一件落着...?①
「こ、これは...」
時既に遅しとはこのこと。
ノワールさんは既に馬車から降りていた。
「これ全部ヒイラギがやったのか?」
「え。ま、まぁ。そんな感じです。」
「お前...」
「はい...」
え?何この間。
「お前...やっぱすげーな!!!!!」
「え?」
「記憶失くしてるって言ってたし、前にぶっ飛ばされてたからもう前のヒイラギみたいに強くないのかって正直思ってた。だけど、やっぱお前って強いんだな!!」
"お前って強いんだな!!"
ノワールさんの言葉が心に残る。
違う。強いじゃなくて、強くなった、村のみんなが強くしてくれたんだ。
そういえば一番最初ぶっ飛ばされたなぁ。
あの時は本当に痛かった。
確かに前の私だったらこんなに大勢を1人で相手するなんでできなかった。
「違いますよ、ノワールさん達のお陰で強くなれたんです。」
「嬉しいこと言ってくれるじゃねーか!!村戻ったら手合せしような!!!」
ノワールさんは尻尾をブンブン振りながら満面の笑みで言ってきた。
かわいい...じゃなくて。
「嫌ですよ、ノワールさん強いんですもん。
私なんてぶっ飛ばされるのが目に見えてます。」
「そんなこと言うなよ!絶対だぞ!約束だからな!」
勝手に約束されてしまった。
「そうと決まれば早く村に戻らねーとだが、こいつらどうする?」
「どうしましょうね...」
目の前に広がる死体の山。
こういうのって埋めた方がいいのかな。
でも、追跡の魔法とかGPS的なの持ってたら下手に村の近くに埋めとけないよな。
「「うーん。」」
2人で悩んでいるとガサガサと音がした。
新手かと思い、音のした方に目を向けると木の影からカエルムが現れた。
「ヒイラギ!ノワール!無事だったか!!!
おーい!!ヒイラギとノワール見つかったぞー!!」
「「カエルム!」」
フセルとブランさんとロンくんも次々に現れた。
そして、私はロンくんに突進された。
「ねえさーーん!!!」
「ぐぇ」
勢いのまま私は後ろに飛ばされ、ロンくんと一緒に倒れた。
「どこ行ってたんすか!心配したんすよ!」
「ちょっと、落ち、着こうか、ロンくん...」
ロンくんが両肩を掴んで揺らしてくるから上手く喋れない。
そうだ。霧が濃くなってみんなどこかに行っちゃったんだ。みんながもとに戻ってよかった。
「みんなもとに戻ってよかったよ。」
「びっくりしたっすよ...みんなで森の中に入ったら急に意識が遠くなって、気付いたら俺達3人しかいなくて、ねえさんだけいないから!!
でも、よかったっす!ノワールさんもねえさんも無事で!!!」
君が揺らすから私は絶賛酔ってるよ。
「ほんとに無事でよかったぞ。」
ブランさんがノワールさんに駆け寄った。
「迷惑掛けてすまねぇ。」
「誰も迷惑だなんて思ってねーよ!みんな心配してただけだ。」
「あぁ、ありがとな。」
ノワールさんとブランさんが拳を合わせた。
男同士ってやっぱいいなぁ、こういうの。憧れる。
「本当に2人とも無事でよかったぞ!!
ノワールには何があったか後で聞くとして、とりあえず俺達が優先してやらねーといけないのはここの片付けだな。」
そういえば感動的な再会してるけど、周りには死体が転がっている。
「お前らこれどうしたんだ?」
お前らって言ってるのにカエルムの目線が私を貫いてる。
「私がやりました...」
私殺人犯かなんかだっけ?
よく分からない気持ちになる。
「そうか。」
カエルムが私の方に来た。
ロンくんが離れたので立ち上がった。
「ヒイラギ...お前よくやったな!!!」
頭をわしゃわしゃ撫でられた。
「強くなったとは思っていたが、ここまでとはな!!俺は嬉しいぞ!!」
褒められるのって、役に立つのってこんなに嬉しいんだな。
「...カエルム達のお陰で強くなれたんですよ。」
「それだけじゃないぞ。お前自身の努力の結果だ。よく頑張ったな。
改めてノワールを助けてくれてありがとう。」
「い、いえ。」
泣きそうだった。
「さて!さっさと片付けするぞ!
ロン!ノワールと一緒に村に戻ってみんなをここに呼んできてくれ。片付けがあるから手伝ってくれってな!」
「カエルム!俺は動けるぞ。捕まったが眠らされていただけで怪我してないしな。」
「念のためだ。それに。早く家に帰ってやれ。
ロン頼めるか?」
「もちろんっす!ノワールさんほら!行きますよ!」
「すまねぇ。ありがとな。」
「いいってことよ!!じゃあよろしくな!!」
ノワールさんとロンくんは村へ向かっていった。
「じゃあ俺らは先にこいつらをこの森の外に運ぶぞ。
こいつらのものは全てこの森の外に出すんだ。こいつらは仲間の居場所が分かる魔法を使うみたいだしな。万が一何かを残したらまた村が襲われかねないからな。気休めかもしれんが。みんな頼めるか?他の奴らもすぐに来ると思うからこれならすぐ終わるだろ。」
私達を3人は頷いて、片付けを始めた。
兵士達が使っていた馬車に死体を乗せて一気に運ぶことになった。私1人では死体を運べなかったので周りに散らばった武器や霧を発生させていた焚き火の残骸を集めて一応馬車に乗せた。そんな私を横目に他の3人は軽々と死体を馬車の上に乗せていった。
やっぱり獣人ってすごいなって改めて実感した。




