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新入社員

作者: ねずみ

「失礼いたします。」

就活生の若々しい声が響く。

面接官は2人、人事部の部長と部下のわたし。

去年も担当したが、たぶん、就活生よりわたしの方が緊張してる可能性が高い。

わたしは特にすることはない、就活生をよく見てノートに気づいたことをメモしていればいいと言われている。

部長が場をしきる。

「えーっと、まずジンナイくんは今日、どこからきたんですか?」

履歴書を見たらわかるだろ。と、顔を一瞬ゆがめたのに気づいてしまった。

「曙橋から来ました。」

「そっかそっか、電車かな?うち交通費あんまりでないけど、大丈夫?」

「御社への入社が叶いましたら、バイク通勤になると思います。」

バイク通勤ってことは冬に雪が降ったら急に休みになったりするのかなぁ…と、わたしはぼんやり考えメモをした。

「何乗ってるの??」確か部長は大型バイクの免許を持っていたような。

「わたしはバイクはバイクでもロードバイク乗りです。」なんだそりゃ?と思ってたらジンナイくんが続ける。「ロードバイクと言うのは自転車レースにもでられるスピードのでる自転車です!」

「すごいね!今度乗せてよ!」

「ぜひ!」


とんとん拍子でジンナイくんの面接が終わった。


ひと通り面接が終わったあと、わたしがとったノートを見ながら誰を採用するか話しがはじまった。


わたしは最初からジンナイくんは無い。と、思っていたが部長がジンナイくんをいたく気に入り、特にジンナイくんの自転車に興味があるらしい。


でも、通勤で乗るのにこんなこと言ったら部長に申し訳ないが、2人でサイクリングならもう1台必要なのでは?と考えて、部長に話したら、一緒に買いに行く!!と…。それはもうパワハラなんじゃないかと心配になる。


結局ジンナイくんは入社できることになり、部長の力で人事部に配属されることになった。


ジンナイくんは部長が面倒を見ることになり傍から見たら仲良くすごしていた。

だが徐々にジンナイくんが出社してこなくなった。部長は少し責任を感じるようになり、わたしに相談を持ちかけてきた。


「ジンナイくんが来なくなっちゃったよー。どうしよう?訴えられちゃうかな??」理解してるならなぜ、可愛すぎてペットを殺してしまうような接し方をしたんですか、と、責めても仕方がないから、わたしが今度顔見に行ってきますよ。と、部長をなだめた。


ジンナイくんの住んでる曙橋は会社から電車だと少し遠回りになるので、わたしはそういえば自転車で通うって言ってたし、レンタサイクルで自転車を借りて、ジンナイくんと一緒に走りながら話をしようと思いジンナイくんにアポをとろうとした。

ジンナイくんは部長には普通に会って話したと言ってくれれば。と。続けてレンタサイクルだと遅い自転車が多いと言って自分の自転車に乗らないかと提案してきた。

「えっ?」と一瞬思い確認するとジンナイくんは3台ロードバイクを所有しているらしい。


ジンナイくんは部長がしつこくて、怖くなっていたらしい。通勤に使ってるロードバイクは値段が高く、人に乗って欲しくないみたいだった。わたしが乗るこの自転車はいいの?と聞いたら、それは貰い物だから、と。3台持ってるうちのあと1台はお金がない時に買った安めなものなのだと。ならば全部持って行き会社が買い取り、会社所有にして、サイクリング部なんて作ってはどうかと言う案をだした。

ジンナイくんは金銭面でも助かりますと、部長のメンツもたつし、これでわたしの株も上がる。


翌日、部長に報告するとそれはいい案だね!と、そしてサイクリング部で、もっと親交を深めた部長とジンナイくんは、付き合うことになり、数年後に結婚するのでした。めでたしめでたし。

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