学生ローンで困らないための、たったひとつの冴えたやり方。
タイトルは5秒で決まった! 書き出しと書き終わりでそれぞれ半日以上悩んだ……orz
いつもの悪い冗談です。お楽しみ頂けると幸いです。あと、この物語はフィ(以下略)
それは、とある日の話。
朝方のちょっとした手空き時間に、チェックした動画サイト。
人気上位の配信者さんが、妙な動画をUPしてたんだ。
【やってみた】学生さんが困ってるらしいので【クラウドファンディング】
なんてタイトルの動画をタップ。
いつもの無茶苦茶が流れ出す。
「困ってる視聴者さんの力になりたいんです!」
「力を貸してください、お願いします!」ぺこり。
そんなこんなで始まった、資金集めのプロジェクト。
「大学へ進学したい、日本の高校3年生を応援します!」
「大学の学費として1人当たり400万円ずつ配布します!」
「いかがわしい投資運用は絶対しません! 配布し終わったら潔く解散します!」
学費支援の財団づくり。そんなプロジェクトを興したいそうです、そうですか。
「目標金額は、100万人分、4兆円です!」
いやいや、無理だろって苦笑い。
動画の締めくくりには、ご丁寧に出資のやり方をご説明。
そこだけは流石に手慣れてて、とても上手だと思ったけど。
†
翌日の話。
朝方のちょっとした手空き時間に、チェックした動画サイト。
人気1位の配信者さんが、途中経過をUPしてたんだ。
【やってみた】学生さんのために!【クラウドファンディング】
なんてタイトルの動画をタップ。
やっぱり滅茶苦茶が流れ出す。
「今のところ集まったのは123万4567円です!」
「たったひとりも助けられません! 助けて!」ぺこり。
100万越えただけでも、と思ったが、100万は配信者さん自身が出したらしい。
「面白そうなことをやってるじゃない」
「それじゃ、私からは1000万円出すわね」
「私は子供を愛しているから」
動画にゲスト出演したのは、ドラマに映画に引っ張りだこな人気女優さん。
「これは負けられませんね。俺も900追加で1000万出します!」
いやいや、何やってんのこいつら。
動画のリンク先を見た。クラファンのサイトには、オールオアナッシングの文字。
ああ、目標に届かなかったら返金、つまり、ただの見せ金じゃないか!
†
うっかり忘れて1週間後の話。
朝方のちょっとした手空き時間に、チェックした動画サイト。
超絶人気の配信者さんが、後の展開をUPしてたんだ。
【やってみた】学生さんを応援しよう!【クラウドファンディング】
なんてタイトルの動画をタップ。
またもや滅茶苦茶が流れ出す。
「今のところ集まったのは1億2345万6789円です!」
「目標はまだまだ遠いです! どうかお願いします!」ぺこり。
すげぇ、1億いったのか。金もあるところにはあるもんだね。
「ちょっと大臣さん、いいですか? お忙しいとこ、すみません」
「最近、若者の間でこういう活動が流行ってるようなんですが」
「あなたは子供を愛していないんですか?」
どっかの正義感を拗らせた記者さんが、文科大臣に突撃質問。
「すみません、お騒がせしています! でも学生の皆さんのためなんです!」
初志貫徹もいいけれど。そろそろ、火消しが必要では?
巨大掲示板にニュースサイト、トレンドワードも総なめで。
どこまで話が広がるのか、少し楽しみになってきた。
†
それから3日後の話。
朝方のちょっとした手空き時間に、チェックした動画サイト。
顔面蒼白の配信者さんが、一部始終をUPしてたんだ。
【やってみた】助けてとは言ったけど【クラウドファンディング】
なんてタイトルの動画をタップ。
ヤバめな無茶苦茶が流れ出す。
「海の向こう、太平洋を越えて、つぶやきがひとつ届きました」
『4兆円なら出せるけど? それで、キミらは何をしてくれるんだ?』がくり。
円安相場でお買い得? ブラフかシラフか知らんけど。大富豪さんからメッセージ。
「もしも、その資産家さんに協力すれば、学費がタダになるってこと?」
「勝手に他国の人間に、巨大な借りを作るというのは、とても容認できないな」
「なんだよ上から目線にさ。そもそも国がしっかりしていれば」
倫理と誠実さと責任と、正義と道理と帰属意識。一体全体どうすりゃいいの?
「えっと、それじゃ皆で話し合おうか?」
てんやわんや、なんだかんだ、すったもんだ、色々ありはしたんだけど。
詳しくは、ご想像の通りです。皆が思うように動きました。
ハッピーエンドだよ、当然かな?
???「そういえば、のうなし案山子さん」
†「Σおつむの話は放っとけよ!」
???「こないだ、演算至上主義とか言ってたけど(短編「のうなし案山子は、空を見た。」より)」
†「……オイラ、そんなこと言ったっけか?」
???「忘れないで>< あれ、ヴァーチャルなら『仮想』とか? そういう翻訳しなかったのはなんで?」
†「ああ-、じゃあ、こんな話はどうよ? インターネット上で人と人のつながりって成立すると思う?」
???「オンラインゲームとか、SNSとか? するんじゃないか?」
†「お互い顔も知らねぇのに、か?」
???「顔を知らなくても、つながっていると思える」
†「演算機がなかったら、ゾッとすんだろ?」
???「するなぁ……そういうことか」
†「よく分かんねぇ金融なんかもそう、Vtuberに人格があるかどうかなんつーのも、考えてみりゃあ面白いかもなぁ」
???「原理主義ほど頑なでもないし……至上主義、か」
†「そんなとこじゃねぇかな」
???「計算量ゴリ押しだから、数学至上主義だとちょっと違う気もする……計算至上主義なら、より簡単な表現に――」
†「計算より演算っつった方がカッケェだろ!?」
???「そんな理由かよ(汗)」
――みたいなやりとりの結果、このお話ができました。
次回更新でアイディア3つとも短編にできた♪ やったね♪ って喜ぼうと思ってた。
でも、アイディアがさらに4つ増えた。
次の短編は「減っていく話」にしようかと思います。近日更新。
あとがき下のところから、評価を頂けると作者のテンションが爆上がります。よろしくね!^^