源氏の姫じゃ
私は、歴女である。
幼児期より祖父に色んな古い話を聞き、行った場所の由来に注目したり。
学校で歴史の授業が始まる頃には、祖父が購読していた日本史の月刊誌を読み、いっぱしの歴女を気取っていた。
そんな流れから当然、自身の家系にも興味があった。
一族の歴史は辿りやすく、某県内、我が家の苗字と同じ地名の場所があり、鎌倉時代は、源氏系の武士集団で、戦国時代に滅ぼされるまで居城もあった。その城跡は、今では散策コースが整備されているらしく、一度行ってみたいと思っている。
そんな歴史好き、調べて推測するのは、とても楽しいものであるが、もちろん日常は普通に会社勤めをして、現代に生きている。
ある時、勧められてお見合いをし、結婚に向けて、相手の出身地に居る家族に挨拶に行く事になった。
相手は広島県出身で、ご両親は既に亡く、ご兄弟に挨拶をした。
挨拶の後、彼とお墓参りに行ったのだが、そこで驚愕な体験をしたのであった。
墓地は丘陵にあり、一面、墓石が所狭しと並んでいた。
彼に連れられ、階段を登り、くねくねと細い通路を上がって行った先に彼の家のお墓があった。
途中、彼の後ろについて歩いていたら、急に、声が聞こえた。
私と彼しか居ないのに。
あれ? と思ったら、ささやき声で
「源氏の姫じゃ...」
「源氏の姫じゃ!」
歩いていく私に、声が追っかけて、、
いえ、向こうからも、
「源氏の姫じゃ..」
「源氏の。。」
幾人もの老若男女の声で、ざわざわ、とした気配、それも、拒否反応的な空気感。
敵対する霊体の存在に、ぞわぞわと鳥肌になっているし。。
歴女の私は、なんとなく察してしまった。
この辺り、、平家の血筋かぁ。瀬戸内だものね。。
「源氏の姫..」ってあまりにもザワザワと囁かれ、うるさいもので、
源氏で悪かったわね! (怒)
そうよ、我が家は源氏系よ。源氏の姫だと何なのよ!
800年以上前のことを言われても困るんだけど!
心の中で、墓地の空気に怒りを向けながら、なんとも無い顔をして、彼の家のお墓にお参りした。
「源氏の姫じゃ、って言われているんですけど、、
彼と縁があってここに来ました、よろしくお願いいたします。」
お祈りはしたものの、アウェイの中だったもので、正直、適当な感じになってしまった。。
その後、どうなったかって?
彼とは些細な出来事から、なんとなく性格の不一致? が出てきて、お別れになってしまった。
なんだろう、霊的な血筋が合わなかった、って言うことなのだろうか。
先祖の応援が無かったとか。
いえ決して、源氏云々の所為じゃないよ。。そんなわけあるか!
先祖が戦った相手と破談になるんだったら、日本史上、大小どれだけの戦があったのか?
それを考えたら、誰とでも破談になっちゃうじゃないか。。
私的には、「彼とは性格の不一致」という理由で納得している。