磨杵作針②
「ねぇ、本当に私以外の人には見えないの?」
「そうだよ♪」
「俺達は契約した奴しか姿を見ることができねぇって言ったろ。」
「きっとまだ驚いてんだよ!今のヒイラギは俺達のことよく知らないんだからな!」
「もう契約してから1週間くらい経つのにね。」
私は今、夜の川原に来ている。
私と話しているのはイグニス、アクア、ソール、ルーナの4人。
「だってまだ信じられないんだもん。私が魔法を使えるようになったって。」
「信じられなくてもこれは現実に起きてることだからね♪」
この子は火の妖精、イグニス。
「あんなに大変な条件をクリアして俺達が見えているのにまだ信じられないとはな。」
この子は水の妖精、アクア。
「またよろしく頼むぜ!ヒイラギ!」
この子は太陽の妖精、ソール。
「また楽しくなりそうで嬉しいわ。」
この子は月の妖精、ルーナ。
「みんな、これからよろしくお願いします!」
「うん♪」
「ああ。」
「おう!」
「ええ。」
みんな、私が7日目の条件をクリアした時に現れた。正確にはクリアして、彼らと契約?を交わした後姿が見えるようになった。
「さぁ、今日も始めましょうか。」
「お願いします!」
「今日は俺だ。」
「アクア、よろしくね。」
「ああ。」
みんなが見えるようになってから毎日夜は魔法の特訓をしている。
4つの属性を使いこなすのは難しくて全然上手く行かなかった。
この世界の魔法は契約した人物の体力があるかぎりその人物が契約した妖精の力を借りることができるというものらしい。つまり、私の体力がある間は4人の力を借りて魔法を使うことができる。
ちなみに彼らは私より少し背が低いくらいで見た目は人間とあまり変わらない。違うところといえば羽根があるくらいだ。
「いいか?最初は目を閉じて水を集めて球体にするイメージをしろ。」
イメージ……イメージ……
「おっ、じゃあアイルって唱えろ。」
「アイル。」
「目を開けてみな。」
そっと開くとバシャって音と同時に手が濡れた。
「え?」
「何故だ…目を閉じている時はできているのに…」
誰が見ても分かるくらいがっかりされた。
「アクアごめん…」
「いや、いい。謝るな。最初から上手くいく方が珍しいが、これは…」
「これは?」
「初めて見るって言いたいのよね?」
少し離れたところから見ていたルーナがこちらに来た。
「ルーナ…」
「目を閉じている間だけ魔法が使えるなんて聞いたことも見たこともないもの。それにアクアだけじゃなくて、ソールやイグニス、私の時だって同じ様に上手くいかなかったわ、何か原因があるはずよ。」
「うん。」
「もう一度やってみましょ。大丈夫、あなたならできるわ。」
「うん。」
ルーナはまた元の場所に戻っていった。
「なんでだろうな!」
「さぁ♪」
「まぁ、まだ始めたばかりだし、もう少し様子を見ましょう。外見は私達の知っているヒイラギでも中身は異世界から来た別の人なんだから。」
「そうだな!まだまだこっからだ!」
「本当にあの子はよく頑張ってると思うわ。」