムボックスに放り込んで出発することにした。


 目的地のマートル森林は魔物が蔓延(はびこ)っているらしい。レベッカがいるから、よっぽど馬鹿な魔物以外は襲ってこないはずである。それでも、ゴブリンとかは集団で襲ってくる可能性がある。現に僕も襲われたことがある。


 何にせよ、魔物の巣窟に足を踏み入れるわけだから、気を抜かずに挑まなくては。


 昨日、あるアチーブメントを達成した時に獲得したスキル『未来予感』がそう感じさせている。


 未来予知では無く、未来予感だから、未来のことが手に取るように分かるわけでは無い。しかし、良くないことが起こるというのは何となく分かる。

まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。


もし面白いなと思っていただけたなら、ブックマーク登録、ポイント、リアクションもお願いします。


ぜひ他の作品も読んでみてください。

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