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親友自慢

「おれがドワイヤン公国に出向いてわが軍と公国の秩序の回復に努めるかたわら、きみのご家族の捜索の指揮をするつもりだった。しかし、王都の後始末をしなければならない。だから、おれはここに残ってリュックがおれの代わりに出向く。わが軍や公国の後始末をした後、そのままきみのご家族の捜索を続けることになる」

「妃殿下。レイからきいていただいているかと思いますが、あなたの父上は、その、残念です。ですが、お母上と兄上と姉上は、生きていらっしゃる可能性があります。ドワイヤン公国を攻めたセルネ国軍を敗った直後から、わが隊の凄腕の諜報員たちに探らせています。どうか希望を持ち、吉報をお待ちいただければと」

「なんだって? エリカに姉までいるのか?」

「レイ」


 リュックは、わたしの方に仔犬みたいに可愛い顔を向けた。


「二人きりのときは、彼のことを昔のままレイと呼んでいるのです」


 なるほど。二人は、大の仲良しですものね。


 正直、レイモンドにリュックはもったいないわ。


「レイ、きみが王都に逃れた後に妃殿下の姉上の情報が入ったんだ」

「お姉様も生きているかもしれないの? お姉様は、病弱だったの。ずっと寝込んでいたわ。会わせてもらえたのも、たったの数回だけだった。正直なところ、顔も覚えていないわ。彼女の存在も忘れていたくらいよ」

「そんなレディが生き残っているのなら、運は相当強いに違いない。エリカ。隠れ家でも伝えたが、きみの家族はかならずや見つける。リュックは見てくれは可愛らしいが、軍人としても諜報員としても優秀だ。いいや。優秀どころの騒ぎではない。父上は、おれより彼のことを信頼している。だから、安心してくれていい」


 親友自慢をするレイモンドの美貌は、すごく誇らしげである。


 彼には自慢出来る親友がいる。それが、ちょっとだけうらやましい。


「ええ、わかっているわ。もちろん、どんな結果になろうとわたしはかまわない。だから、ムチャや無理はしないで」


 生きていても死んでいても、捜してくれているということじたいがありがたい。


 リュックに笑いかけると、彼は可愛い顔で大きくうなずいた。


「レイ。ぼくのいない間、きみは宰相と宰相派を駆逐する為に奔走してもらわねばならない。それと、アルフォンスの処分の件もだ」

「わかっているさ。うまくやる」

「宰相って『頭てっぺん禿げ』のことよね?」

「『頭てっぺん禿げ』?」


 レイモンドとリュックは、顔を見合わせてプッとふいた。


「その通りさ。それにしても、『頭てっぺん禿げ』とはズバリだな」

「でしょう?」


 思わず、レイモンドと笑ってしまった。


「じつは、その『頭てっぺん禿げ』と偽王太子が密談しているのをきいたのよ。それが何か役に立つといいのだけれど」

「おっと、さすがはエリカ。そういうところは如才ないな」


 いまのはどういう意味? 褒め言葉だったの?


「では、そちらはお二人に任せます。それで、レイ。ぼくのかわりに母を呼び寄せています。きみと妃殿下の緩衝材兼妃殿下の妃教育の為にね」

「ちょっ……。ちょっと待てよ、シャリエ公爵夫人を? おいおい……」

「問答無用さ。きみ、というよりかは、妃殿下には心やすく出来る人が必要だろう? きみの悪口を言えるような人がね。それと、父にも出てくるよう声をかけている。こちらは、陛下のたってのご要望だからね」


 よくわからないけれど、だれかがやって来るわけね。


 いったいどんな人かしらね。


 興味が尽きないわ。


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