誤解は、不備や欠損から生まれたりする。
主人公、小谷 千紘は、
少年、真辺 凪と共に、石田 真衣に連れられて、上代亭(上代亭)に向かう。
そこで若女将の神崎 楓さんと知り合った。
美味しい食事をいただきながら、気さくに色んな話をしていただけた。
『そういえば、凪君と小谷さんの関係って?』
神崎さんが、私と真辺君を交互に見ながら質問をしてくる。
『んー?運命的出会いをした主人公とヒロインみたいな関係』
食べ物をもぐもぐしながら、石田先生が答える。
何を言っているんだこの人は!?
私は、あまりにも衝撃的な発言に石田先生の方を向きながら、目を開く。
神崎さんも、理解できない様子で目をパチパチさせる
『えっ?あー。うーんっと、ごめん。私、あまり物語読まないからさ…』
『履修してない含みがある会話は、想像出来ないのよ』
彼女は、頭に手を持っていき、困惑した表情をしている。
『僕が、小谷さんの髪の毛引っ張って気絶させました。』
『えっ、いや、待って。あー。確かにそうだけど…』
まさか、真辺君が答えるとも思わなかったし…その言い方だと、誤解が生まれる。
でも事実は、あまり言いたく無い。行動事態恥もないわけじゃ無い。
心配かけるし、負担に思われる可能性も…どうしよう。どうしよう。
『凪君、女性の髪引っ張ったの!?』
神崎さんが、お口に手を当ててびっくりした表情をする。
『あんた、声かける時は先に手を出しちゃ危ないじゃ無い』
彼女は、真辺君を叱るようにキツめに声をかける。
彼が叱られるようなことじゃ無いのに…息が詰まる。
『はい、昨日家族にもそう叱られました。』
『なので謝罪しに行きました。』
そう答える真辺君を見た後、神崎さんは、私の方を見る。
『はい。真辺君から謝罪とお詫びをいただきました』
『あっの。真辺君の行動で私、………。助けてもらったので…』
上手く言葉に表せないのが、悔しい。私は唇を噛む事しか出来ない。
食器の音がなる。
『美味しかった。ごちそうさまでした』
石田先生が、食事を終えたようで明るい声で放つ。
『ね。楓、凪君の行動で助かった小谷さん』
『この二人は、運命的な出会いで間違ってないでしょ?』
そう言う石田先生は、笑顔で神崎さんの方を見る。
『えっ…。そうね。小谷さんがそう言うなら助けてもらったのね』
『凪君、キツイ言葉かけてしまってごめんなさい』
神崎さんは、真辺君を見ながら謝罪し、頭を下げる。
真辺君は、瞳を大きく開く。
『大丈夫です。』
『頭を上げてください。』彼は、オドオドし始める。
私は、神崎さんの謝罪に驚いてしまった。
自身の非を認め謝罪する姿勢が、美しいと感じた。
『まぁ、髪の毛を引っ張たのは、いただけないけど』
石田先生は、茶化すように笑う。
『時と場合によっては最善ではあるときもある』
『結局は結果論には変わりがないから、凪君を叱るのは間違いではないよ』
そう言い、彼女は二人のやりとりを見ながら微笑んでる。
私は、この光景が眩しく見えた。
今まで私がいた環境は、会話が一方的な現状が多く誰かは傷つくことが多かった。
多分それは、会話に不備や欠損部分があることも少なからずある状態でよく起きていたと思う。
石田先生のサポートで会話が対等になった。
『あっ!休憩時間が終わってしまう!!私はそろそろ戻るよ』
と慌てたように石田先生は、座席から立ち上がる。
『真衣ー。今度は、余裕持って連絡してよ』
『最善は尽くす。』
神崎さんは、呆れた顔した。
私は、二人のやり取り見ながら少し笑ってしまった。……あっ!お金!!
『あっ!!石田先生、あの、治療代は』
『んー?あー。明日また来て、定期検診とその他諸々あるからその時にください』
そう石田先生は、言ってこの場所から退席して行った。
『そそっかしいな。昔から…』
慌てて出て行った彼女を眺めながら、神崎さんは手を振りながら呟いた。
会話は、思いやりと想像力で補い合うのが理想的です。