貴方がみた海は、綺麗でしたか?
主人公、小谷 千紘
病院の先生、石田 真衣に出会いハーブティーを飲んだ。
思っていたより、喉が渇いていたみたい。
私は、ゴクゴクと音を鳴らすことも気を止めない。
全て飲み切ってしまった。
『口に合ったようで良かったです』
『おかわりはどうですか』
石田先生は、微笑みながら私をみていた。
『ありがとうございます。』
『いただきます』
私は、視線を下げながらもコップを手渡す。
石田先生は、わかりましたとコップを受け取り、ハーブティーを入れ渡してくれる。
私が受け取ると、彼女はベットの近くに椅子を持って来て座る。
『大分、落ち着かれたかなと思うですけど…』
『いくつか質問しても大丈夫ですか?』
目線を合わせながら語りかける。
私は、頷いた。
彼女は、私の返事を見た後ゆっくり質問を始める。
『小谷さんは、海で男の子に話しかけられたあと、体調が悪くなり』
『気を失ってしまった。と聞きましたが合ってますか?』
私は、はいと頷く。
『では、貴方は何故。海に行こと思いましたか?』
………。何も言えない。
部屋に置いてある。時計の音が鳴り響く。
時間がゆっくり流れている気がする。
長い長い沈黙。
気まずい空間がそこに合った。
石田先生は、自身のコップを持ち飲み物を飲む
机に、置かれたコップの音に急かされているよな感覚になる。
何故だろう。視界が歪む。
ポタポタ落ちていく。止まらない。
何で泣いているか私には理解できなかった。
空気を吐く音がする
『小谷さん、この島はヨリ島という』
『海や自然が美しい場所って言われてるのを知っていますか?』
私は、彼女の言葉に疑問が浮かぶ。
『しかも、一部には有名なパワースポットと名高い島なんですよ』
なにを言っているんだろ?私にどう答えて欲しいの?分からない。
『小谷さん、この島の海綺麗でしたか?』
『わかりません…』私は、彼女の顔を見る事が出来ない。
『小谷さんは、この島にどれくらい滞在する予定ですか?』
私は、ハッと目を開く。
滞在…。滞在するつもりは無かった。
衝動のままにここに来たから、特に考えても無かった。
『時間がたっぷりあるのでしたら、ゆっくり島を歩いてみませんか?』
『勿体無いと思いますよ。だって有名のパワースポットなんですから』
私は、彼女の顔を覗くと微笑まれた。
パチパチと瞼が動く。動揺しているのかよく分からない。
ただ困惑に感情の置き場が見当たらなかった。
コンコン 部屋の扉の音が響く。
『はーい。今行きますね』
『小谷さん、ちょっと失礼しますね』
そう言うと、扉の方へ歩き出す。
取り残された私は、まだ残ってるハーブティーを口に含むしかできなかった。
景色なんて、ずっと見てなかった気がする。