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color~色の異世界冒険記 第2話 不思議な出来事

 「ああ、それならこちらに…」


 書店の店長である平出一郎(ひらいでいちろう)は、新作アート本に混じって置いてある、一冊の画集を客に手渡した。実は彼、この山百合書店を経営する傍ら画家としても活動しており、店には彼の画集が売られていている他、電話やメールで画業の依頼が舞い込んだりするのである。そんな彼は、現在40歳で独身の一人暮らしだが、それ以外のことは一切謎であった。

 

 一郎の画集を若い男が、それも発売当日に買いに来たのは、伽耶も予想外であった。別に、人気ゲームのパッケージデザインなどを手がける著名な作家でもない訳だから、急いで買いに来ることもないはずなのに。しかも外は大雨で、わざわざずぶ濡れになりながら買いに来るとは、本当にご苦労様である。もしかすると、別に用事があったついでに、この画集を見つけたのではないだろうか。そう思ってしまう程、彼の画集は普段売れないのである。青年は、画集を受け取り満足そうに微笑むと、さっさと会計を済まして出て行ったのだが、伽耶にとってそれは印象的な出来事であった。


 さて、先ほどの雨も嘘のように晴れ、まもなく日も暮れようかという頃、自宅のアパートに戻った伽耶は、手を洗って冷蔵庫から買い置きの弁当を取り出し、電子レンジで温めた。そして簡単な夕食を済ますと、ようやく本業であるイラストレーターの仕事にとりかかった。学生時代から絵を描く事に長けていた彼女だが、最初はネット上にある小さな案件を引き受ける事すら困難であった。しかし、最近では大手の企業案件などもこなすようになり、仕事もようやく起動に乗り初めたのである。


 しばらく経って作業が一段落したので、気晴らしにSNSの投稿を見ていると、一つの画像が目に留まり、瞬時に拡大表示をした。よく見ると、それは不思議な形をしたオブジェで、金色の筒状の台座に、まるでモアイ像のような顔が掘られており、その上に丸い水晶のような物体が乗っていた。その不思議な物体に彼女はなぜか心惹かれ、早速チャット機能を使って疑問を投げかけたのであった。


 「初めまして、素敵な置物ですね!これは何ですか?」


 ミステリアスなものには元々興味がある。しかし迷信などには全く興味が無く、意外と現実主義なのだ。


 「color…それは存在する世界。私は貴方を導くもの」


 程なくして返って来た奇妙な返信。これも書店の本と同じ、オカルト的な何かであろうか。伽耶は、この不思議な投稿が趣味であるアート制作に役立つと思ったので、とりあえず一旦画像をお気に入りに登録してから、パソコンをシャットダウンしたのであった。


 「colorそれは、存在する世界…」


 伽耶はシャワーを浴びながら、先ほどの不思議な投稿について、思いを巡らせていた。とある世界があって、そこは革命的な女王が統治しており、青い国、赤い国、緑の国、などがあるのかもしれない。その美しくも平和な世界には、様々な生き物達が暮らしており、見たことも無い文明が築かれているのだ。物語を考えるのと絵を描くことは良く似ている。何故なら、どちらも想像力を掻き立てるものだからだ。


 脱衣場でパジャマに着替えて髪を乾かし終えると、彼女はふと背後から何者かの気配を感じ、とっさに後ろを振り返った。しかしそこには誰もおらず、代わりに聞き覚えのない声が耳元でささやくのである。どこか感情を殺したようなその声は、何度も自分の名前を呼んでいるのが分かった。

 

 風呂場を出た伽耶は部屋の前まで来ると、ゆっくりと扉を開いて中へと入った。しかしそこには誰もおらず、代わりに閉じたはずのパソコンがなぜか起動していたのだった。おかしい、最後に電源は切ったはずである。ああ、もう故障したのだろうか。それとも、変なウイルスにでも感染しているのか。いずれにせよ、中古とはいえ買って二年程しか使用していないパソコンなのだから、使えなくなっては困るわけだ。彼女がそんな事を考えていると、突然パソコンから眩い光が放たれ、思わず目を背けた。すると、声の主は彼女にむかってこのように語りかけた。


「選ばれしもの伽耶よ、時は来ました。さあはやく…」




 

 

「面白かった!!」


「また読みたい!!」


「今後の展開は…」


 などと思った方はぜひ下の☆☆☆☆☆から評価の程よろしくお願い致します。


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